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レイディ・メイディ 25-12
2008.03.01 |Category …レイメイ 24、25話
メイディア「ワタクシに水をかけるよう指示したのはアナタかしら?」
シラー「誤解だわ」
水かけ犯人グループが決まり悪そうに顔を見合わせる。
このままではシラーのせいにされてしまうではないか。
アン「どうしよう……そんなつもりじゃなかったのに」
女学徒「う、うん……」
メイディア「誤解ね。そう、ナルホド」
リク「とりあえず、メイディ。コレ着たら? 今度は紳士のたしなみOKかな?」
微笑んで服の端をつまんでいるが、続く先には何故かクレス。
クレス「どこが紳士のたしなみだ! ヒトの服を差し出そうとするなっ」
あわてて引ったくる。
▽つづきはこちら
リク「あ、ダメ? やっぱり」
クレス「当たり前だ!」
氷鎖女「あー……拙者によい考えがあるぞ、ゴールデン」
メイディア「ん?」
顔を上げれば、それまで成り行きを見守っていた先生が黒い炎の球体を手の上でゆらゆらと浮かせていた。
メイディア「をっ!?」
氷鎖女「……乾かせば済むんじゃないかなと」
メイディア「ぅわっかりましたっ! ソッコー着替えてきますわっ!!」
このままでは炎に巻かれると、ダッシュで教室から逃げ出した。
彼なら本当にやりかねないとクラスの誰もが思っていた。
いくら氷鎖女でもそこまで無茶はしないのだが、少なくとも学徒たちにはネズミ花火をヒトサマの足元に放る時点で怪しまれているとんでもない先生だ。
氷鎖女「さて、授業を再開するでござる」
クレス「き、危険だ」
逆らってはいけないと本能が告げている?!
リク「ははっ」
シラー「………………」 黙って席に戻る。
『さ。覚悟はいい、メイディア? これから学校の全てが家の全てがアンタの敵よ。自分の無能さを悔やむのね』
他人を動かすなんてカンタン。
自信で満ちあふれた浅はかな少女は勝利を予感していた。
今に自分が本物のお姫様になるのだ。
シラー『今に私がシャトー家の家督を継ぐのだわ』
アンたちの行動はまだ序章に過ぎない。
これからだ。
シャトーという看板がなくなり、皆がメイディアに背を向けるのは。
シャトーのお姫様は自分こそがふさわしい。
この、美しく聡明なシラーブーケが。
獲物を狩るのは興奮する。
皆が自分にひざまづく。
高みにいた令嬢が足下にひれ伏す。
シラー『そうよ、ねぇ。そしたらまずはレイオットを一番の親友にしてあげる』
彼女と常に一緒。それが当たり前になったら、どんなにか気持ちがいいだろう。
女性ながらにして特有の女臭さを感じさせないレイオット。
すべての女性の憧れ。
それから当然、彼だ。
何一つ非の打ち所がない、神に愛された美しい少年・リク=フリーデルス。
あの不思議な紅の瞳に見つめられて、胸がときめかない者はいないだろう。
彼が愛してくれるなら、全てを捧げてもいいとさえ思ってしまう、そんな妖しい魅力があの瞳にはあった。
シラー『……メイディアは……どうかしれないけど』
……そんな彼の顔面をグーで殴るメイディアはたぶん、男だ。そうに違いない。
乙女回路が故障しているのだ、彼女は。
シラー『ホントにバカな子。私だったら、その立場を利用してきっと手に入れてみせるのに』
けれどそれももうすぐ。
ただのシラーがシラーブーケ=エマリィ=シャトーになる。
そしたら手に入れられない物は何もなくなるのだ。