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レイディ・メイディ 44-5
2008.06.27 |Category …レイメイ 43ー45話
レヴィアス「……そこで取引です。私にそのような生徒を押し付けたその代償として、クレス君かリク君……どちらかを私に譲るというのは?」
氷鎖女「結局、そこでございますか」
額当てに手を当てる。
レヴィアス「本当は2人いただきたいところですがね」
氷鎖女「……………」
レヴィアス「貴方では彼らを導けますまい。素直に年配に任せればよいのです」
氷鎖女「レヴィアス殿のおっしゃること……わかります」
レヴィアス「そうでしょう、そうでしょう!」
氷鎖女「レヴィアス殿と拙者では親子程も離れておりますし、教官としての経験も力量も差があることは認めまする」
レヴィアス「うんうん。素直でよろしい。貴方はこれから経験を積んでいけばよいのですよ」
氷鎖女「なれど……」
レヴィアス「ん?」
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氷鎖女「これは平教官である拙者の権限を逸脱したお話の内容でございますれば。彼らに直接、働きかけをし、彼らがゆきたいと希望するならば、しかるべき手続きののち、連れていって育ててやって下され」
レヴィアス「それはもちろんです。ですがね、彼らは貴方しか知らない故に、貴方を慕っているでしょう。だから、その貴方から背を押してやって欲しいのです」
氷鎖女「慕われているかどうかはいささか疑問が……、特にリク=フリーデルスなどは拙者をいびり抜こうと、手ぐすね引いておりますし、クレス=ローレンシアはシカトとやらを発動して言うことなど聞いてはくれませぬ」
レヴィアス「早速、手を焼いているのではありませんか」
氷鎖女「だってヤツラ、性格悪いんだもん……でござる」
レヴィアス「ともかく、頼みましたぞ」
時計を気にしてドアに向かう。
次の講義が控えているのだ。
氷鎖女「お待ち下され。……メイディアのことは?」
レヴィアス「返品致しますよ」
氷鎖女「あのように不調に苦しむ者をこそ引き上げての教官ではありますまいか?」
レヴィアス「………………」
ドアノブをにぎった状態で振り返る瞳には、怒気が宿っていた。
レヴィアス「貴方が見捨てて私によこしたというのに、何という言いようです」
氷鎖女「経験者とおっしゃられるのであらば、あの者を助けてやって下され」
レヴィアス「……………」
氷鎖女「才能がどうのと申されますが………才能がある者を伸ばすよりも、ない者を伸ばす方が困難。そこをいかにして導けるかが教える者にとって力を試されるときではございますまいか」
レヴィアス「貴方は、誰にものを言っておいでか」
氷鎖女「……申し訳ございませぬ」
額あてを押さえて小さく頭を下げる。
レヴィアス「そこまでおっしゃるなら、いいでしょう! 次の試験までにメイディア君をトップにまで引き上げてみせます! その代わり、メイディア君が勝ったら、リク君、クレス君共にいただきますよ!!」
氷鎖女「学徒を使っての賭けでございまするか? それはいささか……」
レヴィアス「自信がないのですか? ですが、この私にあれだけ大きな口を利いたのです。できないとは言わせませんよ! ……では、講義があるので、失礼」
不機嫌な足取りで今度こそ部屋を出て行ってしまう。
氷鎖女「はて……大変なことになってしまった。教官同士が争っても仕方ないというに……」
残された氷鎖女も自分の授業のために会議室を後にした。