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レイディ・メイディ 第37話
2008.05.04 |Category …レイメイ 36-38話
第37話:キミノ ミカタ
レイオット「メーイーディーアーがぁぁぁーっ!!!! レク!! ナントカ話してみるって前に言ってくれたの、どーなったの!!?」
元々ではあるが、さらにさらに悪い噂ばかりしか流れてこなくなったメイディアの話を耳にしたレイオットが木刀振り振りレクに詰め寄る。
レク「わかってるよ。タイミングがあるんだってば」
レイオット「もういいわ。やっぱり私が1対1で…………。話せばわかる!! 雨降って地固まるっていうことだし、更に激しく川原で争えば、熱い友情が芽生えてきて原因なんかどうでもよくなるハズよ!!」
フェイト「…………脳みそ、筋肉女…………」 ぼそ……
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レイオット「じゃ、行ってくる!!」
レク「まぁ、待った、待った!! ダメだよ、メイディは一度ヘソを曲げると初めから聞く耳持とうとしないんだから。それにレイオットだって折れるつもりないんだろ? そしたら堂々巡りじゃないか、話が」
レイオット「でもっ!! メイディをこのまま野放しにはしておけないわ。誰かがストッパーになってあげないと、本当に独りになっちゃう」
フェイト「イテテ……。……ハァ。もう放っておけよ。好きでやってんだろうからさ。姫様のお守りか、お前ら」
木陰に転げて休んでいるフェイトに二人の鋭い視線が飛ぶ。
二人「フェイトは黙ってて!!!」 キッ!!
フェイト「わ…………わかったよ……」
気おされて、首をすくめる。
日中、このようなやりとりが交わされ、改めて気を配ってみると本当にメイディアの話題で溢れかえっている。
フェイトではないけれど、どうしてそう好きでもない人間のことでそこまで盛り上がれるのだろうと感心するほどだ。
自分やレイオットはいい。
彼女と友好的な関係にあるのだから、心配もするし口にその名が上っても自然だ。
だけど他の連中ときたらどうだろう?
レク「そんなに嫌いならわざわざ観察して揚げ足取るマネしなきゃいいのに。放っておけば実害はそんなにないんだしさ」
メイディアと一度も口を利いたこともないような連中まで悪口に花を咲かせている。
フェイト「…………本気で言っているのか、お前は。あきれた奴」
レク「……え?」
フェイト「養成所っていう密閉された箱の中の、娯楽なんだよ。一種のな。俺はサイアクだと思うけど」
吐き捨てるように告げると、早足で…………トイレに入っていった。
レク「…………はぁ~。問題山積みだなぁ」
きびすを返すと自分の部屋に戻ってベッドに体を投げ出した。
問題山積み。
自分のことではなく、全て1つ下の妹みたいなメイディおじょーたまの問題なのだが。
レク「まず整理だ」
問題その1。レイオットとメイディアのケンカ。
理由はメイディアがシラーを嫌い、レイオットがそれに賛同しなかったことによる意見のすれ違い。
ではどうしてメイディアはシラーをそこまで嫌うのか。
噂どおり、メイディアが本当の令嬢ではないから?
レク「それはないな。だってそうだとしたら、シラーに反抗的な態度をとるワケないもんな」
ここは慎重に本人からどうして嫌うのか聞き出した方がいいかもしれない。
問題その2。アンとメイディア。
大事なノートを引きちぎって、足蹴にするショッキングな行為。
どう見ても120%メイディアが悪者である。
盗んだとアンは主張しているが、レクはそれを信じなかった。
アンを疑うわけではなく、思い込みやすれ違いの結果に違いないと考えたのだった。
メイディアは確かに人の物は自分の物、自分の物は自分の物という恐ろしい思考の持ち主ではあるが、これはまた驚いたことに悪意ではなかったりする。
そこが手に負えないところだが、代わりに「手癖が悪い」と人に言うだけあって、盗もうという気持ちは皆無なのだ。
高いところに有る物を取りたくて、勝手に皆の荷物を重ねてその上に土足で上がっても、中を開けて欲しい物を物色するようなことはない。
それは彼女が生粋の貴族令嬢で何の苦労も知らないから他ならない。
他人の物を手にする必要がないのだ。
物欲でないとするとアンに対する嫌がらせの可能性だが…………
レク「悪いけど、メイディは自分の脅威でない子に牙を剥くとは思えないんだよなー。アンに何かされたんなら話は別だけど、今、メイディが敵視してるのはシラーの方だし……」
シラーになら、何か企てる可能性大なのが困ったちゃん。けれどノートをうんぬんというやり方はらしくない。
派手好きで何でも堂々たる彼女は、陰湿なイジメのようなやり口は考えにくい。
やるなら堂々とイジワルを………………………………
レク「………………………………うーん。ダメだ、コリャ」 ガックリ。