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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 23-5

夫人「シラーは手元に置きます。メイディは公爵家で幸せになるの。これの何が悪いというのですか、貴方は」

伯爵「……少し……考えさせてくれ」

 

 伯爵はすっかり冷めてしまった飲みかけの紅茶をそのままに、談話室を後にした。

 まさか15年以上も経ってから自分のもう一人の娘が訪ねてくるだなんて思いもしなかった。

 自室に戻ると身を投げるようにソファーに転がる。

 きっと母親のマルガレーテが死んでどうにもならなくなってここを訪ねてきたに違いない。

 そう思えば確かに可哀想に思える。

 だからといって、この伝統のある血筋を今さらになって現れた不義の娘に一切をくれてやろうというのか?

 

伯爵『しかしメイディは公爵家に……』


▽つづきはこちら

 そうすれば結局は、他から跡継ぎをつれてこなければならない。

 

伯爵「シラーブーケに……会ってみるか」

 

 本当のところ、全く覚えがないワケではないのだ。

 マルガレーテの家に多少の足しにと生活費を送っていたのは他の誰でもない、この伯爵なのだから。

 一人娘のメイディアに不安があるのは何も妻だけではない。

 めったに他人に心を許さない娘をどう扱ってよいものやら、父親としても頭を痛めているのだ。

 幼い頃は何でも良く聞く、素直で良い子だったというのに、一体いつからああなってしまったのだろう? 自分たちの気を引きたかった娘の行動を見抜けなかった両親は思う。

 思いきったように伯爵は机に向かい、ペンとった。

 初めて娘に宛てる、直筆の手紙を。

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