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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 24-4

 ……その通り。

 

メイディア「お父様に言って一生分の生活を面倒見てさしあげるから、田舎にお帰りなさいよ。お母様の目の前から消えてちょうだい。お母様はお優しいから許可して下さったかもしれませんけどね、ワタクシは違います」

 

 本当にどうしようもない娘であった。残念なことに。

 ただ一つ、救いがあるのだとしたら、母の名誉を守りたい一心だということ。

 とはいえ、それで相手を傷つけていいいわれはないのだが。

 シラーもシラーでわざわざ自分が不利になるように仕向けている節がある。

 放っておけば、初めはシラーに対して同情的だったメイディアなのだから、ここまで騒がなかったものを、だ

 彼女からすれば、悪いのは父と妻がいることを知っていてさらに身分違いだというのに恋をしたシラーの母。

その間にできてしまったシラーに何の落ち度もないことは彼女にもわかっていたのである。

 しかしシラーが自分こそが正当なる後継者で、メイディアとは間違われたのだと噂を広めたものだからさぁ大変。


▽つづきはこちら

 しかもシラーが自分の母のこと……つまり当時シャトー家の女中だった女……を悪く言うものだから我慢ならなくなったというワケだ。

 少なくとも14,5まで育ててくれた亡き母を愚弄することはメイディアの中でありえない、あってはならない行為で、それはシャトー家の娘になりすますために母を母でないと言い放つ小汚く小賢しい策略に思えたからである。

 正当なる後継者はまぎれない自分なのだから、コレはお芝居以外の何者でもない。……これがメイディアの考えであった。

 欲に溺れて策を弄する嘘つきは、卑しい者だと彼女は強く思った。

 それが現在の状況を引き起こすことになったのだが、シラーはもっと上手(じょうず)上手(うわて)だ。

 シラーが相手を怒らせるために吐いた暴言は、他には伝染しないことを知っていた。

 なぜならメイディアは声を大にしてワガママや不満を吐き散らしはすれど、その場限りだけ。 おなかがすいた。疲れた。これは嫌い。そんな程度の単純なものだ。

 噂話は取り巻きがちくいち耳打ちしてくるのでよく知ってはいたが、本人が噂話の発信元になることはほとんどない。話を聞いてもメイディアのところで止まってしまう。

 情報は受け取るもので発信するものではない。

 ただし人の口にフタができないように、行動パターンから噂話に感知しないと思ってもそれは確実ではない。メイディアだってたまには口にすることだってある。

何しろ気まぐれお嬢様だ。

噂話がいけないとは思って口にしないワケではないのだから。

 それでもシラーが自分の言葉が他に伝わらないと確信していたのは、内容が御家騒動にかかわっているからだ。

 彼女は自分の家に不具合なことは決して口外しない。

 シラーの言ったことを他に漏らせば、シャトー家とシラーの母の名誉が傷つく。

いくら憎き女とはいえ、亡くなった者にしかも娘のシラーが愚弄してはならないのだ。

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