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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 33-16

 騒ぎのあった翌日。

 

アン「レイ様もメイディとケンカしたでしょ。レイ様もこっち側なんだよね」

 

 メイディアがアンの大切なノートを盗んで人に見せびらかし、目の前で破り捨てた悲劇の一幕は瞬く間にクラスの女子の間を駆け巡った。

 “大親友のシラー”と“メイディアをとうとう見捨てたレイオット”と“皆”という後ろ盾をつけたアン自身が「ここだけの話あちこち触れて回ったためだ。

 小説の内容について触れる者は誰もおらず、思ったよりも広まっていないと安心した彼女だったが、何のことはない。

メイディアをからかおうとした別のクラスの女の子3人以外は誰も見ていないのだから広まりようもないだけだ

その別のクラスの3人というのも、アンの物とは知らず、1ページを拾い読みして囃し立てただけの話。

詳しい内容まで興味もない。


▽つづきはこちら

アン「私、メイディと同じ部屋でしょ? だから、ずっと無視してやってんの!! 頭を下げたって、もう二度と口なんて利いてやるもんですか」

ジェーン「やるじゃない、アン。メイディを無視するなんて。で、リッ君はどうなったの?」

 

 唯一、小説を読ませてもらっているジェーンが尋ねた。

 あれを読めばまず、リクとアンの恋物語だということはわかっただろう。

リクだって向けられた好意に気づいたはず。

 

アン「それが……ううん。わかんない。何だか、私を見ている気がするの」

 

 休み時間、教室の窓側を陣取って小声で自慢話に花を咲かせていたアンがチラリと視線を送れば、リクは気が付いて微笑む。

今日は朝からずっとこれの繰り返し。

 間違いなく、彼は私を意識している!

 アンは強く確信していたが、真相はこうだった。

 

クレス「また見てるのか」

リク「うん。なんか今日はいやに目が合うんだよね」

 

 つまり。

 アンがリクを意識して見過ぎていたのである。

 リクはやたらと注がれる熱視線に違和感を感じて振り返ればアンだったと。

ただそれだけだ。

 小説なんて読んでいないのだから、意識をしようもない。

例え読んでしまったとしても残念ながら、一方的に好意を向けられることに慣れ切ってしまっているリクは動じず、見なかったことにしたに違いない。

 歴史の教師がやってきて授業を始めるとリクは前を向いたままでそっと隣に尋ねた。

 

リク「メイディ」

メイディア「……なんです?」

リク「物凄い噂が立ってるけど」

メイディア「ええ」

リク「本当かい?」

メイディア「貴方に気にされる覚えはないけれど、本当です」

リク「どうしてまたそんなことを?」

メイディア「話す義理を感じませんわ」

リク「……俺って信用ないの? 友達じゃない」 にっこり。

メイディア「信用されると思っていたの? 友達だと思っていたことがビックリだわ」

リク「………わぁ……」 笑顔のままで固まった。

メイディア「……………………ウソよ。お友達だと思ってるわ」

 

 何が恥ずかしかったのか、ツンとそっぽを向く。

 

リク「エッ? 意外」 急に真面目な顔になる。

メイディア「……んなっ!!? 貴方が言い出したんでしょっ!!?」

 

 思わず大きな声をあげてしまって、口に手を当てる。

 

教官「なんです?」

メイディア「いいえ」 首を左右に振って口を噤む。

     「……バカッ!!」

 

 小さく言って、机の下の足を蹴飛ばす。

 

リク「いてっ。ごめんよ」

メイディア「ふーんっだ」

リク「あはは」

クレス「ちょっと。ウルサイよ」

 

 逆隣のクレスの一言で会話にピリオドが打たれた

 それらのやりとりすらもアンの視線の中だ。

リクがまた振り返った。

あわててアンが目を逸らす。

 

アン『やっぱり…………私を見てる』

 

 

 事実は大きく膨らんで大袈裟になってはいたけれど、本筋からは外れていない。

メイディアは噂を取り消そうとは思わなかった。

少なくともアンのノートを破ったのはワザとだったからだ。

 昼休みになるとアンを含む、複数の学徒に取り囲まれた。

 

クラスメイトたち「アンに謝りなさいよ」

メイディア「あら。昨夜も謝罪しましたわ。……ノートを破って申し訳なかったと」

クラスメイトたち「それだけじゃないでしょ」

メイディア「いいえ。ワタクシの落ち度は、感情に任せてノートを破った……ああ、破って踏み付けたことです。それ以外に謝罪を求められるいわれはございません」

クラスメイトたち「盗んだことはどうなっているのよ!!?」

メイディア「貴女がたになぜ説明する必要があるのかしら? 言いたいことがあるのなら。謝罪を求めるなら、アン、貴女から直接おっしゃたらいかが?」

 

 指名されてアンは身を震わせた。

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