HOME ≫ Entry no.271 「レイディ・メイディ 24-8」 ≫ [276] [275] [274] [273] [272] [271] [270] [269] [268] [266] [265]
レイディ・メイディ 24-8
2008.02.22 |Category …レイメイ 24、25話
氷鎖女「…………………………よくわからないが、断る」
ニケ「えいっ☆」
突然、額あてを下に引き下げる。
氷鎖女「っ!??」
大きく開けた世界。いつもより多い光が瞳に届く。
氷鎖女「……………………」 硬直。
ヒュウ、と口笛を吹くナーダ。
氷鎖女「……………………」 瞬き。
ヴァルト「こんな顔だったっけか」 まじまじと覗き込む。
氷鎖女「…………ぎ……」
ニケ「♪」
氷鎖女「ぎゃあぁぁあぁ っ!!!」
キィィーン
ものすごい悲鳴が上がる。
▽つづきはこちら
職員室にいた全員の教官が驚いて振り返った。
すばやく顔を両手の袖で覆い隠し、勢いよく体を回転させて、ニケの足を払う。
ズッダーンッ☆
ニケ「ぶぎっ!?」
しこたま尻を打ち付けて、悶絶。
氷鎖女「バカッ! 三千世界随一のバカッ!!」
ニケ「ぃいったぁ~っ! そんなに怒らなくたっていいじゃないかぁ」
『老人をいたわれ、若造ぉ~』
尻が青くなったらどうすると涙を浮かべて抗議。
氷鎖女『くっそっじっじっいぃ~!』
警戒して額あてを押さえていたが、普通なら下から上に引き上げて“取ってしまおう”とするであろうところを、まさかズリ下げられると思っていなかったので、不意を突かれてしまった。
一瞬にして視界が広がって、不覚、と思った。
口の中で密に舌打ち。
すぐに引き上げて元の位置に戻す。顔を隠せる位置に。
ナーダ「何よー。何でそんなに嫌がるワケー? 可愛い顔してるんじゃない」
悪意に満ちた瞳で笑みをこぼす。
氷鎖女「……ナーダ殿はおつむは平気か?」
我に返った氷鎖女はぶすっと不機嫌。
氷鎖女『この気味の悪い顔に何を言うか』
彼は自分が大嫌いだ。鏡もまともに見られない程に。
本来なら髪と同じ、もしくは近い色をしていなければならない双眸は金色。
ご丁寧にその瞳孔ときたら、光の具合や感情の起伏によって縦に細く割れてしまう。
……まるで、猫のように。
特殊な瞳は彼を“魔物”とし、人々は恐れ彼の存在をよってたかって消そうとする。
だから光を浴びないように、いつも被り物をして影を作るのだ。
影の中で瞳孔はあまり変化しないから。
理由は金色の瞳ともう一つ。
長い前髪をかきあげないことには現れないが、額右にある人面瘡だ。
これが瞳よりもやっかいで、宿主である氷鎖女……もとい、鎮とは完全に別の、独立した意思を持つ不気味な女の顔なのだ。
これを目撃して戦慄を覚えない者はいないだろう。