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レイディ・メイディ 36-2
2008.05.02 |Category …レイメイ 36-38話
只今、彼の脳内はアゴを引っ張り回すドリームでいっぱいだ。
氷鎖女『アゴ…………アゴをひとつかみ…………アゴ…………』 そわそわ、そわそわ。
落ち着きなく、チラチラとアゴを盗み見る。
氷鎖女『いかぬ……!! ……どきどきしてきおった。何故あんなにアゴが長いのか? アゴ骨折したらちょっと面白いな』
アゴだけに包帯が巻かれているレヴィアスを想像し、思わず一人で吹き出してしまう。
氷鎖女「ぷっ、くすくすっ♪」
レヴィアス「何です? さっきから」
氷鎖女「え、あ、アゴ…………あの…………いえ。何も…………」 どぎまぎ。
それでもやっぱりアゴが気になる。
氷鎖女『どんなに視線をそらそうとしてもあのアゴに吸い寄せられる…………!! もしやこれは恋!!?』
「なんつってー♪ ぶふーっ」
またしてもニヤニヤして口を押さえる。
▽つづきはこちら
レヴィアス「だから、何ですか」
氷鎖女「ううん、ううん」
あわてて首を振る。
そんな様子に気づいた学徒の方が肝を冷やしていた。
ウチの担任は時々行動が突飛だから、過ちを犯す前に何とか止めなければ。
男子学徒「すっげ気になるんですけど、ヒサっち」
「あの人、時々アレだからな」
「だからあのアゴ教官に嫌われてんじゃね?」
レヴィアス「何やら、おしゃべりをしている生徒がおりますが、よろしいのですか?」
噂する生徒たちに目を光らせるレヴィアス。統率の取れた自分のクラスではありえないことだと細眉をひそめる。
氷鎖女「えっ? あっ、あの……うん……」
急にこちらを向いたものだから、氷鎖女はあわてて顔を背けた。
そんなことを繰り返して、息の詰まるような実習訓練の午前中が終了した。
何事もなかったとほっと胸をなでおろす学徒たち。
どうしてこう、ここかしこで行動がおかしいのだ、あの人は。
クレス「あの教官。なーんか、僕らのことずっと見てたぞ」
不服そうに目を細める。
目的も知れず眺め回されるのは、決してよい気分がするものではない。
リク「そうだね。氷鎖女先生もレヴィアス先生のことずっと見てた」
クレス「何話してたのかな……まさか……」
自分たちが何かやらかしたからであろうか。
もしかしたら、この間の試合のことかもしれない。
クレスは相手にメイディアがやられた分に少しのしをつけて返してやったから。
そのせいで担任が代わりに叱られているのだとしたら、それはとんでもないことだ。
確かにちょっとやり過ぎたかなと思わないでもなかったが、始めにやったのはあっちだ。
叱られるいわれなどあろうはずもない。
リク「んー、たぶん、アゴじゃないかな」
クレス「ハ?」
二人の元へレヴィアスが近づいて来た。
クレス「何だよ」
警戒心を剥き出しに構える。
目の前までやってきて足を止めたレヴィアス教官が二人の肩を盛大に叩いた。
レヴィアス「君たちはさすがだ。素晴らしい!! 何十年に一度の逸材かもしれない」
クレス「んん?」
予想と違って、拍子抜け。
レヴィアス「ちゃんとした師につけば、もっともっと伸びるでしょうな」
クレス「……?」
『ナニ? 褒めてくれてんの? 何だ何だ?』
目をしばたかせる。
レヴィアス「しかし残念ながら……」
話の途中で、突然リクがつぶやく。
リク「アゴ」
突然、間に割り込んできた。
クレス「……へ?」
レヴィアス「あご……?」
リク「アゴ捕まえた!! 先生、ハイ、アゴ!! アゴ!!!」
せっかく氷鎖女がおとなしくこらえきったというのに、今度は予想外の伏兵・リクがレヴィアスのせり出たアゴをいきなり引っつかんだ。
レヴィアス「……なっ!!?」
クレス『ナニソレーッ!!??』
リク「ハイ、アゴだよ、先生、アゴー!!!!」
嬉しそうに叫び、手招き。
担任の望みを先回りして、さも得意げだ。
クラスメイトたち『やっちゃったぁぁぁーっ!!!!!!!!』
リク「おいで、おいで。アゴ捕まえたから触れるよ」
アゴをつかまれたまま、レヴィアス「…………アゴ捕まえ……って…………………………」
クレス「あわわわわ……っ」
ありえない光景を前にパニック。
名指しで呼ばれた氷鎖女はといえば。
氷鎖女『はうっ!!? どっ……どうしよう……!!?』
きゅーん。
……トキメいていた。
氷鎖女『アッゴ、メッチャ触りてーっ!!!!!』 ガーン!!
『リクったら、リクったら、リクったらーっ!!!!』 どきどきどきどき。
一生懸命、我慢してたのになんということを。