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レイディ・メイディ 33-17
2008.04.28 |Category …レイメイ 33話
本人を目の前にすると萎縮してしまって、さっきまで滑らかだった口は貝のように堅く閉ざされる。
メイディア「さぁ!!」
詰め寄られ、仲間の陰に隠れるアンがさらに後ろに引いた。
クラスメイトたち「ちょっと!! 弱い子を独り狙いみたいに言うのは卑怯じゃない!?」
メイディア「では多くの方々に守られて言いたいことを代弁させ、自分は決して表に出て来ないのは卑怯ではないと?」
アン「!!」 カッと顔の温度が上昇した。
メイディア「大勢に囲ませているのだから心配ないでしょう。出て来なさい、アン。貴女の口からならワタクシは話を聞きますが、代弁者と論じるつもりは一切ないのでそのつもりで」
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ウジ虫に卑怯者。
これまでの人生でこんなに大勢の前で、こんなに酷い辱めを受けたことがあっただろうか。
アンは赤くなったり青くなったりしながら、気が遠のきそうになるのを懸命にこらえた。
しばらく待って相手の反応がないとわかるとメイディアは髪を揺らし、まるであてつけるかのように颯爽とした足取りで立ち去ってしまう。
アン「…………………………」
クラスメイト「何よ、あの態度!! 聞いたァ?」
「気にすることないよ、アン。アイツ、人数いるからビビッてんのよ」
アン「……ビビる?」
意識を引き戻されてハッと顔を上げた。
クラスメイト「そうよ。ビビッてんの!! 内心、怖かったのよ。だから一人で来いなんて言ったんだわ。相手にしちゃダメよ。アンタは絶対悪くないんだから」
アン「そう……よね?」
いくらか安心して表情を和らげる。
クラスメイト「そうそう」
アン『そうよ。私は悪くないんだわ。皆が証人になってくれる』
これが日頃の行いと人望の違いというやつだ。
メイディアとアンがケンカしたとしたら、一も二もなくアンの味方をするだろう。
理由を聞かずともどうせワガママお嬢様が悪いに決まっていると。
実際にもそうだ。自分は何もしていない。
ノートを取られた上に破り捨てられるという嫌がらせを受けたに過ぎないのだから。
この思い込みに残念だが周囲も賛同する。
皆が知っているアンは控えめでおとなしく、努力家で真面目。
そんな彼女は地味で冴えなく、決してグループの中心にはなれないけれど、堅実で誠実だという信頼だけは勝ち得ていたから。
四面楚歌とはよく言ったもので、レイオットまでも見捨てたとなると、もはやメイディアの味方になる特殊な人間はそういないハズだ。
メイディアとアンの数少ない共通する友人として、クロエが二人の間を取り持とうと説得にかかってみたものの、片方からしか詳しい経緯を聞けておらず、メイディアもそれで構わないというので結局、アンサイドで話を進めるようになり、これは失敗した。
誰もがまずはメイディアが悪いという前提から説得にかかるのだから成功しなくて当然だった。
また、そういう空気を作り出してしまったのも本人だから自業自得でもあり、救いようがない。