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レイディ・メイディ 25-6
2008.02.27 |Category …レイメイ 24、25話
張本人は不機嫌さを隠そうともせずに次の教室に入った。
他の学徒たちは友人同士でまだおしゃべりを楽しんで集まっているが、友達の少ないメイディアはポツンと座っているだけだ。
今度は一緒の学科を取ったレクも教室に入ってくる。
数いる友人たちと話し込んでいたが、メイディアに気づくと軽く手を上げた。
レク「あれ? 気づいてないのかな?」
もう一度振るが、また無視をされてしまう。
友人「やめとけよ。時代はシラーお嬢様だぞ。メイディアなんてもう古い古い」
レク「何言ってんだよ。古いも新しいもないだろ。だいたい…………」
残るレクはといえば、中立の態度でいながら実際にはメイディア寄りである。
彼の目にはシラーがどうにも不自然に感じてならないのだった。
レク『こんなこと、思ったらいけないのはわかってるんだけど……』
▽つづきはこちら
見たまんまで自分を隠すことを知らないメイディアに対しては何の垣根も感じないレクだったが、どうもシラーには馴染めない自分がいる。
高飛車お嬢様のメイディアの方が普通ならとっつきにくいと思われるが、身分関係にうとい彼は彼女たちの心の壁の方を見ていたのだ。
シラーは心が見えない。
どこか不安になる相手だった。
メイディア「その者たちの言う通り。ワタクシと懇意にするのはおよしになった方が身のためですわよ。ワタクシ、一人でもちっとも寂しくなんてございませんから、お気を使って下さらなくて結構ですわ」
レク「そんな、気なんて使ってないよ。メイディアなんかになんで俺が気を使わなくちゃいけないんだよ、バカだなぁ。アハハハハ」
友人たち「うわ。言ったよ、言っちゃったよ」
「怖い物知らずだな、お前……」
「天然だよ、ありゃあ」
メイディア「……………………。それは、けなしているの? それとも友愛のつもり?」
レク「……え? けなしてなんかないよ。どうして?」
メイディア「……頭が悪いって、お幸せでいいですわね……」 肩をすくめる。
レク「??」 頭、ポリポリ。
元の教室では、クレスやクロエ、そしてシラーもいなくなったというのに、メイディアに敵対心を持つメンバーがまだ悪口大会に没頭している。
アン「ねぇっ、思うんだけど、もうメイディアなんか怖くないよ! 私たちにはシラーがついているんだもん。ちょっとこらしめてやろうよ」
アンの一言から火ぶたは切られた。
過去に手ひどくフラレた少年たちや逆らうことができずに言いなりになって来た少女たち中心にメイディアをこらしめようという動きが始まったのである。
中には意中の男の子がメイディアに取り入ろうとして逆に冷たくあしらわれたとかで逆恨みする少女まで参加している始末。
大勢で結託することで、これは正しいことなんだと肯定された気分になっていた。
メイディアはワガママ過ぎる。
シラーが可哀想。
わからせるにはその立場に立たせてみるのが一番だ。
シラーを応援する。その隠蓑を着て、彼らは自らの恨みを込めるのだった。
まずは立場を逆転させるために全員で彼女を無視。
同じ立場にあったシラーの仕返しのつもりだったが、これはあまり効果上がらず。
何故なら彼女はアンたちを友達と思っていなかったからだ。
いつものようにモノを頼まれても知らん顔したアン。
とうとうやってやったと内心、舌を出したが、メイディアは「まぁ、よろしいですわ」とそれだけだった。
物足りないと思ったアンだったが、とりあえず第一段階はクリア。
お姫様の召使からようやく脱出だ。
……ただ、ルームメイトなだけに同じ部屋の夜は辛かったが、自分とメイディアを除く他の4人も今やアンの味方。
人数がそろって強気になったからだろうか。無視は続いた。
それでも相手が涼しい顔なのが気に入らなかったが。