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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 33-14

 呆れてものが言えない

あんぐり開いた口がふさがらない。

…………とはまさにこのこと。

 残されたアンはノートにすがり、大きな声で泣きだしてしまう

 

レク「あああああっ!! どーしよ、どーしよっ!?」

フェイト「お前がパニックするな」

 

 スパンと後頭部を叩く。

 

レク「だってだって……あああっ、そうだ、俺がしっかりしないとこの場合、フェイトは物の役に立たないんだった!!」

フェイト「何だよ、ソレ」

 

 カチンときて何か言い返そうとしたが、次の言葉によってぐうの音も抑えられる。

 

レク「人間関係悪化させるの得意技じゃないか、フェイトは」

フェイト「…………………………」

 

 一言多いわそっけないわで確かに人間関係豊かにできる性格ではない。

波風を立てるのは得意だが、収めるのは大の苦手ときている。

 他人と上手くやっていく、こればかりはレクに一生かなわないだろう。


▽つづきはこちら

レク「アン……は俺が連れて行くから」

 

 散らばったアンの教材を手早くかき集めるとレクは彼女の背を促して廊下に出した。

 

アン「私……養成所……やめたい……」

 

 しゃくりあげながら独り言のようにつぶやいた。

 

レク「そんなこと言うなよ。何があったかは知らないけど……。話してくれれば俺も力になれると思うし……」

 

 なぐさめようとあの手この手でなだめにかかったが、アンは依然として口を開こうとはしなかった。

 フェイトよりは自分の方が適役だと思ったのだが、さすがにまったく親しくない人間相手では難しいものがある。

 どうすれば泣き止ませることができるかと困憊していたところに、向こうから教材を両手に抱いて現れた心強い助っ人の存在を認めた。

 

レク「……あ、シラーブーケじゃないか?」

 

 確かメイディアやアンと同じクラスの子だったハズだ。いいところに来てくれた。

 

シラー「アン? どうしたの?」

 

 足を止めてアンとレクを交互に見つめる。

 

レク「どうも……いきさつは詳しくはわからないんだけど……メイディとその……ケンカしたみたいで」

シラー「はぁん、ナルホド」

 

 納得したように何度かうなづいた。

 

レク「下駄を預けるみたいでホント申し訳ないんだけど……俺はアンとはあまりしゃべったことないしさ、男だし言いづらいと思うんだ。悪いけどお願い……できるかな?」

 

 困り果てて眉を垂れ下げる。

 

シラー「うふふ。いいわ。アンは私の大親友なの」

アン「……!!」

 

 伏せていた顔を上げる。

 

シラー「ここは私に任せて? ホラ、チャイム鳴るわよ。急いで、レク」

 

 軽くウインクを送る。

 

レク「あ、ありがとう。ごめんよ」

 

 律義に頭を下げて別れた。

 

シラー「どうする? 次は何の授業? サボる?」

 

 レクに代わり、シラーがアンの手を取った。

 

アン「……………………」

 

 本当は教養の授業が入っていたが、出たくないとアンは首を横に振る。

 

シラー「じゃあ、ちょっと外に出よっか」

 

 手渡されたハンカチで赤くなった鼻を押さえ、アンがうなづく。

 日向になっているベンチを探して中庭を横切る。

 途中で出くわした黒薔薇の教官がジロリと二人を無遠慮に見やった。

 

レヴィアス「この時間は授業中ではないのかね?」

アン「それは……その……」

 

 口ごもる二人を一瞥するとレヴィアスは大きな鷲鼻を鳴らした。

 

レヴィアス「ヒサメクラスの生徒か。……まったく、余裕だな」

アン「………………」 脅えて、そっとシラーの影に隠れる。

 

シラー「必要な単位は取れましたので、次の予習のためにこの一時間は使おうと計画してたんです」

 

 悪びれない笑顔で告げると、次の文句を言わせる前に一礼をして速足に立ち去った。

 

レヴィアス「……ふん」 アゴをなであげてうなづく。

 

 蔦になった薔薇がアーチ状にからまった下をくぐり、薔薇の小道と呼ばれている学徒に人気の薔薇園に踏み込んだ。

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