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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 26-3

 クロエとリクが何か白熱してしゃべっている。

 内容はうかがい知ることはできないが、クロエが眉をひそめたりしているところを見るともしかしたら、メイディアの横暴についてかもしれなかった。

 

クロエ「ウソ、ニンジャってアメーバの一種だったの!?」

リク「そうだとも! 細胞分裂で増える分身の術を操るんだから。そんなことも知らなかっただなんて、クロエもまだまだだね。フフフ」

クロエ「む……むぅ~。ニンジャ知識で私が遅れをとるなんて……!」

 

 ……かもしれないだけで、実際には二人が大好きなナゾの生物・氷鎖女先生についての論議であったが。

 

アン「あ、シラーだ」

ジェーン「あの子も溶け込むわよねぇ」

 

 臆した様子もなく、「ちょっといい?」などと言ってあの集団に紛れ込んでいる。


▽つづきはこちら

 それも色目とかではなく、同室の友人・レイオットとクロエを目当てに来ましたというカンジで不自然さがない。

 

アン『いいな……私もあんな風になれたら……』

 

 物欲しそうに見ていると、ジェーンが立ち上がって食べかけの料理を乗せたまま、颯爽と端の席に移動。

 

アン「どこ行くの?」

ジェーン「私も誘おーかと思って」

アン「エッ、リク君?!」

ジェーン「やーね。何でも自分視点で考えないで。私、リク君は同じ人間だと思ってないから。私は私の、孤高の王子様んトコ行くから♪」

 

 言い残して孤高の王子様……アンにはヒネクレて性格の悪い、陰気で怖いクラスメイトにしか映らないクレス……のところへ行ってしまう。

 シラーと違って今の今まで女の子3人で食事していたのに、急に寄って行くなんてとんでもなくワザとらしかったが、それはそれでいいのだとか。

 

アン「ジェーンの性格がうらやまし」

モーリー「アタシも積極的かつ情熱的だよー?」

アン「その割にレク君にアタックしないんだ?」

モーリー「レク君一筋じゃないから」

 

 娼婦の娘は、しゃあしゃあと言い放った。

 

 

 毎度お騒がせのメイディア。

 例によって例のごとく、相手の都合を無視して教官専用宿舎に乗り込んでいた。

 

ナーダ「コラコラ、こっちは学徒立ち入り禁止。どこの子……って……ああ、シャトー」

 

 ナーダは赤薔薇教官で学問の教師ではない。剣を教える以外は学徒との接触がないため、自分の受け持ちクラスの他はほとんど知らない。

ましてや白薔薇、黒薔薇の学徒など論外だった。

 しかし抜きん出て優秀な面々くらいは把握しているつもりだ。

 ……が、この金髪については、成績というよりもその強烈な個性と家柄によって記憶に深く刻まれていた。

 

メイディア「素敵な夜ですわね、ナーダ教官。ごきげん麗しく」

 

 スカートの裾をちょいとつまんで足をクロスさせ、優雅にお辞儀。

 

ナーダ「……別に麗しくないんだけど……」

   『ズ……ズレてる……完全に』

 

 場違いなあいさつにたじろぐナーダ。

 流されないように努めて冷静を装うと「何か?」と素っ気なく尋ねる。

 

メイディア「用がなければ来ません。ダーリンお願いします」

ナーダ「……………………ダ……?」

 すまし顔で、メイディ「ダーリンです。ワタクシの」

ナーダ「ダーリン? ダーリンねぇ……うーん、つまり、担任?」

 

 額に指を添えて考え込む。

 

メイディア「ほほほっ。ご冗談を。どうしてこのワタクシが、あのようなミジン子如き異国の民など」

 

 ふっと小馬鹿にしたように笑って自慢の巻き毛を払う。

 

ナーダ「氷鎖女ではない? んじゃ誰よ、そのダーリンって」

メイディア「もちろん! ヴァルト教官ですわ」

 

 胸を張ってなぜか大威張り。

 

ナーダ「………………………」

 

 目をしばたかせたのち、渦巻く爆笑の嵐に見舞われる。

 

ナーダ「ダーリンッ!? ダーリンッ!! アレが!?」

メイディア「? どうかなさいまして?」

 

 立ち尽くしていると背後から、当の“ダーリン”が姿を現した。

 まだ用事があったのか、外から戻って来たらしい。

 

ナーダ「あっ、ダーリンッ!」

 

 指を指して腹を抱える。

 

ヴァルト「?」 失礼な物言いに不快を顔に表す。

    「何事だ、ナーダ」

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