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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 25-9

 異変に気づいたメイディアが上を向いたときにはもう水の包囲網が頭上を覆っていた。

 とっさに身をかがめて子猫を守る。

 直後。

 ザッバー。

 

メイディア「………………………………」

 

 大量の水滴が巻き毛やドレスを伝って地面に吸い込まれて行く。

 

クレス「……っぷ!?

 

 巻き添えを食らったクレスもしぶきで顔と前面が濡れてしまった。

 頭を振って水気を払う。

 

クレス「なんだよ、コレーッ!」

メイディア「お前……クレスのところにお行き」

 

 水から守った子猫をそっと下に降ろす。


▽つづきはこちら

 こんな大量の水が降ってくるハズもない晴天。

 ありえないことが起こるのは人の仕業。

 キッと上を睨みつけようとした彼女の視界を占領したのは、褪せた金色に輝く(かな)ダライの底だった。

 ガーン☆

 

メイディア「へぶッ!?」

クレス「おわあっ!?」

 

 寄って来たダイヤモンドチェリーを抱き上げて一歩後ずさる。

 ……スゴイ音がした。

 向こうからあくびをかみ殺して歩いて来ていたリクも驚いたように立ち止まる。

 タライがゆっくりと少女の顔からはがれ落ちる。

 頭上で複数の女の子の嘲笑が響いて、クレスが顔を上げるとさっと彼女たちは身を隠した。

 

リク「あれれ。大丈夫? 漫画みたいだね」

 

 大丈夫かと聞いておきながら、笑っている彼は本気で心配していなさそうだ。

それを聞いたクレスは、火に油を注ぎに来るなと激しく講義したかった。

このオトコ女がまた凶暴化するっ! 巻き込まれる!!

 だが、珍しく予想は外れた。

 メイディアは何も言わず、びしょ濡れのまま来た道を戻って行ってしまった。

大きなタライを引きずって。

 

クレス「あ、あれ?」

 すれ違いに側まで来たリク「……どうかした?」

クレス「別に……」

 

 様子が変だと思ったが、それだけだった。

 

リク「豆大福だ」

 

 ダイヤモンドチェリーに手を伸ばす。

 

クレス「違うっつってんだろっ!」

 

 その手を叩き落とす。

 

リク「あ、チャイムが鳴っちゃった」

クレス「ヤバ、チェリー、ゴメンよ、あんまり遊んでやれなかったな」

   「クソー、着替えてこなきゃだ」

 

 後ろ髪引かれる思いで猫を手放すとリクに負けじと駆け出した。

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