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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 45-2

 枝から逆さまにブラ下がった氷鎖女である。

 手には筆。

 

氷鎖女「ボケ、負け犬、単細胞」

 

 お互い、相手を倒した証拠とするのは、顔にラクガキをすることであった。

 腰を抜かして、

 

ジェーン「ひっどぉ~い! チョークって言ったのに、なんかインクじゃなぁい!!」

クレス「負け犬って書かれてるぞ、お前にお似合いだな、カイル」

カイル「クレスは単細胞! 君こそお似合いだ。アッハハーっだ♪」

 

 指を突き付け、大口で笑う。

 

クレス「何ぃっ!?」


▽つづきはこちら

氷鎖女「ご愁傷様」

 

 枝に引っかけた足を離して、地上に降り立つとまた散歩するように歩いて行ってしまう。

 背中には気味の悪い、子供大のピエロ人形を背負っている。

 

氷鎖女「次はどなたさまでござるかなー?」

 

 趣味の悪い氷鎖女はこれで生徒達を脅かして回っていたのだった。

 

クレス「あの山猿めぇ! 次はこうはいかないからなー!!」

 

 早々に捕まった者は、おとなしくスタート地点に戻って呪文暗記などの自習である。

 

アン「今、ジェーンたちの悲鳴が聞こえたよ、リク君」

 

 リクについて走っていたアンが後ろを振り返る。

 

リク「クレスたちがやられたようだね。やっぱり先に襲いかかって捕まえちゃおうっていう作戦はダメだったのか」

 

 周囲を注意深く見回しながら、慎重に進む。

 

アン「隠れちゃうのはアリかな?」

リク「そうだね。いいかもしれない。隠れてやり過ごして、背後から襲う………うん、悪くない」

アン「あ、今度はシバ君の悲鳴が………追いかけられてるだけなのに、何で皆、あんな悲鳴上げてるんだろ。ちょっと怖いんだけど……」

リク「神出鬼没だからね、ビビリもするよ。俺も実際、かなり緊張してる」

 

 足音にさえ気を使いながら、隠れる場所を探す。

 

アン「う、うん……」

  「リク君でも緊張したりとか、するんだ?」

 

 全身の神経を集中させてアンの問いを聞いていなかったのかリクの返答がなくなる。

 

リク「この辺の草は丈がある……それに後ろにくぼみ。これだ。ここに伏せていよう」

アン「うん」

 

 二人、道から外れて草の下のくぼみに身を潜める。

 

アン「まだしばらく来ないね」

 

 隣に伏せているリクの存在に胸を高鳴らせて、アンが囁いた。

 まるで二人だけの秘め事のようで、うっとりする。

 

リク「悲鳴が遠かったからね」

アン「先生は何考えてるんだろうね、こんな遊びしてていいのかな?」

リク「…………………」

  『遊び? ……とんでもない。これは、実戦のための訓練だ。対魔物……と考えていいのかな。正面から向き合ったんじゃ、絶対に負ける!』

  「いいかい、アン。先生が来たら、大きい魔法を使ったらダメだ。めくらましになるかもしれないけど、こっちも相手の動きが見えなくなる。それが有効なときもあるけど、今回は舞台が森だ。範囲の大きい魔法よりも、小さく的を絞って小刻みに攻撃をしかけた方がいい」

アン「わ、わかった」

リク「しかし木が邪魔だな。こんな中でどれだけ正確に狙えるか……。魔法を操る技術が試されるな、これは…」

アン「そ、そうだね」

リク「クレスは逆に相手を先に発見して、先手を取って素早く倒す、速効に賭けたんだと思うけど、どうやら相手が悪かったよ」

 

 首をすくめる。

 

リク「人間相手なら、それも奇襲としてかなり有効だったハズなんだけどね。クレスがやってなかったら、俺もやろうと思ってた。皆と同じように逃げてたら、ジリ貧だと思ったから」

アン「相手が人間ならって……人間だよ?」

リク「あ、ああ、まぁ、そうなんだけど。同じようなレベルならって意味さ」

アン「そ、そっか」

 

 しばらくそのまま待っているとあちらこちらで悲鳴が上がり、近づいてくるのがわかった。

 

リク『それにしても……アンの言ったとおりだ。どうして、そこまで悲鳴が上がるんだ? ヒサメ先生は魔法を使ってこない約束じゃ?』

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