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レイディ・メイディ 11-3
2007.11.12 |Category …レイメイ 11-13話
ステラ「試験の結果発表が貼り出されてるよ。見てこうよ」
クロエ「うん」
廊下には多くの学徒たちが自分の成績確認をしていた。
クロエ「クロエ=グラディウス……クロエ=グラディウス……あ、あった! ……!? 何でこんなに悪いのっ!?」
ガーンッ!?
後ろから数えて10指に入っている!!
クロエ「に……298人中……290番……」
くらり……
一瞬めまいがしてガックリとひざを折る。
ステラ「あんなコトしでかして成績が良いとでも思ったのぉ? 勘弁してよ~」
クロエ「だって……だってだって…… あの後、回復と結界はがんばったモン……取り返そうと思って……」
▽つづきはこちら
ステラ「回復の時もなんか叫んでたらしいじゃない。しっかりして、お兄ちゃんとかなんとか」
クロエ「……ゔっ」
ステラ「その妄想癖治さないと落ちるよー?」
クロエ「うん……」 しょぼーむ……
ステラ「私も黒の結果発表見ようっと」
クロエ「あ、私も手伝う」
しばらく探して、ステラ「あ、あった。……んー、まぁまぁかなぁ」
クロエ「ステラのクラスでは結構上の方なんじゃない?」
ステラ「んー、そうなんだけど……。全体で見ると上位はヒサメクラスがほとんど占めちゃってるね」
クロエ「さすがはニンジャ! ニンニン♪」
ステラ「黒魔術でしょ。ニンジャは関係ないって。何よ、そのニンニンって」
クロエ「ヒサメさんの口癖。ニンジャはニンニンって言うのよ」
ステラ「言ってないしっ!?」 ガビッ!?
思い込みは走り続ける。
同じく掲示板を眺めているクレス。
クレス「アレ? 僕の名前がないぞ??」
上位3名辺りを探している。
クレス「他にも僕よりスゴイ奴がいたのかもしれないな。魔法だけじゃなくて筆記もあったし、ちょっとしくじったかも」
4位から10位くらいを探すがやはり見つからない。
クレス「そんなワケない。僕の名前を入れ忘れたんじゃないの!?」
苛ついているとメイディアが声をかけてきた。
メイディア「199番よ、貴方」
クレス「なんでっ!?」
メイディア「知らないわ。ちなみにワタクシ……16番ですの。初めからずいぶんな差が開いてしまいましたのね。……フフフ……アハハ……オーッホッホッホッホッホ!」
クレス「ぐぐ……っ」
『このやろ~っ! こないだメソメソ泣いてたクセに~』
あのとき、一瞬でも可愛いと思った自分が馬鹿だった。
そうだ。
この女はこういう女なのだ。
ナマイキで高飛車で。
人を見下すことしか知らない。
クレス「コレは何かの間違いだっ!! 僕と名前が似た奴と間違えたに決まってる。ちょっと文句言ってくるっ!!」
メイディア「負け惜しみはみっともございませんことよー」
クレス「うーるさーいっ!!」
次の授業がもうすぐ始まるというのにクレスは職員室にまですっ飛んで行ってしまった。
メイディア「……それにしても……」
1位の名前に目を止める。
メイディア「リク=フリーデルス」
アン「やっぱり天才ね、リク君はっ」
メイディア「そういう貴女は?」
アン「20位!」
メイディア「……やるじゃない」
アン「ふふっ」
ジェーン「あ~ん、私、87位でしたぁ~」
メイディア「精進が足りませんわ」
ジェーン「トホホ」
メイディア「ヒサメを片付ける前にまずは1位のリク=フリーデルスね。後の14人は私ならば物の数ではございませんもの。首を洗って待っていらっしゃい、リク=フリーデルスッ!!」
背後から、リク「首を洗うのはいいけど、なんでいつもフルネームで呼ぶかなぁ?」
