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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 34-2

レヴィアスクラスの生徒「チッ。俺らに勝った気でいやがるよ」

           「恥かかせてやれ」

 

 練習試合が始まった。

 萎縮してしまっていた氷鎖女クラスの生徒は2人目まであっけなくやられてしまい、3人目はもう負けが目に見えているのに明かに遊ばれていたずらに試合を長引かせられていた。

 普通、勝負あった時点で待ったが入るはずだが、レヴィアスも氷鎖女も止める様子もなく腕を組んで成り行きを見守るだけだ。

 4人目になると血気盛んなのが現れて、3人のカタキをとってやると息巻いた。

 彼は相手の多彩な魔法をものともせず、力強い魔力で全てをねじ伏せた。

 

男子生徒「どうだっ!!」

 

 雄叫びを上げてガッツポーズ。

氷鎖女クラスが歓声に沸く。


▽つづきはこちら

レヴィアスクラスの生徒「たまたまだ、たまたま!!」

           「一勝したくらいでいい気にならないでよね」

 

 うなだれて戻ってきた教え子にレヴィアスは鋭い視線を浴びせる。

 

レヴィアス「侮っていたのでしょう。どうやら貴方を選んだのは見込み違いだったようですね」

 

 学徒は体を震わせて硬直した。

 一勝で勢いを引き戻した氷鎖女クラスは持ち前の魔力の多さで相手を凌駕し始め、徐々に対等の試合にもつれ込んできた。

 氷鎖女クラスの学徒はよく動く。

魔法を放つとその場からすぐに移動し、相手の死角死角へと回ろうとするのだ。

自分の周囲にある物を利用しようとする傾向も強く見られた。

 例えば相手ではなく地面に魔法を打ち込んで、目暗ましをする。

練習試合用の舞台として設置した、魔法が外へ飛び出さないための結界にわざと魔法を当てて反射させる。

 デタラメな方向に撃った、あるいは失敗と見せかけてその実、弾道はあらかじめ計算されており、相手の元へ引き寄せられるように魔法が襲いかかる。

れた魔法ばかりを気にしているとフェイントで、今度は正攻法で仕掛けてくるといったように

 プレッシャーをかけるために通常は離れて戦うものをわざと距離を縮めてくる者もいた。

 それらは気が付かなければ偶然の産物にも思えたが、どの生徒も同じように活用してくるとなると話が違う。

明かに氷鎖女が吹き込んだ戦いのスタイルだった。

 

レヴィアス「まったく。正攻法では勝てないからといって何と汚い戦い方だ。もっとスマートに戦う方法を習わなかったのか」

 

 レヴィアスは悔しさを隠すようにわざと毒づいた。

 養成所で育つのは“兵士”のハズなのに、氷鎖女は“殺し屋”を育成してしまってい

 黒薔薇の役割が大砲だというなら、その役目を氷鎖女クラスの連中も十分にこなせる。

魔力が強いのだから。それ以外に彼らは、単体で、あるいは少数同士の戦いにおいても勝利する術を着々と身につけ始めていたのだった。

豊富な魔法の種類と引き換えに。

 これらの点についてレヴィアスは気付いていなかったが、今は手持ち少ない彼らが魔法の種類を増やしていったら末恐ろしいということだけはわかった。

 基礎は完全にでき上がっている。

 魔法は体力、精神力共に消耗が激しいというのに彼らの放つ魔法の数は並の2回生ではなかった。

 ここから育てたら面白いだろうな。レヴィアスは知らず心を弾ませた。

 

レヴィアス『だが』

 

 自然にこぼれた笑みを消し去ると彼は自分の指輪を一つ外して、次の試合の少年にこっそりと投げた。

 

レヴィアス「………………壊してしまえ」

少年「ハイ」

 

 放ったのは、魔力のこもった指輪だった。

これ以上、くじ引きで決められた相手に自分の生徒が敗北するのを見ていられなかったのである。

氷鎖女の瞳がわずかに動いたが、額当てに隠れて外からはわからない。

 少年が舞台に上がり、今話題のメイディア嬢と対峙する。

 

少年「覚悟しろ、嘘つき女!! ズタボロにして泣かしてやるからな!!」

 

 彼女に少なからず恨みを覚えていた一人である少年は、今日のためにとっておいた言葉を吐きかけた。

 

メイディア「ふんっ!! 泣くのはお前よ」

 

 ゴッ!!

 威勢よく咆えたはいいが、試合のふたを開けてみるとメイディアの放った魔法がいとも簡単にはじき返され、かき消され、全く通用しない一方的な運びになってきていた。

 

リク「メイディ?」

クレス「そんな……」

 

 二人が、いや、氷鎖女クラスの全員が目を疑った。

 彼女はリク、クレスに次ぐ有力者のハズだ。

クラスだけではない。学年全体でも現在10位前後にはいるのである。

相手が悪かったのだろうか。

さすがはレヴィアスクラス

 

ステラ「強いわね。あんなのいたっけ?」

シラー「記憶にないわ」

ジェーン「メイディアの調子が悪いんじゃないの?」

アン『負けちゃえばいいのよ』

メイディア『おかしいわ、ワタクシ、あの者と対峙するのはこれで二度目。以前と魔力の質が違う気がする……!!』

 

 意識を集中させて違いをたどれば、あっと気がついた表情になる。

 

氷鎖女『………………ふぅん?』

 

 だが気を取られた一瞬を突かれ、防御壁が破壊されてしまった。

盾を失ったメイディアに直接魔法が襲いかかる。

 

メイディア「きゃあぁーっ!!!!」

少年「まだだ!!」

 

 吹き飛んで地上に落ちる前にもう一発放たれた。

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