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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 37-6

氷鎖女「ま、どうしても猫殿が変身しなければ、そのうちに飽きて忘れるであろ」

ミハイル「だといいが……。かなり夢見てるぞ、アレは」

氷鎖女「お。アゴが来よった」

ミハイル「あご?」

 

 日蔭を求めて来たのか、レヴィアス教官が分厚い魔法書を小に抱えて校舎裏を通りがかった。

 猫に話しかけていたクレスが、あわてふためいているのがおかしい。

 

ミハイル「……レヴィアス殿か。……………………お前、アゴとか言うなよな」

氷鎖女「ちょっと面白い。プッ。転んで地面に突き刺さって抜けなくなったらどうしよう~♪」

 

 わくわく。

 

ミハイル「お前の笑いのツボがちっともわからん」


▽つづきはこちら

 そんな覗き見二人のさらに背後からニケがやってきて、氷鎖女の背を叩く。

 

氷鎖女「ニケ殿!?」 ギク。

   「拙者、レヴィアス殿のアゴなんて……アゴなんて何もしてないでござるよっ」 アセアセ。

ニケ「いや……聞いてないよ、そんなこと……」

  「ちょっと話があるんだ。いい?」

氷鎖女「……お……怒る? 怒る?」 どきどき。

ニケ「怒られるようなことでもしたの?」

氷鎖女「しておらぬ。誤解でござる!! ただ見てただけっ!! 見てただけ!! 拙者、大人だから妄想と現実の区別はちゃんとっ!! うん、平気っ!!!!」

 

 言えば言うほど、果てしなーく挙動不審。

 

ニケ「いや、だから何が?」 汗、ツツツ。

ミハイル「……気にしないで下さい。コイツも頭にウジわいてるんですよ」

ニケ「う、うん。そうみたいだね」

 

 ニケが不審人物・氷鎖女をれていなくなると、ミハイルも自分の用事を思い出してきびすを返した。

 

ミハイル「俺もこんな所で油売るつもりはなかったんだった」

 

 通ろうとしたら例のとおりクレスがいて、妙なことをやっているからつい観察してしまった。

自分はこれから薬の買い出しに行かねばならないというのに。

 氷鎖女は氷鎖女で木陰でスケッチでもするつもりだったのだろう。

手には簡単な画材が握られていた。

 現れたレヴィアスはといえば、単に通りかかったのではない。

クレス=ローレンシアその人を探していたのである。

 

レヴィアス「クレス君。休みもこんなところで修行かね?」

クレス「えっ!!? あっ、いや……別に……」

 

 チラリと足元の猫を見やってから、

 

クレス「……………………ま、まあね!!」

 

 ……思わずウソをついた。

 

レヴィアス「それは感心だ」

クレス「ハ……ハハ」

 

 乾いた笑いを浮かべて教官を見上げれば、ついあの突き出たアゴに目がいってしまい、あわてて口を押さえつけた。

 

クレス『いっけね。ヒサメが変なコトするから……っ!!』

 

 前のアゴつかみ事件を思い出したら、急におかしさが膨れ上がってどうしようもなくなる。

 

クレス『………………ヒサメのバッカヤロ~……!!

 

 大人のクセにロクなことしないんだ、アイツは!!

 人前で爆笑なんかしたくないクレスは必死で歯を食いしばるしかない。

 そんな気持ちでいることなんかもちろん知りようもないレヴィアスが自分の下へ来ないかと真面目に誘いかけてきた。

 

クレス「……ハ? それは……どういう?」

 

 爆発寸前だった笑いを引っ込めて、目を見張

 

レヴィアス「私は前にも言ったね。君は何十年かに一度……いや、ひょっとしたら百年に一人の才能の持ち主かもしれないと」

 

 無論、覚えている。

その話の途中でリクが割り込んで茶々を入れて…………と、そこまで思い返して、またもアゴ事件が頭の中で再現。

クレスは再び口に手を当ててこらえた。

 

レヴィアス「君は光る原石だ。私はこの手で君を最高の宝石に磨き上げたいのだよ。言っている意味が分かるかね?」

クレス「僕に才能があることなんて、昔っからわかっていることさ。今更、言われなくたってね」

 

 ふんと鼻で笑ってみせたものの、実は内心嬉しく思うクレス。

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