レイディ・メイディ ２６－２

レイオット「……うーん……ダメとは言わないけど……」

メイディア「そうと決まったら、急がなくては」

 

　言葉どおり、手早く食事を済ませると彼女は嵐のごとく去って行った。

 

リク「彼女、元気だよねぇ。ダメージなしってカンジ。あれじゃ仕掛けたコたちが拍子抜けだね。まぁ、逆にホッとしているかもしれないけど」

 

　空いた席にやってきたのはリク。

　今の言葉に身を固くする少女たちが背中合わせの席に陣取っていた。

 

女学徒たち「リク君、知ってんじゃない？」

　　　　　「そんなことないよ、だってあのときは下にいたんだよ？」

　　　　　「あの、ほら、アイツが告げ口したんじゃないの？」

 

　顔を突き合わせて目配せをする。

　視線の先にはレクがいた。

　現場に居合わせた二人のうち、冴えない方だ。

 

女学徒たち「嫌なヤツー」

　　　　「メイディに気があるんだよ。だってよく一緒にいるの見るもん。学科違うのに」

　　　　「ね、後にしよ。リッ君とレイ様に聞こえる」

 

　……それで彼女たちは静かになった。

リク「横、座るよ」

レク「ああ、リク」

リク「クレス。こっち空いてるよー。クレスー」

 

　少し離れた場所でトレーを手に席を探していたクレスが顔を赤らめる。

 

クレス「いいよっ！　んな大きい声で呼ばなくても聞こえる！」

 

　厳しくはねつけると、わざわざ遠く離れた場所に着席してしまう。

　呼んでもらえたことは嬉しいのに、素直に従えなかった。

 

リク「残念。フラレちゃった………………ん、フェイトだ。おーい」

 

　気が付いているのに無視している様子のフェイト。

　そこへクロエがやってきて、こちらの席を指さして袖を引っ張っている。

　やがてあきらめたらしいフェイトを連れてクロエがやってきた。

 

クロエ「皆、そろってんだね。クレスは？」

リク「一人気分みたい」

クロエ「ふーん？」

レイオット「フェイト、お疲れさま」

フェイト「ああ、そっちもな」

 

　見目に麗しいレイオット、リク、フェイトがそろって、周囲で見ていた少女たちはほぅと夢見心地のため息をついたあと、場違いなレクとクロエに羨望とあざけりの視線を突き刺した。

 

ジェーン「どうしてこう、美形は美形同士でつるむのかね。……クレス君はあそこに加わっていかないみたいだけど」

アン「優秀な子は優秀な子同士でいっしょになるしね」

モーリー「私たちじゃ役不足だからじゃなぁい？」

アン「……う」

ジェーン「でもさー、クロエと……あの子、レク君？　悪いけど……ちょっと……ねぇ？」

 

　見劣りするといいたげだ。

 

モーリー「えー、でもぉ、レク君、割りとすごいんだよーぉ？　レイ様と張れるんだからー。ちょっと素朴なカンジで可愛いし？　よく見るとカッコ良かったりするって。まだ皆に魅力が伝わってない当たりがオシ。人気出て来たら、アタシが始めに目ェつけてたんだって自慢すんの」

 

　行儀悪く、目の前に座るジェーンの盛り皿からカツの一切れをさらって口に含む。

 

ジェーン「そうかもしれないけど、でもー……」

アン「素朴なのっていいかな？」

 

　言葉を遮って口を挟む。

 

モーリー「いいよ。少なくともアタシは好き。飾ってなくて可愛いじゃーん」

アン「素朴かぁ……」

ジェーン「どったの？」

アン「え、うーうん。えっと……ホラ、クロエもレク君もあの３人を意識してないから、自然だから溶け込めるのかなって」

ジェーン「ああ、そうかもね。私にはできそうもないけど」

モーリー「ついミーハーグセが出ちゃうもんねー」

ジェーン「そうそう」

 

　言って二人で笑う。

 

アン「メイディはどうして仲良しなんだろ」

モーリー「仲良しとは限らないよ」

アン「どうして？」

モーリー「フェイト君には嫌われてるのは見ての通りだし、レイ様とリッ君だってどう思ってるか。あこそで何か話しているけど、メイディの悪口かも」