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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 36-7

クレス「図々しい奴だな、まったく」

少年「……う」

リク「いいじゃないか、クレス。練習試合だったんだ」

クレス「だけどさァ」

 

 納得いかないといったふうに少年をギロリとみつける。

 

リク「そんな怖い顔しないで。ホラ、スマイルスマイル♪」

クレス「うるさい、お前が言うとムカツクんだよ!!」

リク「そうかなぁ?」

 

 唯一、リクだけが友達になってくれたので、その側に隠れるように少年は座っていたのである。


▽つづきはこちら

 一方、メイディアはといえば、早速習った魔法を恐るべき速さで吸収していた。

もちろん、簡単に吸収できていたわけではない。

休み時間も食事中も無駄にせず、夜、寝る間さえも惜しんで覚える時間に当てたのである。

 土台がしっかりしているため、呪文さえ覚えれば結果を出すのは早い。

 自信を失って魔法の不発は続いていたが、リクもクレスも習っていない多くの魔法を身につけたことで少しは安心できたのだろう、徐々に調子を取り戻しつつあった。

 彼女のスランプ解消の手助けとなったのは、もう一つ、レヴィアスの大袈裟なほめ殺しである

 氷鎖女はあまり褒めるのが得意ではない。言葉が豊富ではないし、表情もない。

時々、感心すれば褒めることもあるが、基本的にあまり大げさには褒めてはくれない。

もしかしたらささやかすぎて、褒め言葉なのかどうか、受け取り手が理解できないだけなのかもしれないが。

 その点、レヴィアスは違

ちょっとしたことでもオーバーに持ち上げてくれるので、自分は特別、目をかけられているのだと気分良くなれる。

 気づいてもらいたい、注目してもらいたい、褒めてもらいたいという願望の強いメイディアはたちまちこの中年の教官に夢中になった。

 レヴィアスの方でも、練習試合ではいいとこなしだったこの女生徒が、本当は確かな実力を有していると知れて満足だ。

よい拾い物をしたと特別に可愛がった。

 両親の愛情を渇望していたメイディアは、特に同年代の男の子よりもずっと年上に惹かれる傾向にある。

 少し年上の友人のような氷鎖女を決して嫌いなわけではなかったが、親子ほど年が離れているレヴィアスの方が安心感を与えてくれると感じていた。

 授業のないときも常に付いて回って、本当は両親に聞いてもらいたかったくだらない日常の話をここぞとばかりに話す。

知らず彼女は、教師に両親を重ねていたのだ。

 

メイディア「それでね、先生、聞いて?」

 

 先生、先生とついて回る彼女の態度を面白く思わない者もあった。

 

アン「メイディアって手の平返すの早いよね」

ジェーン「まぁ、メイディだから」

クラスメイト「軽薄っていうんだぜ、ああいうの」

      「ワガママだから」

      「ホントに」

      「クレスがせっかくカタキとってくれたっていうのに、礼の一言もなかったんだろ?」

クレス「別に…………アイツのカタキとったつもりなんかないよ」

 

練習試合で酷い目に遇わされてさぞかし恨んで復讐に燃えるだろう彼女を想像していた元クラスメイトたちは身勝手にも落胆し、裏切り者と罵った。

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