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レイディ・メイディ 第34話
2008.04.28 |Category …レイメイ 34・35話
第34話:クラス対抗
レヴィアス教官からの申し出で午後は2クラス合同訓練が行われることとなっていた。
養成所の外に出ると大きく結界を張り巡らせて会場とした。
昼食を終えたヒサメ組の学徒たちが移動してくると、先に到着していたレヴィアス組がすでに訓練に入っていた。
氷鎖女にしか教えを受けたことのない生徒たちは、レヴィアスクラスの進行の速さに驚く。
ここは他の組よりも進行が速いことで知られており、ついていけない子はほとんど切れ捨て状態にされる。
完全な実力主義で、成績によって優遇される度合いが異なるために才能のある生徒達はぐんと伸びたし、そうでない者は置いてけぼりにされていた。
そんな両極端なクラスだった。
ヒサメクラスの学徒たちの前で、今まさに他のクラスでも習っていない呪文が早々に飛び交っている。
▽つづきはこちら
ヒサメ組の生徒「スゲェ」
「おい……なんか俺達ってヤバイんじゃないの?」
「何言ってるのよ。呪文数は少なくても、勝てるって去年実証されたじゃない」
「でもレヴィアスクラスはその去年も上位に食い込んだ奴がそろってるんだぜ? 1年じゃ使わないような魔法持ってるし」
「それは……」
気圧されて立ち尽くしていると、レヴィアス組の学徒たちがせせら笑うようにして彼らに視線を送る。
レヴィアス組の生徒「へへっ。落ちこぼれのヒサメクラスがビビッていやがるぜ?」
「こんな魔法、習ってないだろうからな」
聞こえよがしの会話を拾って、まずはクレスが牙をむいた。
クレス「へん!! 他の奴はいざ知らず、僕は知ってるね、そんな呪文!!」
一緒にするなと鼻息を荒くする。
けれど彼に続く者はなく、リク、メイディアを除いて皆、一様に不安げな表情を浮かべている。
レヴィアス組の生徒「クレス君やリク君はそりゃできるだろうけどね。他はどうかな?」
今度はメイディアの細眉が吊り上がった。
メイディア「ずいぶんな自信ですこと。練習試合、楽しみですわ」
その辺でよしておきなさいと教官のレヴィアスが間に入った。
氷鎖女の方は我冠せずで相変わらず、首をかしげるような仕草で額当てに手を添えている。
レヴィアス「せっかくの交流の機会だからね。親善試合をしたいと思うがいかがかな、諸君」
クラス対抗!!
今にも爆発しそうなライバル心を互いにたぎらせて、両者がうなづいた。
双方、それぞれ担任の下に集まって指示を聞く。
レヴィアス「良いですか? 徹底的に力の差を思い知らせてやりなさい」
生徒の実力差は、教官としての実力差でもある。
よそ者で大変な変わり者。
しかも学徒と変わらない年頃の氷鎖女をレヴィアスは快く思ってはいなかった。
決してこの養成所にいる教官たちをないがしろにするつもりもないことは本人を見ればわかったし、一歩譲る姿勢も見せていたが、どこか生意気に映る。
やはり型破りな授業展開のせいだろうか。
額当てで表情が読めないのも手伝って底知れぬ不気味さも感じ、どうにも不快でならなかった。
会場を使用できるのは午後の2時間だけのため、全員を当たらせることはできない。
対戦人数を決めてあとは見学である。
レヴィアスはクラスの全体から上位人を選出したメンバーで固めた。
レヴィアス「そちらは決まりましたかな?」
隣の集まりを見てみると、
氷鎖女「戦りたい奴ー、おったら言うてみー? おらんかったら、くじ引きでよかろな」
レヴィアス「…………く……くじ引き!!?」
こういう、緊張感のないところも好きになれない理由だと改めて認識した。
立候補者はクレス、メイディア、他数名。推薦で引き受けたのがリク。
あとは本当にくじ引きで決定してしまった。
学徒「先生、あっちはトップ連中集めてますよ」
氷鎖女「え? ああ、そうでござるか」
学徒「そうかじゃないよ」
氷鎖女「ウチなんかくじ引きぞ?」
学徒「だからぁっ!!」
とぼけた担任の反応。
学徒たちの不安がいっそう膨らんだ。
メイディア「なんという顔をしていらっしゃるの? 返り討ちにして差し上げなくては」
クレス「そうさ。完膚無きまでにたたきのめしてやる」
メイディア「ねっ?」
クレス「うん」
顔を見合わせてうなづき合う二人は年相応の笑みを浮かべたが、言っている内容は穏やかではない。
クレス「あーっはっはっは!!」
メイディア「オーッホッホッホ!!」
二人で仲良く?自信満々高笑い。