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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 37-2

 問題その3。メイディアのクラス替え。

 

レク「これはなー……。うーん。本当に周りがとやかく言う問題じゃないんだけど」

 

 なのに今までの彼女が培ってきた揺るぎなき嫌われ者の地位が、話題に火をつけ、周囲の付け込む隙を与えてしまっているに過ぎない。

 本人さえ変われば、この問題は解消されるはずなのだが。

 

レク「かといって、本人に反省を求めるのも何か違うんだよな」

 ない知恵を絞ってうんうん唸っていると、隣の上の段から文句が飛んできた。

クレス「ちょっと、うるさいよ!!」

レク「あ、クレスいたのか、ゴメン」

クレス「いて悪かったね」

 

 横のベッドからも、

 

リク「俺もいるよー」

レク「何だ、二人とも戻ってたんだ。言ってくれれば良かったのに」

 

どうも独り言丸聞こえだったらしい。


▽つづきはこちら

リク「ナニ、メイディのこと?」

クレス「あんな裏切り者、放っておけよ」

 

 クラスの連中に言われると関係ないと突き放すクセに、やっぱり内心面白くなかったクレスは不機嫌だ。

 

レク「裏切り者なんて。別にクラス同士が敵ってワケじゃないんだし、それはおかしいんじゃないかな」

 

 苦笑してやんわりとフォロー。

 

リク「そうだねぇ。メイディの自由だから、それは」

クレス「自由だって!!?」

 

 自由という言葉に、ベッドの作から身を乗り出したクレスが意外なまでの反応を示す。

 

リク「うん?」

レク「?」

 

 二人が注目する中でクレスは青い双眸を吊り上げる。

 

クレス「自由!! 自由だって!? バッカじゃないの!? メイディはその前から少しおかしかったじゃないか!! 魔法不発するなんて初めてだ!! クラス中があの女のこと、偽り姫のコソ泥だって言ってるの知らないの!!? いられなくなって当然じゃないか!! 皆で追い出したんだ!!」

 

 おや、本当に意外。

 残りの二人が顔を見合わせる。

 

クレス「な…………なんだよ」

リク「いやぁ、クレスはメイディの味方なんだなぁって思って」

レク「うんうん」

クレス「ちっ……!! 違うっ!! そーゆーんじゃないっ!! そーゆーんじゃないけど…………ムカツクんだよ!! だいたい、そんなこともわかんないで、お前、それでもメイディの友達!!?」

 

 …………と、言ってしまってからハッとなった。

リク・レク、にっこ~☆

 

クレス「にっ…………ニヤニヤするな!! 気持ち悪いっ!!!!」

 

 すぐ下のレクにはぶつけられない代わりに、ありったけの力をこめて斜め下のリクの顔に枕を投げつけてやった。

 

クレス「僕がそうだっていうことじゃないからなっ!! 勘違いしないでよね!! あんなワガママお嬢なんかどーなったって僕は知らないんだ。お前たちがいちいち騒ぐから、ちょっと入れ知恵してやっただけなんだ、感謝するんだねっ!!! あー、眠い眠い。もう寝る!!!」

 

 ふて寝したはいいけれど、夏本番間近だというのに、タオルケットを頭からかぶってしまって、すぐに後悔の念に襲われるクレス。

 

クレス『暑い!! くそぅ』

リク「照れなくてもいいのに」

レク「あはは」

  『良かった、メイディ。君にはまだまだこんなに味方がいるじゃないか。心配ないよ……』

 

 失礼だけれど、思ってもみなかったクレスという隠れた味方を見つけて、レクは自然と笑みをこぼした。

 

 

片方は隠れた心強い味方・クレス、そして片方は何だかちょっと怪しいような気もするけど、まぁたぶん味方に違いないリクの、二人の存在に背中を押されたレクはとうとうメイディアと対決の心を固めた。

 背後ではレイオットの「もうレクには頼まない、私が!!!」オーラが漂っていて、ここでどうにか矛を収めさせないともっと厄介なことになると感じていた。

 

レク『ポイントは、どれだけレイオットがメイディアを心配してくれてるかってコトだよな』

 

 本当は彼女もそれをわかっているハズだ。

意地になっているだけに違いない。

 メイディアは感情に走りやすいが、元々頭の良い子。

一呼吸置けば、物事を建設的に考えてくれるハズなのだ。

好意的な関係を保つ間柄なら特に。

 その一呼吸置かせようとしている間にレイオットにせっつかれたり、新たな問題を次々起こしてくれるものだから、複雑になってしまったが。

 

レク「メイディ!!」

 

 学問の授業を合わせて、近づく。

やはり彼女はただ一人、噂の渦の中を背筋伸ばして何食わぬ表情で歩いていた。

フェイトが鼻先で馬鹿にする彼女のプライドは、ここまでいくと逆に大したもののように思える。

一見、酷く鈍感で何も感じていない無粋者か、または全てを無視できる石の心の持ち主。

彼女をそんな風に思っている人間が大半だろう。

けれどレクは考える。

彼女はそんな単純な女の子でないはずと。

耐えられないのに耐えようとしている強い女の子というだけで、傷ついていないわけがない。

傷ついた素振りを決して見せないのが彼女のプライドなのだ。

 

フェイト「……鼻っ柱高ッ」

レク「スゴイことだと思うよ」

フェイト「……褒めるところなのか?」

 

 よくわからないといった風に肩をすぼめて見せる。

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