アン「あ……リク君、いっ……1位……お、おめっ……おめでと……」
想い人の登場に、アンがうつむいてはにかんだ。
メイディア「貴方なんてお友達じゃありませんものっ。愛称でなんか呼びませんわ」
リク「こりゃヒドイ言われようだなぁ。でもだからっていちいちフルネームにしなくても……」
苦笑い。
アン『……ム』
実際には声が小さくてリクに届かなかったのだが、メイディアに邪魔をされたと感じて腹を立てるアン。
彼女の方が優先されたと思ったらしい。
リク「それにしてもさすがだねぇ。ウチのクラス。優秀、優秀」
メイディア「当たり前です! ワタクシがいるのですからっ」
誇らしげに胸をそらす。
その態度に先日の失恋の影は一欠けらも見つからなかった。
ジェーン「さっすがメイディア様っ☆」
リク「……それはあんまり関係ナイような……」
アン『何よ、バッカみたい。こないだはフラレてたクセに……』
スネている間に別の女の子たちが群がって口々におめでとうと祝福を送っている。
アン「あっ」
「……………」 しゅん……
メイディア「何です、皆さんっ!! ここでは全員がライバルですのよ!? 彼は倒すべき相手なのに何がおめでとうなものですかっ」
女子たち「え~?」
「リク君は仲間だもん、敵じゃありませんよ、メイディア様~」
「リク君は天才だから、私たちじゃ敵いませんよーう」
リク「…………」
女子たち「先生たち言ってたよねぇ。稀にみる逸材だって」
「でも……クレス君もそうだって言ってたのに、何でクレス君は順位悪いんだろ?」
メイディア「おつむにウジがわいているからじゃございませんこと?」
女子たち「まっさかぁ~。きっと手違いですよ」
「あの二人は特別。二人の天才♪」
女の子の会話に秘かに、積極的に賛同するアンが満足げにうなづく。
アン『うんうん、そうそう。リク君は天才なの……こんなにキレイな男の人なんて今まで見たことなかった。その上、天才だなんて……神様に愛されてるとしか思えないよね』
『どんな女の子だって、一目で恋に落ち………………』
メイディア「なぁ~にが天才ですかっ。もし本当にそうなのなら、もぉっと倒しがいがあるってものですわ!! よろしくて、リク=フリーデルス!! いずれワタクシがトップに立ってみせます。 それまでせいぜい追いつかれないようにしておくことね」
アン『……って……例外がここにいたわ』
リク「ああ、それなら大歓迎だ。楽しみにしているよ」
メイディア「返り討ちにしてくれるくらい言い返したらどうなの?」
リク「余裕だよ、余裕」
メイディア「キーッ! ナマイキっ」
リク「ははっ」
ひらりと異国の衣をひるがえして女の子の輪から抜け出す。
リク「じゃ、また教室で」
メイディア「イーッだっ」
女の子たち「待って、リク君、専攻ナニ?」
「私も同じのにする」
後ろを女の子たちが追いかける。
リク「君たちは自分の専攻したい教科を選ぶべきなんじゃないのかな」
女の子たち「リク君が選ぶのが私の専攻したい教科なのぉ~」
「あー、私も私も」
リク「……ヒサメ先生の授業でも?」
女の子たち「…………………………」
リク『何で黙るかな』
待たずに歩きだす。
女の子たち「でも授業中もリク君見られるんだったら、ヒサっちの退屈授業でもいいかな」
「そうだよね」
「あー、ヒサっち馬鹿にすんなー。先生、ホントはスゴイんだからー」
他のクラスの娘たちが言うのに対して反対論を唱えているのは生粋の氷鎖女クラスの女子だ。
黒魔術を教えるのが良かったとしても学問となるとまた違うもので退屈なのは変わっていないのだが、何となく肩を持つ気にもなる。
気が付けばリクの姿はなくなっており、メイディア一党も教室の方へ向かっていた。