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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 42-22

レク「行くぞっ!!」

クレス「傷つけても、くれぐれも切り離すなよ。増えるから」

レク「わかってる。俺たちが引き付けているうちに、魔法で片付けてくれ!」

 

 虫が巨体を起こして威嚇する。

 血管の透けた腹が見えたところにレクが迷いなく斬りつけた。

 裂けた側から傷口が凍っていく。

 

レク「これが魔法剣の威力か! おっと」

 

 虫が口から妙な液体を飛ばしてきたので、跳んで避ける。

 

レク「熱湯か!?」

 

 今の今までいた場所に吐きつけられた液が蒸気を立ちのぼらせている。

 

氷鎖女「熱湯でなく、恐らくは酸」

レク「酸! …っと! また来た!!」

 

 転がって避ける。

 

レク「いけない! クレスの方に!!」

 

 呪文詠唱を始めているクレスの邪魔はさせまいと、レクが続けて斬りかかる。


▽つづきはこちら

 

氷鎖女『……俺が手を下さずとも、問題はなさそうだな』

 

 斬りつけては、ステップを踏んで場所移動し、虫の注意を引き付けては、背後に回って斬りつけて。

 レクの実力は前の試験より確実に上がっていた。

 

レク「なんだか、倒せそうだぞ」

氷鎖女『なかなかどうして。やりおる』

 

 体中を傷つけられた虫が体液を撒き散らしながら、大きく跳ねた。

 

氷鎖女「あ、汚い……」

 

 買ったばかりの傘を広げて、体液から身を守る。

 

レク「危ないっ! そっちに行ったぞ、ナツメ!」

氷鎖女「んー」

 

 ゆるりと体を半転させ、軽く避ける。

 

クレス「魔法完成っ! どけ、レク、チェリー!!」

 

 クレスが叫ぶ。

 

レク「仕上げは、任せた!!」

 

 レクと氷鎖女が横に跳んだと同時に魔法が放たれ、虫は体液を凍らされてようやく動きを止めた。

 

クレス「へんっ。チョロイね!」

レク「ひゃあ。さすがはクレスだよ、カチンコチンだ。これなら分裂して増えることもないし」

クレス「ま……まぁ、アンタもよくやったと思うよ、うん……」

 

 素直に褒められて、ちょっぴり照れながら、また鼻の下をこする。

 

氷鎖女「二人とも、よくやったでござ……あ。」

レク「え? ゴザ?」

氷鎖女「…………ニャアーッ!!!!」

 

 「ゴザル」と言いかけてしまい、とっさに力ワザ?で叫んでごまかす。

 

レク「え? え? ナ、ナツ…?」 ビクッ!?

氷鎖女「シャアァーッ!!!」

レク「えっ!? お、怒ってる? 怒ってるの?? ナニ、どうし……ちょっと……」

 

 あわあわ。オロオロ。

 

氷鎖女「シャーッ! ニャーッ!! ニャーッ!!!」

クレス「そうか。僕らの完全なる勝利を祝ってくれているんだね。頭いいな、チェリー。HAHAHA☆」

レク「えええっ!?? 通じちゃってんのォッ!?」

 

 (※………………通じてはいません。通じている気になっているだけで。)

 唐突にピタリと口を閉じてから、

 

氷鎖女「……………クロエ、追わなくていいの?」

レク『も……戻った……』 ふぅ。

 

 そこへ蹄の音が近づいてくる。

 とって返して来たメイディアだ。

 

メイディア「皆さん、こちらで何をなさっているの!? 急いで、来て」

レク「馬が死んじゃったんだ」

メイディア「ではこれを」

 

 降りて手綱を手渡す。

 

レク「メイディは?」

メイディア「ワタクシよりも貴方の方が……」

クレス「そうか、魔法が打てない距離なんだな、近すぎて」

メイディア「それだけじゃ……ないけど……」

レク「わかった。じゃあ、馬は借りる。行こう、えっと……」

クレス「僕が行く! チェリーはメイディアと待ってて」

氷鎖女「承知したでござ………ニャアァァー!!!!」

 

 メイディア、ギクッ!?

 

氷鎖女「キシャァアーッ!!!」

メイディア「な、何ですの? お、落ち着いてっ」

氷鎖女「………ごほん。何でもないにゃー」

メイディア「何でもないって……だって…その……前お会いしたときは、そんなクソ可愛くない萌え所がどこにも見当たらないキモイ猫しゃべりなんかしてませんでしたわよね?」

氷鎖女「……ちょっと、込み入った事情があって頭の可哀想な若人の夢を叶えてみた……ニャー……」

メイディア「………………??」 汗。

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