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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 第10話

第10話:ラブハリケーン

 新規の候補生たちの初めての試験が終了した。

 学徒たちは一様に落第させられるのではないか、追い出されるのではないかと心配していたが、そんなことはなかった。

 1年間のトータルでそれは決められる。

1回きりの試しだけで決定されるような事項ではないのだ。

 しかしその1回目で大幅な減点をくらったクロエはこの先の試験で相当の点を取らなくてはならなくなった。

 1週間の間に行われた回復と結界の試験で多少は取り戻せたとは思うのだが。

 

クロエ「クスン……私のバカバカバカバカ」

メイディア「もーバカなのは今に始まったことではないでしょう。いい加減にシャキッとなさい、シャキッと」

 

 せっかくの日曜日だというのにクロエはベッドから出て来ない。

 カーテンを引いたままで奈落の底まで自己嫌悪に陥っていた。

 

モーリー「そっとしておきましょーよー。クロエ、すごかったんですよー」

メイディア「どうすごかったのです?」

モーリー「もう、大物ってカンジ。誰も真似できないよねー。……したくないけど」

ジェーン「白組はみーんなクロエの噂話で持ちきりじゃない」

モーリー「いよっ♪ 有名人っ☆」

クロエ「やーめーてぇ~」 頭からふとんをかぶる。

   『ごめんね……お兄ちゃん……恥かかせちゃった……』 ぐすん


▽つづきはこちら

レイオット「本人が出てくる気になるまでそっとしておいた方が……」

アン「私もそう思う」

メイディア「まったく。鬱陶しいったら」 腰に手をあてて息をつく。

アン「それにしても今回の試験、色んな人達の本当の力を見ることができてすごく勉強になったよね」

レイオット「そうね。私もまだまだだわ」

アン「リク君……すごかったなー」

 

 両手をこすりあわせて遠い目をする。

リクの試合を思い出しているらしい。

 

メイディア「ふんっ。あんなの、目じゃございませんわ」

ジェーン「あれでますますファンが増えたよね」 鏡の前に座って髪を整えている。

アン「……う」

メイディア「それを言うならレイオットの方がすごいもの。……プレゼントと手紙が。ただし、女性からですけど」

 

 勝手に手紙を破いて目を通しながら言う。

 

レイオット「あはは ……って、メイディア!?」 ビクッ!?

 

 あわてて引ったくる。

 

レイオット「もーっ!」

ジェーン「まぁ、リク君ってどこか陰があってちょっと近寄り難い雰囲気あるし」

 

 薄いピンクの口紅を塗る。

 

メイディア「はぁ~? どこがですの?」

ジェーン「人気ある割りにはレイ様みたいに追いかけられてプレゼント嵐ってコトはないみたいよ?」

 

 もちろん、他の男子とは比べ物にならないくらい、もらってはいるのだけれど。

 

アン「へ……へぇ……そうなんだ……」

メイディア「ふーん、そうなの。関係ございませんけど」

アン「う、うん、別に……私も……関係ないんだけどー」

  「でも今回の試験終わってやっぱり人気上がっちゃったのかな」

メイディア「関係ない割に気にしますのね」

アン「わっ、私はそんなっ」

メイディア「構いませんけどね。……さて、恋愛のお話しが出たところで、私もちょっと殿方に愛の告白に行って来ます」

 

 メイディアを除く全員がブッ!と吹き出す。

 思わずイジケていたクロエまでベッドを遮るカーテンから顔を出した。

 

クロエ「どうしちゃったの、メイディア!?」

メイディア「どうしもこうしたもありませんが……何か?」

クロエ「だって……だって、そんな急に。今までそんなそぶりちっとも……」

メイディア「この試験で決めたんですもの」

アン「リク君!?」

メイディア「なんでそこであのスカポンタンが出てくるのですか」

ジェーン「あ、じゃあクレス君ね!」

メイディア「ワタクシ、自分より背か低い恋人なんてお断り。カッコつかないではありませんの」

モーリー「レク君! レク君でしょ!? 結構仲良しみたいだし」

メイディア「うるさいですわね。ともかく行って来ます」

 

 告白前の乙女とは思えない通常の態度で彼女は部屋を後にした。

 

モーリー「ずっと男共の告白を粉砕してきたシャトーのお嬢様がとうとう恋に落ちたのォ!? ここは後をつけるしかないよね?」

 

 キャッキャッと大喜びなのは、恋愛のことしか頭にないモーリーだ。

 ジェーンも尾行することに賛成。

 

レイオット「趣味悪いわよ。やめにしない?」

アン「…………………………」

モーリー「ノリ悪いなぁ、レイ様ったら。アンはもちろん行くよね?」

アン「え? あ……」

ジェーン「行くに決まってるじゃんっ♪ クロエも行こうよっ」

クロエ「私はやっぱり行かな……」

   『……ん、待って? もしかして相手はお兄ちゃんかもしれない……』

 

 脳裏にリンゴーンと教会の鐘が鳴り響き、白いスーツの兄・ガーネットと純白のドレスのメイディアが浮かび上がる。

 

想像の中のメイディア「ホーッホホホホホホホ! 貴女はこれからワタクシの義妹です! さぁ、ワタクシたち兄夫婦のために働きない。ホラ、床掃除よっ。終わったら洗濯をなさい。トロトロやってるのではなくてよ。相変わらずどんくさいコね!」

 

 現実のクロエが固まって青ざめる。

 

クロエ「行く! 私も行くっ!!」

 

 鼻息荒く、立候補。

クロエ『メイディアがお兄ちゃんとなんてそんなの困る……。お兄ちゃん、お願い、断って!』

 

 被害妄想大爆発。

 そもそもガーネットと面識のないメイディアが彼にどうやって告白するというのだ。

 勢い良く部屋を飛び出す3人+アン。

 

レイオット「……まったくもぅ」

 

 レイオットは一人部屋に残って肩をすくめ

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