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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 51-9

 メイディアが養成所からいなくなったのをまず初めに知ったのは、同室のアンたちだった。
 夜になっても戻って来なかったからだ。
 その報告を受けたレイオットたちが宿舎内を探す騒ぎとなるが、シラーから事情を打ち明けられ、がっくりと肩を落とすのだ。
 
レイオット「そんなぁ。私たちに一言もなしでぇ?」
シラー「別れ難くなるからですって」
クロエ「でももう会えないのに……」
アン「それで形見分けしていたんだ、服とか」
ステラ「みたいね」
シラー「ごめんなさいね。言うなって口止めされていたから」
ジェーン「仕方ないわよ」
モーリー「いなくなってせいせいしたけどぉー」
ジェーン「まぁ…ね」
アン「……………」
 

▽つづきはこちら

 翌日には男子の一部に知らされ、数日後には正式に養成所へ書面が届き、所長を始め、メイディアに関った教官たちが一斉に引っ繰り返ることとなる。
 
ニケ「ありえないんだけど……」
氷鎖女「申し訳ござらん」
ニケ「け、研究材料が……」
 
 特にニケの落胆ぶりといったらない。
 初めて魔力喪失から立ち直った生徒だ。
 今後も研究対象として経過を見続けるつもりだったのに。
 
レヴィアス「ヒサメ殿は知っておられたのでは?」
 
 レヴィアスの鋭い質問が放たれた。
 
氷鎖女「いいえ。まったく存ぜぬこと」
 
 事前に相談を受けていたことを知られれば、大目玉だと口を結ぶ。
 
ニケ「ヒサメ、ちょっといい?」
氷鎖女「はい」
 
 レヴィアスに捕まりかけていた氷鎖女は呼ばれてこれ幸いとニケの元に寄る。
 
ニケ「個人的な謝罪の手紙もメイディアから届いたんだけど」
 
 ニケ宛ての手紙を開く。
 
氷鎖女「これが何か?」
 
 失礼して読んでみたが、特に変わったことはない。
 突然のわがままをお許し下さいといった内容である。
 
ニケ「ここ、見てごらんよ。おじいちゃん扱いだ」
 
 夜遅くまで頼りない明かりで本にかじりついていないで、老体に気を使うようあるのだ。
 
氷鎖女「もしやそんなにジジィではないわと反論したいのでござるか? ぷっ♪」
 
 150にもなって若い気でいるのかと笑う。
 
ニケ「ちっがーう! どうして老人だって知っているのかって聞きたいんだよ!!」
 
 足を踏み付ける。
 
氷鎖女「あいたっ。そんなこと、拙者は知らないでござるよ」
ニケ「氷鎖女がバラしたんだろ」
氷鎖女「違うでござる。そんなニケ殿など話題にものぼらない。っていうかそもそも会話もあまりしないし……どこからか聞き付けたのでございましょうや」
ニケ「だとしたら……」
氷鎖女「じさまと知れると可愛く天井を見上げた。ないから必死でござるな?」
ニケ「…………」
 
 もう一度、足を思い切り踏んでやる。
 
氷鎖女「ぎゃんっ!?」
ニケ「ひょっとしたら、これはあの魔法の副産物かもしれないってことだよ」
氷鎖女「痛い痛い……え?」
ニケ「メイディアの精神に入り込んだのはこっちだけど、向こうもこちらの精神界にいたのかもしれない」
氷鎖女「……まだ何が起きるかわかっておらぬ未知の領域でござるからな」
ニケ「その通り。あ~、そうとわかればもっと色々実験できたのに~っ! 何が嫁さんだ、もうっ!!」
氷鎖女「拙者に当たらないで下され。困りまする」
 
 数日の間、研究に余念のないニケは悔しがって手がつけられなかったという。
 
 
フェイト「嫁にいくだなんて……聞いてなかった」
 
 赤・青合同訓練休憩中、あっけにとられてつぶやいたのはフェイトだった。
 
レク「俺だって聞いてないよ。レイオットですら聞いてなかったっていうから……でも、メイディらしいかもね」
フェイト「メイディア……」
 
 だから、告白の返事はいらないと言ったのだ。
 フェイトがどう答えようと彼女の未来は変わらなかったのである。
 
フェイト「ひょっとして、ダーリン探しっていうアレも……」
レイオット「うん、お嫁さんに行きたくない一心だったのよ」
 
 レイオットが肩をすくめる。
 
フェイト「……………」
ダレス「チクショウ! 仕返しにミミズをくれてやろうと思ってたのによ、トンズラかましやがった!」
 
 空き箱にミミズを集めていたダレスが口をとがらせた。
 
フェイト「ホントにやるなよ、大人気ないな」
ダレス「うるせぃ! 大人の毛くらい、もっさり生えてらぁっ!!」
フェイト「…………そんな話はしていない」

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