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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 42-17

男たち「知らせに走らせるな!!」

   「追え! 殺せ!!」

メイディア「…………」

クロエ「メイディ!! 走って、メイ!!」

メイディア「………うううっ。うわあぁんっ!!!」

 

 きびすを返して、泣きながら走った。

 ……友達を置いて。

 魔法を撃てなかったばっかりに。

 自分が助けるなどと欲をかいたばっかりに。

 全部、自分の身勝手と無力さが招いた結果だ。

 せっかくクロエの居場所をつきとめたが、これでまたヤツラは移動してわからなくなる。

 見つけた時点で、引き返して知らせに走っていれば良かったのに。

 どうしていつも悪い方に悪い方に動いてしまうのだろう。

 

メイディア「こんな……ひっく、つもりじゃ……なかったのに……」


▽つづきはこちら

 

 メイディアを逃がすまいと追い始めた男たちをクロエがさらに追いすがる。

 

クロエ「行かせはしないわ!!」

男たち「チクショウ!」

 

 剣の合わさる音や怒声が遠くなる。

 物語のヒロインのように友の危機を前にして突然、大いなる力が目覚めたりしたなら良かったのに、メイディアという少女の上にその奇跡は起こりそうもなかった。

 

 

 たまにの休日を町で楽しく過ごすはずだった薔薇騎士見習いの学徒たちは、姫と間違われてさらわれた友人のために養成所に戻る事なく、駆けずり回っていた。

 

薔薇騎士「だから。なんとなくとかそういう理由では動けないんだよ」

リク「お願いします、クロエはそこにいると思うんです」

騎士「何故だ」

リク「理由は申し上げた通りです。包囲網に穴が開くまで潜伏しているんじゃないかと」

騎士「だから、探しただろう」

リク「もう一度、あのおばあさんの家に行きたいんだ」

 2つ隣の町までついて来ていたリクがしつこくせがんだ。

 町中をくまなく捜したが、未だ見つからず。

 もう警戒の目をかい潜って外に抜けてしまったのではないかと思われ始めたころ、情報を集めていた見習い一団……リク、クレス、レク、レイオット、フェイト、氷鎖女の6人が、とある老婆に出会ったのである。

 町外れの森にひっそりと一人暮らす老人が食料を買うためにやってきたのである。

 老婆は町の幾人かには知られた存在で、声をかけられていた。

 息子が帰って来たと嬉しそうに言う老婆。

 

リク「帰って来た? 最近?」

フェイト「……怪しいな」

レク「最近って言うのが……ね」

 

 だが、聞いてみると店の主人が笑って言う。

 

店の主人「あのばーさんはいつもそうなんだよ。たぶん、寂しいんじゃないかねぇ? 帰って来た帰って来たっていつも言うけど、実際には帰ってきてないんだから」

レイオット「息子さんはどちらに?」

店の主人「鉱山掘りだからねー、年に1回帰って来るのが関の山なんじゃないかねぇ?」

クレス「なぁんだ。ただの口癖かぁ」

氷鎖女「………でも…」

リク「でもそれにしては、買い物が多いんじゃない?」

フェイト「やはり人が来ているんじゃ?」

 

 ……そんな経緯で、老婆の家を訪ね、中を一度は改めさせてもらったが、クロエとメイディアが見つかることはなかった。

 鉱山から帰ったという息子は確かにいて、老婆は脅されて裏口を合わせているわけでもなさそうだった。

 

クレス「もうやめろよ、おばあさんを疑るのは」

 

 祖母に育てられたクレスとしては、老人を疑っているようで気持ちが良くないのだ。

 

リク「疑ってるわけじゃ……」

フェイト「俺も怪しいと思ったけど……天井裏探してもいなかったし。あきらめて別の線で探して行こう。こだわるのは良くない」

レイオット「そうね。今一度、頭の中を白紙に戻して、考え直してみましょう」

 

 周辺地図を広げる。

 

レク「騎士の後ろに無理やり乗せてもらって、ここまで来ちゃったけど、俺たちも馬が欲しいな。移動範囲が限られちゃうじゃん」

 

 結局、邪魔にされて放り出されてしまった6人。

 

フェイト「馬か……」

クレス「馬……馬……。うーん……あ、ヒサメの奴の名前でレンタルしちゃうってのは?」

氷鎖女『なぬっ!?』

レイオット「先生のツケで?」

氷鎖女『オイオイ』

レク「いいね、ソレ」

氷鎖女『これこれ』

クレス「だろ?」

フェイト「どうせなら俺…………レヴィアス先生がいいと思う」

氷鎖女『?』

リク「なんで?」

フェイト「……好きじゃないから」 しれっと。

レク「うわ、言っちゃった」

レイオット「じゃあ私もレヴィアス先生にするー♪」

レク「レ、レイオットまで」

リク「じゃあ俺も」

レク「リ、リク!?」

リク「だって、ヒサメ先生に迷惑かけたくないし」

氷鎖女『アゴにしたら、結局、俺が怒られるから同じなんだよ、わかって、諸君!!』

レク「本当に実行するの? ヤバくない?」

レイオット「仕方ないわ」 あっさり。

     『メイディが無断で近所の農家から馬を借りて来たときに比べれば……』

 

 去年、薔薇騎士レンジャーナイトショー観たさに養成所を抜け出し、犯行に及んだことをしみじみ思い出す。

 今度は盗むんじゃなくて、正当な理由があって借りるだけだから先生も許してくれるに違いない! と、レイオットは勝手解釈していた。

 

レイオット『そうよ、後でお金も払うんだし。……レヴィアス先生が』

レク「そ、そっかなー?」

 

 で。

 馬を借りてみた。

 実家が牧場を経営しているレイオットは慣れた身のこなしで馬にまたがる。

 フェイトも元々、騎士の家なので難無く乗馬。

 レクも問題はなし。

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