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ゼロのノート

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レイディ・メイディ 第52話

第52話:ジャック潜入。あと、フルチン祭り。
 シレネ復活祭はすぐそこだと国中の邪教徒たちが触れ回っていた。
 生まれたばかりの姫に糸車の針に刺さって死ぬ呪いを吐きつけた黒き13番目の魔女シレネ=ペンジュラ。
 幸い、12番目の魔女がすぐさま死を眠りにすり替えた。
 12番目の魔女は死を跳ね返そうとしたが、あまりに強力な呪いだったので消滅させることができなかったのだ。
 だがそのおかげで、姫の命は取り留めることができた。
 多くの功績を持つ13賢者の一人でありながら、姫誕生の祝いの席に招待されなかった魔女シレネは、怒りのあまりに呼ばれない席に現れてこの呪いをぶつけたという。
 呪いの力を半減されたシレネは怒りを国全体に向ける。
 暗雲を呼び寄せ、稲光と雨を降らせる。
 稲光は家や田畑を焼き払い、雨は凍って鋭い矢となり、国中の罪もない人間たちを串刺しにした。
 その恐るべき力はまさに人知を越えたドラゴンのようだったとされる。
 13番目の正体が実は魔竜だったという伝説も残されているくらいだ。
 魔女シレネが復活すると噂はまことしやかに囁かれていた。

▽つづきはこちら

 エグランタイン領内に巣くう邪教の徒が集結する中に、ジャック=ジャック=フランツ=グレイング=ジョセフ=アラン=スティーヴン=コンスタンティヌス=ウィングソードも加わっていた。
 
ジャック『ここは麻薬の量産地だったか』
 
 地下洞窟。
 その中で人々が踊り狂う。
 ある者はたいまつを振り回しながら、言葉にならない言葉をわめき散らし、ある者は衣服を脱ぎ払って狂ったように歌い踊っている。
 人前だというのに幾人もが交わった性行が当然のようにまかり通っており、品行方正な青年ジャックには信じがたい光景だった。
 冬だというのに人々の熱気で蒸し暑い。
 中央には巨大な鍋が火にかけられており、異様な匂いが漂って地下の洞窟内に充満していた。
 人を快楽と幻覚の世界に誘う、麻薬の一種である。
 
ジャック「うっ…気分が悪くなってきた…」
 
 正気を失った軍勢の中、ジャックは戦慄していた。
 強い麻薬の香りに思わず顔をしかめ、ハンカチで口元を覆う。
 作戦に成功すれば、薔薇の騎士団に加えて生活と身分の保障もすると約束された裏切り者の元・薔薇の騎士候補生がジャックをひじでつついた。
 
ゼザ「アンタもお上品にしてちゃ怪しませるぜ」
ジャック「踊ればいいのか? レッツダンシング?」
 
 クネクネ体を動かしてみる。
 
ゼザ「………始めから充分におかしいからいいか」
ジャック「何だか失礼なことを言われたような気がしなくもない」
 
 クネクネ踊りをやめて口をへの字に曲げる。
 
ジャック「それにしても彼らのこの熱狂ぶりは何なんだ……いくら薬を使用しているにしても、まるで……何かに追い立てられているみたいな騒ぎに見えなくもない」
ゼザ「お。鋭いな。コイツラ、シレネの恐怖から逃れるためにシレネを祭っているんだ」
ジャック「恐怖から祭り上げる?」
 
 それは何かと問い返す前に、歯の抜けた中年の男がからんできた。
 
中年の男「アンタ、新入りかい?」
ジャック「はい。どうもヨロシクお願いしま……」
ゼザ「礼儀正しすぎる」
 
 元は同期だった裏切り者のゼザが小声で注意を促す。
 この異常な中でマトモなのは逆に目立つというのだ。
 見知らぬ中年の男にいきなり手首をつかまれて、中央まで連れていかれるジャック。
 何をさせられるのかと身構えていると、中年男は鍋の中に欠けたお椀をつっこんで、煮えたぎる緑色に濁った液をすくって突き出してきた。
 
ジャック「飲めと言うのか」
ゼザ「逆らっちゃマズイ」
ジャック「しかしこれは……」
 
 麻薬の原料となる草が煮込まれたものである。
 だが、ここで下手に断るわけにはいかないと受け取って飲むふりをする。
 
中年「あーん? 兄ちゃん飲んでるかぁ?」
 
 顔を近づけられてぎくりとする。
 
ゼザ「飲んでしまえ。後で吐き出せばいい」
ジャック「……ううっ」
 
 疑われ、仕方なしに一気に飲み下した。
 酸化した酒のような形容しがたい酷い味だったが、連中は好き好んでこれを呑みにくる。
 
ジャック「?」
 
 固いものが一緒に口内に流れ込んできて、何の気無しにお椀の中に吐き出してみた。
 
ジャック「!?」
 
 それは、細い指の骨だったのである。
 人か猿かわからない。
 しかしこの異常としか呼べない状況下で、ジャックが人の指を連想してしまったのも無理はない。
 
ジャック「うっ!」
 
 吐き気が喉元を駆け上がってきた。
 必死でこらえようとしたが、無駄だった。
 押さえた指の間から今、口にしたものがしたたり落ちる。
 
ジャック「げぇっ!!」

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