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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 45-3

 まさか気味の悪い人形を駆使して脅かして回っているなどと夢にも思わないリクは生唾を飲み込んだ。

 

リク『一体……何が起こっているんだ…!?』

 

 悲鳴だけ聞こえて状況がわからないまま、ただじっとしていると不安ばかりが膨らんでくる。

 それはアンも一緒らしく、口数が減って眼球が落ち着きなくあちこちに動いている。

 

リク「アン」

アン「う、うん」

リク「二人で同じところはマズイかもしれない。俺は道を挟んで反対側の木の上に登ってる」

アン「行っちゃうの?」

リク「挟み撃ちをしよう。俺は向かいの木の上から、アンは草むらの足元から」

アン「わかった」

リク「同時に撃てればいいけど、合図がな……」

アン「時間差でもいいんじゃない?」

リク「ん、そうだね。それはそれでいいかもしれない。タイミングは各々自分たちで計ろう」

アン「が、がんばろうね、リク君!」

リク「そうだね。やっつけて、先生に褒めてもらおう」

 

 悲鳴が遠いうちにリクは幹をよじ登って枝の上にスタンバイした。


▽つづきはこちら

 

リク「………………」

アン「………………」

 

 最後の悲鳴があってからかれこれもう15分ほど経つが、ターゲットは姿を現さない。

 森は異様なほど静かだった。

 

アン「リク君、静かだね」

リク「しっ! しゃべったらダメだよ」

アン「…………」

 

 緊張に疲れたアンが話しかけようとするのをリクが制止した。

 静かだ。

 何故こんなに静かなんだろう?

 アンの口を禁じたリクは彼女の言葉で気が付いた。

 

リク『悲鳴が起こってない!!』

 

 悲鳴で距離を測っていたのに、それがなくなってしまった。

 争う音も魔力の気配もない。

 全員、捕まってしまったのか。

 それとも氷鎖女が見つけられないでいるのか。

 さもなければ……

 

リク『すでに俺たちが見張られて、標的にされているかだ!』

 

 こうなれば先ほどのアンの声はマズかった。

 もうバレてしまったかもしれない。

 

リク『どこだ……? どこだ、どこだ、どこだ!?』

 

 地上を見渡し、木々の中に目をこらす。

 

リク「いない……か?」

  『いや、待て。怖い話なら、来るか来るかと待ち構えてると来ないのに、安心したところでグワーっと! ………………って……別にホラーじゃなかった、相手はヒサメ先生だ。クロエの妄想が感染したかな』

 

 苦笑いしたところで、アンのけたたましい悲鳴が挙がり、リクは思わず枝を踏み外しそうになる。

 

リク「!??」

  『来たんだ!!』

 

 何万回も踏み締められて自然と作られた森の一本道にアンが転がり出てきた。

 

アン「きゃあっ! きゃあっ! きゃあっ!!」

 

 転げ回って、蛇……のおもちゃを取り払っている。

 

アン「何、コレっ!? お、おもちゃ…!?」

 

 ようやく平静を取り戻して、蛇の正体を確認。

 

アン「もうっ!! ヒサメ先生!?」

 

 アンが勢いに任せて辺りに魔法を放つ。

 

リク「……………」

  『気配なんか………わからなかっ………』

  「!!!」

 

 あった。

 気配が。

 しかもすぐ横に。

 

リク「うわあぁーっ!?」

 

 横に目をズラしたら、気味の悪いピエロの人形がドアップで視界を占領。

 驚いたリクは木から滑り落ちて尻を強打。

 

リク「アイタタタ……」

 

 しかしいつまでも転がっているワケにもいかない。

 すぐに体勢を立て直し、呪文を早口で唱える。

 アンはすでに顔に大きなバッテンを描かれて呆然としていた。

 

リク「そこだっ!!」

 

 森の中に向かって、光の魔法を放つ。

 相手だけに有効なめくらましのつもりだ。

 続けて攻撃魔法を完成させる。

 杖を向けて、草の音が動く方向に光の矢を撃ち込む。

 相手が木の幹に回り込んで、それを防いだのが確認できた。

 

リク『こちらを追う隙を与えたら終わりだ! 手数で勝負するしかないっ!!』

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