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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 第21話

第21話:孤立の始まり

 女子寮402号室。

 

シラー「ああ~んっ!! せっかく高得点出したのに、試験中止って何よぉ~っ!!!!」

 

 ベッドの上で転げ回る。

 

クロエ「ごめん、私のせいで……」

シラー「え、違う違う。そうじゃないって。クロエを撃った不審者たちが許せないってこと。クロエのせいじゃなくてアイツラのせいよ。カタキを討ってやりたいくらいだわ。……でも無事で良かったわね。とても心配したんだから」

クロエ「ありがと……」

レイオット「ねぇねぇ。ところで薔薇騎士レンジャーレッドが助けに来てくれたって本当?」

 

 両手の指を組み合わせて、瞳の中はもはやキラキラお星様が輝く宇宙。


▽つづきはこちら

クロエ「……と本人は言ってたけど、たぶん……アレ……」

 

 兄の上官で家にもよく出入りしているジャック小隊長だ。どっからどう見ても。

 

レイオット「……うう、やっぱり薔薇騎士レンジャーは困った人のところに必ず現れるのね!! ああ、私も早く薔薇騎士になって良い子の皆を助けてまわりたいぃっ!!!」

モーリー「あー、レイ様の病気が始まった~」

ジェーン「これさえなければカンペキなのにねー」

レイオット「正義のために戦いたいっ!! 素敵戦隊に入隊したいぃ~っ!!! カッコイイ、薔薇騎士れんぢゃあ、レーッド☆」

ジェーン「入隊って……そんなモンないですよ しっかりしてレイ様、現実に戻ってきて」

モーリー「つーか薔薇騎士をモデルにしたのが薔薇騎士レンジャーなんだし、本物になるんだからいいじゃーん」

レイオット「うん、そうなんだけどっ」

クロエ『う~ん……ジャックさんだって……正体は言わない方がいいよね』

ステラ「そのレッドがクロエに早く元気になるようにってキノコを大量においていったよ。どうする?」

クロエ「食べる」

ステラ「アンタ……ちゃっかりしてんのね……。それだけ元気なら心配ないわ」 あきれて肩をすくめる。クロエ「キノコ汁ばんざーい」

 

 安静にしていろとベッドに寝せられたクロエはみんなの心配をよそに元気一杯に手足を伸ばした。

 とてもケガ人とは思えない。

 ステラはザルに積んだキノコを持って夕食も済んで、片付けも終わった人気ない食堂に向かう。

 厨房を借りようというのだ。

 それについてジェーンとモーリーも行ってしまう。

 クロエを部屋に一人にはできないとレイオットとシラーが残ることにして。

 

クロエ「ねぇ……あれから……メイディアの様子はどうだった?」

 

 しょげ返った彼女の姿を思い浮かべた。このケガを自分のせいだと自責の念に駆られていなければ良いが。

 

レイオット「メイディ? うん、足をケガしたみたいで松葉杖ついているわ」

クロエ「足を? ……そっか。どうしたんだろ。私、全然覚えがなくて……」

レイオット「くじいただけらしいんだけど、そのまま何の処置もしないで山道を歩いて悪化しちゃったんだと思う。沢山転んだみたいだし。……まったく。無茶ばっかりするんだから」

 

 息をついて腕を組む。

 

シラー「彼女、自分も心配してもらいたかったのよ」

レイオット「それは違う……んじゃないかしら」

シラー「どうして? だっていつもなら泣きわめいておんぶしろだのって騒ぐじゃない」

レイオット「それはそうだけど。でも本当のケガ人がいるのにいくらなんでもメイディだってそのくらいわきまえているんじゃないかな」

 

 ……そう、思いたい。

 確かに彼女は自己中心的でその場の空気を読めずに我を通したがる。

 とはいったものの、他人に対する心遣いがまったくないわけではないとレイオットは信じ……ようとしている。

 レイオットが“まだ”メイディア寄りなのに気が付いて、すぐさまシラーブーケはフォローを入れた。

 

シラー「あん、何も悪口のつもりはないの。ただ、彼女って箱入り娘だからすごく子供じゃない。クロエばっかり優しくされているとカンチガイしちゃったんだと思うな」

レイオット「ん~。それはあるかも……」

 

 これについては思い当たる節、多々あり。

 何かにつけてワガママで、思い通りにならないと最終的には床に寝そべって手足をばたつかせる始末。

 注意をすればイジワルだとふくれてしまう。

 そんな彼女は精神年齢が年相応にまで追いつけていない。

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