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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 23-4

 惨たらしい惨劇の跡を目の当たりにして、感情のカケラも見せずに初潮を迎えた少女の気味の悪さといったらなかった。

 事情聴取を受けた彼女だったが、わけのわからないことを繰り返すばかりでどうにもならない。

 結局、犯人を見たのか知っているのかも聞き出されないままに、シャトー家は権力を行使して治安部隊から娘を取り返すことに成功した。

 シャトー家としては、娘がこんな血なまぐさい事件に関与しては絶対にならないのである。

 真相がどうであろうと構わない。

 それよりもメイディアに不吉な娘として噂でもたったら、花嫁として“売れなく”なる。

 そちらの方がずっとずっと一大事なのだ。

 当時の治安部隊は、ショックでメイディアが何も覚えていないのだろうと判断したが、初潮以外に血が服に付着していたことから犯人を目撃したのだろうと見当をつけていた。

 真相を探ろうとメイディアに面会を求めたが、結局シャトー家は捜索を受け付けなかった。

 娘は何も知らないの一点張りで。

 しかし家に連れ戻された彼女は得意げに言う。


▽つづきはこちら

「“罪には罰を”。先生がいつも言って私を怖がらせていたわ。だから、仕返ししてあげたの。悪いことはしてはいけないんだって。ごめんなさいすればよいのだけど。ごめんなさいしないと殺されてしまうのよ。先生がそう言ってたんだから。ホントよ?」

 

 先生……。当時、メイディアが唯一なついていた、若い青年家庭教師のことだ。

 何故かあの事件以来、無断で姿を消して音沙汰もなくなり、数日後、首のない変死体で川からあがった。

 この教師もあの事件と同じ殺人鬼に殺されたのだと噂は噂を呼び、町は恐怖の渦中にあった。

 お気に入りの家庭教師が殺されたと聞き知っても、冷酷な娘は歌を口ずさんでウサギのぬいぐるみ・キース君相手にダンスを踊る。

 

「報いを受けていなくなっちゃうの。悪い子は。食べられてしまうの。闇から怪物が出てきてぐわーって。それで先生の首はなくなってしまったのよ。あのお人形さんみたいに」

 

 あのお人形さんみたいに。

 あのお人形さんみたいに。

 あの、ギロチンの、囚人人形のように。

 当時のことを思い出すと夫人は今でも身震いが止まらなかった。

 しばらくするとメイディアはあった事件そのものをスッポリと忘れてしまい、いつも通りに振る舞うようになったのだが、夫人には忘れられない忌まわしき記憶。

 こんな娘を愛せよというのが無理な話なのだと時々、叫びたい衝動に駆られてしまうのだった。

 それでも自分の娘なのだと言い聞かせて、公爵との婚姻の約束までとりつけてきたのだ。

 この苦労を知らずに娘はメチャクチャにしようとしている!!

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