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レイディ・メイディ 第25話

第25話:第一次シャトー令嬢大戦

 前回は不審な男たちの乱入で試験を中止せざるを得なくなった。

 その理由を学徒たちは聞かされていなかったが、再試験なのは決定事項。

 メンバー発表の欄を大勢がひしめき合って自分の名を捜し出そうとしている。

 

メイディア『ワタクシ……クロエ……フェイト……クレス…………またあの男がいるわ。……ダレス』

 

 セルゲイが抜けて、その代わりに知らない名前が入っていた。

 

クレス「また同じかぁ。まぁいいさ。今回はリクの奴をぎゃふんと言わせてやろう」

 

 誰も声をかけなくなったメイディアにクレスは独り言のように話しかけた。

 同じく振り向くこともせず、メイディアもうなづく。

 

メイディア「ワタクシたちが争うのはその後で十分ですわね」

クレス「そういうこと」


▽つづきはこちら

 互いに体を反転させると、背中合わせになって別々の方向に歩きだす。

 実は行き先は食堂なので同じなのだが。

 この前のように足を引っ張らないでよね、と付け加えようとしたクレスだったが、それは思い止どまった。

 自業自得とはいえ、彼女は今、非常に傷ついているはずだ。

 自分が悪いと思っても、なかなか謝罪することができない意地っ張りのクレスにも少し似たようなところがあったので、気持ちはわからないでもなかった。

 

クレス『僕は全員でシカトとかヒドイことはしないけど』

 

 そんな彼の後ろを追ってくるものがいた。

 もう一人の時の人、シラーブーケだ。

 

シラー「クレス君! 待ってよ、さっきから呼んでたのにー」

クレス「?」 立ち止まって追いついてきたシラーを見やる。

シラー「ご飯? 一緒してもいい?」

クレス「か……勝手にすれば」

 

 腕を組まれて嫌とは言えない。

 それに……嫌ではなかったから。

 放漫な胸が腕に当たっていてなんとも居心地が……いいような悪いような。

 今までほとんど話したこともない彼女に親しげにされるいわれはないのだが、胸が邪魔して……ではない、女の子にそんなつっけんどんなことはできない。

 相手がメイディアなら話は別だが。

 彼女は女じゃない。

少なくとも往復ビンタを食らって投げ飛ばされた経歴のあるクレスの中では。

 食堂に向かい合わせに座る図式は滑稽に見えはしないだろうかと気になった。

 美女と根暗。

 

クレス『う~ん……』

   「……で? 僕に何か用でもあるんでしょ?」

 

 そうでなければ寄ってくる訳がない。

 

シラー「あ、うん。そうなの」

クレス『やっぱりね』

シラー「私、クレス君とあんまり話したことがなかったでしょ? だから、仲良しになりたいと思って」

クレス「何で突然」

シラー「ううん。前からよ。でも、なんだか話しかけづらい雰囲気があったから……」

クレス「………………」

シラー「皆、私のことが嫌いでしょ。話しかけても無視されるし……」

クレス「それで同じ嫌われ者の僕のところにきたわけだ」

 

 おもしろく無さそうにはねつける。

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