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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 34-3

レヴィアス「馬鹿な、やりすぎだ」

 

 壊してしまえと指示はしたが、普段の力をはるかに越えた大きすぎる魔力をそう何発も撃っては不正がバレるだろうに。小さく舌打ち。

 なす術もなく、生意気で高慢ちきな女が地面にはいつくばる様は少年にいいようのない高揚感を与えた。

 いつもは整えられている金の巻き毛が乱れて、顔を隠しているのが惜しいと思った。

髪が邪魔していなければ、どんな表情をしているか見てやったのに。

脅えていたか、泣いていたか、絶望していたか。

 さすがに魔法のアイテムだ。

結界を張られた中で魔力が抑えられているというのに威力!!

 なんて気持ちがいいのだろう!!

 大きく裂けたスカートの間から覗く白い足に目を留めてほくそ笑むと、もう一発お見舞いしてやろうかと少年は考えを巡らせる。


▽つづきはこちら

リク「……………………」

クレス「野郎……」

 

 我慢できなくなった短気なクレスが参戦しようと杖を握った。

 

アン「試合だよ、クレス君」

クレス「うるさいな」

アン「ひゃっ」 睨まれて、身をすくめる。

氷鎖女「止めますが、構いませんな?」

レヴィアス「ええ」

 

 最後の魔法が放たれるのと、氷鎖女の声が静止するのはほぼ同時だった。

 あんな至近距離では死んでしまうのではないかと思われたが、対抗する魔法が突然割り込み、指輪の力を借りた少年の魔法を押し切って、相殺させた。

 会場はしんと静まり返り、氷の魔法の出先に注目する。

 ……クレスだった。

 

クレス「オイ、お前。気に食わないから相手をしてやる。ありがたく思いなよ」

 

 女性を象った木製の杖を少年に突き付ける。

 

少年「試合中だぞ!!」

クレス「だから。試合なんか関係ないんだよ。ただお前の不細工な顔が気に食わないだけさ」

 

 試合場に踏み込む。

 倒れてピクリともしないメイディアの側には、最後の魔法が放たれる直前に飛び込んだリクが防御壁を貼っていた。

 

アン「……リク君……」

 

 もしクレスが間に入らずとも彼がいたし、彼がいなくともクレスが割って入っていた。

 

レヴィアス「さすがですな

氷鎖女「さて?」

 

 アゴをしきりになでていたレヴィアスは、クレスと少年の試合を許可することにした。

 

レヴィアス「リク君。そこの学徒を片付けなさい」

 

 興味はすでに試合に向けられており、敗北した生徒には見向きもしない。

 リクは黙って完全に失神状態にあるメイディアを抱え上げた。

 

アン「リク君!!」

 

 舞台を降りるとクラスメイトたちが取り囲んだ。

 

クラスメイト「先生が止めなかったくらいだから、心配ないだろ?」

リク「そうだね。ただ気を失ってるだけだと思う。とにかく医務室に連れてくから」

アン「私が連れてくわ」

 

 リクからメイディアをとりあげたいと焦る気持ちが口をついて出た。

 

リク「でも抱えていけないだろ」

アン「起きて、メイディ」

リク「無理だよ、起こしても自分で歩けるかどうか。俺が連れてくから心配しないで」

アン「じゃあ……じゃあ、私もついてく……いい?」

リク「心配なのはわかるけど……医務室に寝かせたらすぐ戻るんだし。ゾロゾロ行くこともないんじゃないかな? 授業中だ」

アン「そ……そう……だけど……」

 

 横からジェーンとステラ。

 

ステラ「ああ言ってんだし、任せておきなよ」

ジェーン「それよりホラ、我らがクレス君の応援よっ!! キャーッ!! クレスくーんっ!!」

アン「あの……でも……」

 

 二人に気をとられている間にリクは医務室に向かって歩きだしてしまっていた。

 仕方なくあきらめ、遠ざかる背中を見つめて立ち尽くす。

 保健室で目覚めたメイディアはリクを命の恩人だとか思ったりしないだろうか。リクは傷ついた彼女にどう接するだろうか。

それだけが心配だ。

 

女子「クレスくーん!!」

男子「がんばれ、クレスー!!」

 

 いくらメイディアがクラスの爪弾き者とはいえ、あれだけ派手にやられたら、クラスとしてのメンツもある。

第三の敵を前に氷鎖女クラスは一時的に団結していた。

 あわやというときに試合であることも公然と無視して魔法を放ち、売られたケンカを引き取ったクレスはいかにも勇敢でカッコ良く、女の子たちはこんなステキな男の子が今までいたかしら?とばかりに突然注目し始めた。

 クレスと話そうともしなかった男子も熱を入れて声をあげる。

 

クラスメイト「ク・レ・ス!! ク・レ・ス!!」

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