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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 42-15

 天の助けか、その民家はまさにクロエが捕らわれている家であった。

 ただし、こんなボロぞうきんになって魔法も使えない彼女が役に立てるかはまた別だ。

 あまりに古い家なので人がいるかどうか心配しながらそっと窓を覗いてみると、いるにはいた。

が、例の男たちではないか。

 

メイディア『ひえぇ~っ!!』

 

 ボンヤリしていた頭がショックのために動きだし、あわてて首を引っ込める。


▽つづきはこちら

男たち「もう3日経つ。ここにも追っ手は来たが、何もないと結論付して行っちまったからな。もういいんじゃないか?」

   「いや、まだ待った方がいい。ここは無事だったが、この辺りは警戒されて兵士がウロウロしてるぞ」

   「もっとずっとここに潜伏して、包囲網がゆるむのを待つが得策だろう」

   「……わかった。飯だけはあのババァが勝手に用意してくれるけどな」

メイディア「……………」

男たち「ババァが口を滑らすことはないだろうな?」

   「いや、それは平気だ。ここのばーさんは、息子が帰って来たっていうのが口癖だ。誰も信じやしまい」

   「ならいいが……」

   「食物庫調べられたときはもうダメかと思ったが……」

メイディア『……食物庫?』

男たち「姫さんが便所に行きたいなんて言ってくれたおかげで、逆に助かったな」

   「ああ。逃げ出す隙を伺おうとしたのだろうが、反対に助けを遠ざけてしまうとは皮肉なものだ」

メイディア『……………』

男たち「念のため、俺はその辺を見回ってこよう」

   「俺も」

メイディア『来るの!?』

 

 ぎくりとしてメイディアは隠れる場所を探す。

 

男「俺もクソしてくるわ」

 

 合わせて3人がドアの方へ向かってくる。

 メイディアがあせって家の裏側に回ると老婆が裏の小さな畑をいじっていた。

 

メイディア『わわわ、こっちにも人が! どうしましょう!?』

 

 また家の正面に戻ると今まさにドアが開かれようとしている!

 とっさにそのドアの横に息をひそめて立つ。

 何も知らない男がドアを開けて出てくる。

 

メイディア「……………」 どきどきどきどき。

 

 現在のメイディアは、開いたドアの後ろに立っている状態だ。

 運のいいことに、男たちは振り返りもせずに後ろ手でドアを閉めて行ってしまった。

 

メイディア「はあぁぁ~っ」

 

 大きく息を吐き出す。

 けれど、これで危機が去ったわけではない。

 今、この瞬間にでもふいに顔をこちらに向けられたら終わりなのである。

 

メイディア『隠れる所、隠れる所ぉ~』

 

 そわそわと周囲を見回す。

 早くしないと、一人はただ手洗いに出ただけだ。すぐに戻って来てしまう。

 

メイディア『……どうしましょう、どうしましょう……』

 

 家の中に誰もいなければ、入ってしまおうと覗いてみる。

 

メイディア『うっ、まだ一人いるぅ~』

 

 けれどその一人は、背中を向けて窓に乗り出し、裏庭の老婆と話をしている。

 

男「今日の晩飯は何だい?」

老婆「お前の大好きな野菜のスープだよ」

男「母さん、それしか作れないのか。もう飽きたぞ」

メイディア「………………」

 

 目に付いた植木鉢を腕に抱いて、ドアを開く。

 

男「うん? 長いクソだったな、お前……ぐあっ!?」

 

 ドアの音に気づいて振り返った男の顔面を植木鉢が直撃!

 

メイディア「やったわ!」

 

 男が失神しているのを確かめると、すぐさま食物庫の蓋を開く。

 

メイディア「クロエ!」

クロエ「!! んーっ! んーっ!!」

メイディア「そこね。今、ゆきますわ」

 

 男の腰に下がっている短剣を抜いて飛び降りるとクロエに駆け寄り、縄を切った。

 

クロエ「やった!! ありがとう、メイディ!」

メイディア「お礼は後! ここを抜け出さなければなりませんのよ。外にはまだ3人います」

クロエ「急ごう」

 

 階段を上がって、倒れている男の長剣を拝借。

 ついでに男が目覚めても動けないようにロープで縛ってしまう。

 その間にメイディアは欲していた水で喉を潤していた。

 

クロエ「あんまりがぶ飲みしないで! 動けなくなるでしょ」

メイディア「はぁい」

クロエ「だいぶ憔悴してるわね、メイディ。ちょっと待って。回復魔法をかけるから」

メイディア「ワタクシは平気です。それより早く逃げましょう」

クロエ「逃げるにも回復しておいた方がいいわ」

 

 白い光に淡く包まれた両手を傷ついて疲れ切ったメイディアにかざす。

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