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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 33-12

 翌日の早朝マラソン終了後、氷鎖女は申し訳なく見つからなかったことをアンに告げた。

 

アン「ちゃんと探してくれたの、先生!?」

氷鎖女「探したとも。隅の隅までずずいっと」

アン「そのカルイところが信用ならないぃ~!」

氷鎖女「んなこと言われてもなかったんだもの……」 口を尖らせる。

 

 これでも夜中の3時までは術まで使って捜索したのだ。

 大切なノートの行方が未だ不明の彼女八つ当たりをして「もう頼まないからいい」と言葉を叩きつけて、困り果てた氷鎖女を残し大股で学舎に戻った。

 

アン『もうっ、もうっ! 先生のバカ! 役立たず! 本当にちゃんと探してくれたのかしら!?』

 

 昨日はパニックに陥っていたうえに疲れも手伝って、簡単に先生を信用して任せてしまったけれど、日付が変わり、冷静になってよくよく考えてみれば先生にとって生徒のノートなんてどうでもいい物ではないか。

そんなに必死になって探してくれるハズもないと思った


▽つづきはこちら

 汗をかいた運動着から更衣室で着替えを済ませ、教室に入る。

いつの間にかお決まりになった席に着いて、一時間目の授業のために教本をそろえていると、ふいに一番前の席に陣取っているメイディアの手元で視線が止まった。

 彼女準備している本やノートの中に赤い表紙がチラリと見えた気がした。

 

アン「……ウソ……」

 

 さっと血の気が引く。

 リクの隣で、今まさに彼女が赤いノートを見せて何かを言っている。

 

リク「知らないなぁ。名前は書いてないの?」

メイディア「書いていたら聞きません」

クレス「女の子の好みそうなカンジじゃん。僕らの物なワケないだろ」

メイディア「わかりませんでしょ、そんなこと」

 

 何を言っているのだろう?

 もう中は見せてしまったのだろうか。

 アンは強いめまいを感じて机に両手をついた。

 あの小説を見られたら、少なくとも幾人かの登場人物が誰なのかわかってしまう。

 見目麗しい異国の血を引く、紅の瞳の少年と普通の女の子の恋物語。

 今すぐにでもノートを奪い返したい衝動に駆られたが、リクの手前、それもできずに気ばかりが焦る。

やがて教官が現れて講義を始めてもちっとも身に入らず、悪い想像だけが頭の中を駆け巡った。

 早く、早く授業が終わって次の教室に移動してくれないかしら?

 そうしたらすぐに取り返すのに。

 体中に羞恥のための熱が帯び、脳みそまで沸騰しそうだ。

 

ジェーン「アン、早く行こうよ」

 

 耐えに耐えた時間が過ぎ去って、行動のときがやってきた。

 

アン「ううん、ちょっと先に行ってて」

ジェーン「え? あ、そう。わかった」

 

 疑問も思わずにうなづいて他の子たちと共に教室を出る。

 リクとクレスも席を立った。次の教室を目指す、生徒達の波に乗って、廊下へと流れて行く。

 全員がいなくなり、少し遅れた形でメイディアも続こうとした。

 今だ。

 

アン「メイディア!」

メイディア「何か?」 呼ばれて振り返る。

 

 普段の彼女からは想像もできないような憤怒の炎を宿し、アンが雑な大股で近寄った。

 

アン「どうしてアンタが持っているのよ!?」

 

 先回りしてドアを締め詰め寄る。

 

メイディア「…………?」

 

 いきなりのことで何のことやら理解できないメイディアは青い相貌を瞬かせた。

 黙っているとアンはもう一歩近づいて手を差し出した。

 

アン「返して、返してよっ!!」

メイディア『返してって…………ああ、もしやコレでは?』

 

 ようやく事態を飲み込んだメイディアは例のノートを差し出した。

 

メイディア「よかった。ずっと持っていなくてはならないかと思って……」

アン「! やっぱり!」

 

 相手の肩を押しのけるようにして、手からひったくる。

 持ち主が見つかって良かったと微笑みかけたメイディアの表情が凍った。

 

メイディア「ちょっ……何です、その態度は? 拾って差し上げたのにお礼の一言もございませんの? 育ちが悪いこと」

 

 当たり前に憤慨したが、決めてかかって興奮しているアンには通用しない。

 

アン「何よ、ワザとらしい! 人の物、盗っておいて!」

メイディア「盗る!?」

 

 向けられた言葉に仰天して目を剥く。

 盗んだの何だのとなじる声は教室の外まで聞こえ、次にこの教室を使用する予定のフェイトとレクがドアの前で足を止めた。

顔を見合わせる二人

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