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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 42-24

クレス「“その、あれ”?」

レク「ああ、それ、俺も気になってた。ずっと」

レイオット「私も。聞いたらいけないのか、ツッコんで欲しかったのかわからなくて黙っていたけど」

フェイト「何なんだ、ソレ?」

クレス「………え…っと?」

リク「まぁ、色々、事情がありまして」

 

 皆の目線をたどってクレスは改めて自分を見た。

 そうだった。

 クロエ誘拐事件ですっかり忘れていたけど、自分はメイディアを追って町まで繰り出して来たのだった。

 わけもわからず殴られて、気を失ったところで服をはぎとられ、代わりにメイディアの服を着せられていたという……。

 入所当時はメイディアより小柄だったクレスはだいぶ背が伸びて、今ではわずかに上回っている。

 まだ伸びる気配があって、時々、足の関節が痛む。

 そんなクレスがやや小さめで細い服を着ればどうなるか。

 考えなくてもわかる。

 同じ背でも男女では骨格も違うのだ。


▽つづきはこちら

 

リク「ブラウスの腕のつけ根、破れてるよ?」

クレス「……………」

 

 腕を上げてみる。

 ビリリと音が追加された。

 

クレス「……げ。」

 

 戦闘などこなして激しく動いたために縫い目から裂けてしまったらしい。

 

レイオット「お嬢様服を着て……」

レク「しかもぱっつんぱっつんのつんつるてんだしさ」

フェイト「何がしたいのかなとか思ってみたり」

クレス「…………ち…」

 

 一応、女装には違いないのだけれど、萌えどころナシのクレスの顔がたちまち茹で上がった。

 

クレス「違うんだ、コレはっ!! 違う! 僕じゃないっ!!」

レイオット「何が僕じゃないの?」

リク「あははー♪」

フェイト「いいけどさ、人の趣味はそれぞれだし」

クレス「待てったら! 誤解だ」

レク「大丈夫だよ~、皆、口堅いから~。黙っててあげるって」

クレス「憐憫の目で見るなぁっ!! うわあぁーん!!」

 

 走ってどこかへ行ってしまった。

 あの姿で、外へ。

 

レク「あーあ、行っちゃった」

 

 クレスによって乱暴に開かれたドアが壁に当たって跳ね返り、ゆっくりと閉じてゆく。

 

レイオット「からかいすぎたかしら?」

フェイト「放っておけば戻ってくるだろ」

リク「面白かったね」

氷鎖女「……………」

   『……バレると俺にもああいう仕打ちが待っていると……そういうことか……』

 

 無責任に喜ぶ連中を前に、氷鎖女はごくりと生唾を飲み込んだ。

 

氷鎖女『これはますますもって絶対に正体をバラすわけにはゆかぬ!!』

リク「あれ? どうしたの。顔色悪いよ?」

氷鎖女「!!」

   「ううん、ううん」

 

 かぶりを振る。

 リクはいつも通りの態度で聞いただけだったが、氷鎖女の目にはこのように映っていた。

 

氷鎖女視点でのリク「どぉ~っしたのっかなーあ? やけに青ざめてんじゃん、チェリーちゃんよォ? 何か隠し事でもあるんじゃねーのかぁ? あーん? 早くゲロっちまいな。もうネタは上がってんだヨ。隠し通せるとでも思ったのかァ? ヒッヒッヒッヒ」

 

氷鎖女「…………………」 ブルガタ、ブルガタ。

リク「何? 人の顔、じっと見て?」

氷鎖女「う、ううん」

 

 あわてて顔を伏せる。

 

氷鎖女『…け…消さなければ……』 どきどき。

リク「?」

レイオット「長いわねー……」

 

 飽きてきたのかレイオットが伸びをして言った。

 もうかれこれ2時間ほどこうして待っている。

 

レク「クロエは眠ったままだったし、メイディは話を聞かれてるんだと思うよ?」

 

 レクが答えると、続いてフェイトが肩で息をついた。

 

フェイト「ったく。毎度、彼女は何をやっているんだか。これじゃ、先が思いやられるな」

レク「彼女?」

フェイト「メイディア=エマリィ=シャトー」

レク「お手柄じゃないか」

フェイト「何がお手柄だ。知らせるべき機会は2度もあったんだぞ? 2度も、だ。それなのに……。一人でどうこうできるモンじゃないっていう判断くらい、つかなかったとは言わせないぞ」

 

 苛立たしげに閉じていたまぶたを上げて、眼球をくるりとレクに向けた。

 

レク「目の前で友達がさらわれてたら、そりゃあ、知らせに走るよりまず取り返そうって動いてしまうのは、しょうがないじゃないか。俺たちだって犯人見つけて、結局、知らせに行かずに皆で取り押さえただろ」

 

 ここにはいないメイディアを擁護する。

 

フェイト「状況が違う。すぐに詰め所に走って騎士団に知らせていれば、町を即座に封鎖できたんだ」

 

 普段よりもいっそう強い瞳でレクを見据える。

 

フェイト「2度目のときも、ヤツラのアジトを見つけたなら、余計な手出しせずに戻って知らせるべきだった!」

レク「それは……」

フェイト「あげく、見つかって追いつかれて、助けるどころかクロエを置いて自分だけ逃げてくる!」

レク「じゃあ、2人で一緒に捕まればそれで良かったとでも?」

フェイト「違う! 独りで動き回ったあげく、状況を悪い方にかきまぜて、手に負えなくなったら逃げるっていう身勝手さが許せないんだよ!」

レイオット「結局、無事だったんだから、もういいじゃない」

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