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レイディ・メイディ 34-4
2008.04.29 |Category …レイメイ 34・35話
クレスコールが沸き起こる中、リクは医務室に運んだメイディアをベッドの上に横たわらせていた。
ミハイル「擦り傷と打撲。もしかしたら、骨にヒビくらいは入っているかもしれないな。それに脳震盪。……アザや痛みは残るかもしれないが、ま、大丈夫だろう」
リク「そうですか」
ミハイル「にしてもずいぶん派手にやらかしたな」
リク「……ですね」
意識を取り戻したメイディアがうめいて、二人が目を向ける。
ミハイル「おい。わかるか? 自分の名前は?」
メイディア「まぁ、ミハイル先生、ごきげんよう」
薄くまぶたを開いてニヤリと笑う。
ミハイル「ああ。大丈夫そうだな」
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メイディア「もちろんですわ………………っつ!!」
起き上がろうとするメイディアをリクが押し止どめる。
リク「無理はしないで寝てないと」
メイディア「……ワタクシ、負けたのですわね?」
リク「そうだよ。気を失ってたんだ」
メイディア「…………………」
悔しさをにじませて唇をかんだ。
リク「今は……ホラ、聞いてごらん? クレスがカタキをとってくれてるよ」
耳をすませば、クレスコールが聞こえてくる。
リク「君がひどいやられ方したからね、途中乱入したんだ」
メイディア「…………………………」
リク「俺ももう行かないと。クレスが順番を飛び越したから、最後は俺になる」
メイディア「…………………………」
天井をにらみつけたまま、答えないメイディアをミハイルに頼むと医務室の扉を開いた。
リク「……勝つから」
言い残してリクは会場に戻る。
メイディア「………………」
残されたメイディアは黙ったまま、布団を引き上げて頭からかぶった。
リクが戻る頃にはクレスの試合は終了していた。
不思議なことにクレスコールはピッタリと止み、誰も勝者を称える言葉を発せずに黙り込んでいる。
リク「……?」
不審に思って視線を巡らすと、メイディアを失神させた少年が今度は医務室に運ばれる番になっていた。
クレス「クククク………あはは………アハハハハハッ!! 審判の声に救われたなァ!!!」
悠々と舞台を降りるクレス。
レヴィアス「……素晴らしい……」 知らず感嘆のため息がこぼれた。
力を使い果たし、割れてポツンと落ちている魔力もこもった指輪がクレスの攻撃の凄まじさを物語ったいた。
道具を使用したエリートですら打ち負かす魔力!! 興奮せずにはいられない。
レヴィアス『あの人材を若造に預けておくには惜しい……!!』
倒れた教え子には見向きもせず、視線はクレス=ローレンシアという天才少年に釘付けとなった。
リク「やあ、クレス。派手にやったね」
誰もが恐怖に固まって沈黙する中、笑顔で出迎えるリクが可哀想な対戦相手に構いもせずにクレスの肩を叩く。
クレス「顔が気に入らなかったんだ、顔が」
聞いてもいないのに、言い訳がましく吐き捨てる。メイディアのカタキを打ったと思われたくないのだろう。
リク「そうかい? フフ」
ハッとして固まっていたジェーンもクレスに駆け寄った。
ジェーン「クレス君、超カッコイー!!」 腕を取って叫ぶ。
クレス「わっ!!?」
ついさっきまでグロッキーの相手を痛め付けていたとは思えない、純朴な少年に戻って赤面するクレス。
リク「じゃ、俺もいこうかな」
後ろに追いすがって、アン「頑張って……」
リク「ありがとう。負けないよ。約束したから」
アン「約束……?」
リク「いや、なんでもないよ」
微笑んで颯爽と舞台に上がる。