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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 34-7

ジェーン「いいなー。私もケガしたらなでてくれる?」

 

 アンの思いを代弁するかのようにジェーンが冗談交じりに言った。

 

リク「ははっ。ジェーンは年上だから気安くなでていいものかなぁ?」

ジェーン「いいよ、いいよー。大歓迎♪ 気軽になでてネ」

 

 言葉どおり、ひょいと気軽に頭を突き出すジェーンの性格をアンはうらやましく思いながらも、ただそれを見ているだけだった。

 

アン「…………………………」

  『リク君は……私を気にしてくれてるんじゃなかったの?』

 

 うつむいて下唇を噛む。


▽つづきはこちら

 布団をかぶったままのメイディアがだんだん息苦しくなってそぅっと隙間を空けると彼らはようやく引き上げるところであった。

 一度アンが振り返り、ぞっとするようなキツイ視線をこちらに投げかけ、鼻を鳴らすのを見た。

 

メイディア「…………………………」

 

 彼らが行ってしまうと狸寝入りをしていたケガ人二人はほぅと長いため息をついたが、再び入れ違いにドアの開く音がして緊張を走らせる。

 現れたのは、教官の氷鎖女だった。

 

氷鎖女「ウチのごーるでんは?」

ミハイル「誰だよ」

氷鎖女「ご……あの……」

ミハイル「生徒の名前くらい覚えろよ、いい加減」

氷鎖女「………………。覚えてござるよ、無論」

ミハイル「今の間は何だ」

氷鎖女「止めるのが遅れてボロ雑巾になってもうた。大したことはないと思うが」

 

 ミハイルと軽く会話してから、カーテンを開いて顔を出す。

 

氷鎖女「ごぉるでん、大事か?」

 

 布団をかぶったままで黙っていると上からつつかれた。

 

氷鎖女「これ、タヌキしよって」

メイディア「いた!! およしなさいっ!!」

 

 狸寝入りがばれているとわかって、仕方なく答える。

 

氷鎖女「うん、大丈夫のようでござるな」

メイティア「…………………………」

氷鎖女「しくじったな」

メイディア「……相手の方、何か細工しておりましたでしょ」

 

 カーテン越しでは、まさに不正を行った少年が知られていたとわかって身を震わせている。

 

氷鎖女「お、ようわかったでござるな」

 

 よしよしとやはり布団で丸まったメイディアの頭をなでる。

 

メイディア「……………………」

     「わかっておいでだったら、どうして止めてはくれませんでしたの、試合前に」

氷鎖女「許せよ。手前がどうするか見たかった」

メイディア「……それはそれは。期待に添えませんで悪ぅございましたわね!!」

 

 試されたことに腹を立て、さらに布団の中で丸まった。カタツムリみたいに。

 

氷鎖女「いや、気づいただけで充分でござった。面白い」

メイディア「ワタクシはちっとも面白くありませんっ!! ブラックなんか大っ嫌いだわ!!」

氷鎖女「初めから好いておらぬクセによう言う。ま、気が済むまでそうしていたらよかろ」

 

 立ち去ろうとする気配に気づいて、あわてて呼び止める。

 

メイディア「待って!!」

氷鎖女「ん?」

メイディア「あ……えっと……」

氷鎖女「うん」

 

 聞く姿勢を取るつもりで、側の椅子を引き寄せて腰を下ろす。

 

メイディア「例えば……例えばの話……凡人は………………天才には……どうしても……その……」

氷鎖女「敵わないか?」

メイディア「…………………………」

 

 否定も肯定もせずに黙っていたが、沈黙がその通りだと答えている。

 

氷鎖女「難しいかもしれぬな。例えばの話、クレスとリクが相手なら特に」

メイディア「……そう……ですか……」

 

 じわりと目尻が熱くなって、見えるもの全てが歪んで水の底に沈んだ気がした。

 声はいかにも頼りなく揺れて、自分の声ではないように思えた。

それがもっともっとみっともなくて、消えてしまいたい気持ちになる。

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