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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 42-18

クレス「えいっ!!」

 

 馬の鞍につかまってジタバタ。

 近くで目にする馬は思ったより大きい。

 

クレス「んおっ! ……ふぬっ!!」

 

 ……上手く乗れない……

 戦闘の花形である赤・青の見習いは早々と馬上戦闘の訓練もさせられる。

 しかし、後方から剣士の援護をする役目の白・黒見習いは馬を操る訓練開始が遅く、3回生になってからなのである。

 それまで馬に触れる機会のなかったクレスが乗れなくても仕方のないことであった。

 何度かレクたち3人が見本を見せたり、コツを教えてみたがどうにも上手く乗ることができないため、クレスは誰かの後ろに乗せてもらうこととなった。

 

クレス「くそー…」


▽つづきはこちら

フェイト「君は赤薔薇だ。当然、乗れるんだろうな、ナツメ?」

 

 ナツメと呼ばれた氷鎖女がうなづいて、ひょいと馬上にまたがったが……

 

氷鎖女「あ……」

フェイト・レイオット・レク「…………………………………」

 

 身軽にまたがったまではよかったが、足を乗せるようになっているハズの部分に……足が……届いていなかった。

 

氷鎖女「………………」 どんより……

フェイト「調整すればいいけど………時間がかかるし、面倒だ。ナツメも後ろに乗せて行こう」

レク「う、うん……それがいいよ」

レイオット「し、仕方ないわ。馬はだいたい大人の男性が乗るように鞍をつけてるんだし、足が届かなかったからって泣くことないわよ」

氷鎖女『……成人男性です……』 シクシク。

 

 ローゼリッタの成人男性平均身長が180近くあるため、貸出し馬の馬具も平均基準で設置されているのだった。

 続いて、リク。

 

リク「よっと」

 

 長い着物をひらめかせ、華麗な身のこなしで馬上へ。

 さすがは天才児と名高いリク。何でもそつなくこなす…………と、皆が思った次の瞬間、彼は無残にも勢い余って反対側にぐしゃりと落ちていた。

 

全員「………………………」

クレス「さっすがー」

 

 目を細めてイヤミを飛ばす。

 

リク「イッタタタ……あはは、やっぱダメか。馬に乗るなんて、実は初めてなんだ。馬を洗う仕事ならしたことあるんだけどなぁ」

 

 自分だけではなかったとニヤニヤしているクレスにリクが苦笑いで返す。

 

レイオット「これじゃ、乗れたとしても馬を操れるか怪しいし、二人で一頭に乗って行った方が早いわね」

氷鎖女「馬具がなくても乗れるけど…?」

レイオット「いいわよ、一緒に乗って行けば」

氷鎖女「…………」

レク「偶数できっちり乗ってくと、クロエたち見つけたときにどうする?」

フェイト「一頭は誰も乗せずに引っ張って行けばいいさ」

レク「そうだね。そうしよう。借りる馬が減れば、レヴィアス先生のツケも減るし」

 

 どうやら、本人の与り知らない所でレヴィアスに決定してしまったらしい。

 馬の体力を考えて、馬を操れる一番重い者と操れない軽い者とが組むことになった。

 

フェイト「………捨てろよ、ソレ」

 

 表面は干からびているが、あきらかに異臭を放ちだしたナツメの生魚を指さす。

 

氷鎖女「これは……あの……クレスが……」

フェイト「俺の後ろに乗るなら、捨てろ」

 

 腐った魚をブラ下げた女と一緒にだなんて冗談ではない。ギロリと睨みつける。

 

氷鎖女「……………」

 

 しばし迷ってから、ぽいっ。

 仕方なく、詰め所のゴミ箱へ。

 

リク「せめてあぶっておけばよかったのにね。そしたら後で食べられたのに」

氷鎖女「♪」

 

 それを聞いて、ナツメの瞳が輝く。

 

氷鎖女「頭がよい」

 

早速、実行しようというのか、ゴミ箱に突っ込もうとしたナツメの両手首をフェイトが素早くとり押さえる。

 

フェイト「余計な知恵を与えるなよ。だいたい、今からじゃ遅いからダーメ!」

 

 動物か子供をしつけるようにして両手を上げさせる。

 

氷鎖女「……………」 目をそらして、しょぼーん…

フェイト「下らないことしていないで、行くぞっ!」

レク「どこへ?」

フェイト「……え? どこって……」

レイオット「まだ見当つけてないわよ? まず馬を調達しただけで」

フェイト「……う」

    「……君が野良犬みたいなマネするから、調子狂ったじゃないか」

 

 手首をつかんでバンザイさせたままのナツメを軽く横に揺する。

 軽く八つ当たり。もちろん、本気ではないが。

 

氷鎖女「……?」 目をぱちくり。

リク「それなんだけど、皆」

 

 リクが遠慮がちに意見する。

 

フェイト「うん?」

リク「こっちはこっちで探せって、俺たち、正騎士からおっぽりだされて、ある意味、自由になったワケだけど……」

レク「うん」

リク「もう一度、あのおばあさんの所に行ってみたいんだよ」

クレス「だから、どうして? 正騎士の人も言ってたろ。なんとなくで動くなってさ」

 

 老婆を擁護するクレスの反発がすぐさま挙がった。

 

リク「おばあさんを疑るわけじゃないけど……頼むよ。すごく気になるんだ」

レイオット「一度、探したのに?」

 

 レイオットが首をかしげる。

 

リク「……え、あ、うん……でも……」

レク「いや、わかったよ。気になるっていうのはさ、行ったときに本当はどこか不自然って感じてたんだよ。でもそれが何だかよくはわからなかった。だから何もなかったということにしたけど、後から考えるとやっぱり何かおかしいって感じる……そういうことだろ?」

リク「そうなような違うような……」

クレス「ハッキリしろよ」

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