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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 37-4

メイディア「よろしくて?」

 

再び奪取したシャベルを勢いよく、一人問答するレクに向ける。

 

メイディア「ワタクシは強くなりたいから、レヴィアス先生に師事を仰いだのです。ヒサメ先生の知らない呪文を教えてもらうの!!」

     『そうして、リクとクレスを出し抜くのだわ!! 一番はワタクシ!! メイディア=エマリィ=シャトーなのよっ!!!!』

 

 幼かった表情は瞬く間に消え失せ、代わりに決意強い光が燦然と輝いた。

 

メイディア「ワタクシは、背中越しにコソコソとしか意見できない方々など、目ではありませんの。逃げ出しただなんてそのようなことはこのメイディアにはありえません。心配性なクレスに伝えてちょうだい。ワタクシは心配されるほどやわではございませんと。それよりも、自分の身を心配なさってとね。フフフッ」

レク「………………えぇ~っと」

 

 想像していた展開と違うんですが…………。

対応に困って苦笑いを浮かべる。


▽つづきはこちら

レク「あ、あ~…………それならまぁ、いいんだけどさ。メイディが気にしてないんなら」

  「じゃ、じゃあ。最近、変に思えたのはレイオットと上手くいってないせいかなぁ? んっんー」

 

 咳払いでごまかしながら、さりげなさを装ったつもりでズバンと核心に突入。

 

メイディア「…………どこでそれを?」

 

 たちまち不機嫌な声が突き刺さってレクは失敗を感じ取った。

けれどここで引くわけにもいかないのが辛いところ。

 

レク「レイオット、ずいぶん気にしてたぞ。とっさにメイディぶっちゃったって……」

メイディア「…………むぅ」

 

 ずいぶんと前に叩かれた頬に手を当てる。

 

レク「あれから話しかけても答えてもらえないって、ずっとしょげ返ってるぞ?」

メイディア「そんなことまで話したのね、レイオットは」

レク「他には話してないよ。俺たちが聞き出しただけなんだ。様子が変だったから」

メイディア「……たち?」

レク「あ……いや……」

メイディア「んっま!! フェイト=ウィスタリアですのね?」 ジト目~。

レク「う……」

メイディア「なんてこと!! よりによってあんな人に……」

レク「あー……レイオットはさぁ、別に……その……なんて言うか~……あー」

 

 言い訳を探して左右にせわしく動く眼球。

それに気づかないメイディアが悲鳴のように声を上げた。

 

メイディア「またワタクシが嫌な子だと思われてしまうじゃないっ!!」

レク「……エ?」

 

 憮然として、

 

メイディア「だってそうでしょ? シラーを疑ったって。それでレイオットがワタクシをぶったんですもの」

 

 ふーんだ。

顔を背けてバケツを手にする。

 

レク「誰に嫌な子だって思われるって?」

メイディア「だから今言ったでしょ!? フェイト=ウィスタリアによ。あの人こそ嫌な人だわっ」

レク「……………………………………フェイトに?」

メイディア「他にいて?」

 

 鼻で息をつく。

 

レク「……そ、そっか。フェイトに嫌な子と思われたくないんだ?」

メイディア「……………………? ……………………」

 

 しばし言葉の意味を考えて、

メイディア「ハァ?! ちょっ……ちょっとっ!! 変なふうに誤解なさらないで下さるっ!? レイオットとレクはワタクシを変なふうに見ないから……っ、でもあの人は違うでしょって言ってるの!! 何でも悪い方に悪い方に取るんだからっ!! 性格ねじ曲がっておいでなのよ!!!」

 

 一気にまくし立てて、息切れを起こす。

 しかしそれが相手に届いているのか。レクはニコニコ。(メイディアからはニヤニヤに見える)

 

メイディア「勘違いなさらないで!! あの人、ワタクシが失態を犯したときに限って登場するの。まるでワザとあざ笑うために目ざとく見つけて駆けつけて来ているんじゃないかしらって思えるくらい!! ワタクシ、あの人、大大大ッ嫌い!! 気が付くといるんだもの。いっそどこかに消えてなくなってくれればいいのに!! せめて視界の入らないくらいのにいて欲しいものですわ。ええ、向こうでもそう思っているでしょうけどね」

レク「そっか……フェイトか……」

メイディア「ちょっと、聞いてるの? わかって下さったのでしょうね、今の話!!」

レク「もちろんだよ、メイディ!!!!」

 

 彼の満面の笑顔はすこぶる怪しくて、メイディアは訝しんだがこれ以上問いただす時間もなく、チャイムが鳴った。

 

メイディア「あっ。ではご機嫌よう」

 

 バケツとシャベルを手に走りだす。

 

レク「やべ、遅刻だ」

 

 方向の違うグラウンドへ駆け出しながら、まだ話の核にも触れてなかったのに、しまったなと思った。

 

 レクと別れて、教室の方を目指していたメイディア。

 

メイディア「ん、お水入れたまま走ることはありませんわね」

 

 途中で気が付いて一度足を止めると、中の水をその辺に放る。

 蟻巣に流し込もうとして止められたあの水だ。

 

メイディア「せーのっ」

 

 バシャッ!!

 

メイディア「………………あら?」

 

 誰もいない植込みに撒いたつもりだったのに。

 

メイディア「アラアラ、不思議。お水をあげたら、人が生えて来ましたわ……」 目をパチクリ。

 

 その向こうの木陰から、ずぶぬれになってゆっくり身を起こしたのは……

 

フェイト「…………………………」

 

 ……フェイトだった。

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