レイディ・メイディ ２１－３

クロエ「私ね、考えたんだけど、やっぱりあのときは私が悪かったんだと思う」

メイディア「……ウソ。そんなのウソ。貴女は自分が悪くないの知ってて、すぐそういうこと言うの。とりあえず謝っておこうっていうの、嫌いだと言ったでしょう」

クロエ「聞いて、メイディア」

メイディア「聞いています」

クロエ「私もやっぱり悪かったのよ。メイディアに言われて確かにそうかもって反省した」

メイディア「………………」

クロエ「ただし、ちょっとだけね」

 

　親指と人差し指で“チョット”を示す幅を作る。

メイディア「……うん？」

クロエ「でも、貴女も悪かった。……そうでしょ？」

メイディア「……………うん……」

 

　しばし間を空けて、考えてから慎重にうなづく。

 

クロエ「メイディアったらワガママで子供みたいなんだもん。相手にするの疲れちゃった」

　手にした本を開く。

クロエ「だけど……」

メイディア「ナニ？」

 

　疑り深い眼差しに気づかぬふりで本に視線を落とすクロエ。

 

クロエ「私も少しいい気になってたかも」

メイディア「……………………」

クロエ「なだめすかせば言うこと聞いてくれるってどこかで思ってたんだよね」

メイディア「……………………」

クロエ「仲直りしよ？」

　微笑んで顔を上げた。

クロエ「仲直りが適切でなかったら、友達になろうよ。ねぇ、私たち」

メイディア「……どうしてそういうこと言うの……」

クロエ「理由が必要？」

 

　片手を差し伸べる。

 

メイディア「…………………」

 

　言葉なくかぶりを振ってその手をとった。

　冷たく見えたその蒼い瞳に大粒の涙が光った。

メイディア「ご……ごめ……ごめんなさい……」

クロエ「えっ！！？　あっ、メイディア？　ど、どうし　……」

 

　突然泣き出されてギョッとする。

 

メイディア「ごめんなさい……。ケガさせてごめんなさい。ホントは…………わ、わたっ……しっ……クッ……クロエ……ズルイって思っ……ううっ……ひっく……」

クロエ『あーあー……泣いちゃった』

 

　拍子抜けだ。

 

メイディア「あの……あのねっ……クロエ……死んじゃったら……ワタクシのせいになるって思って……ワタ……クシ……クロエのコトより……自分の心配しか……してなかっ……うっく……ぐす……」

クロエ「うん……うん……」

 

　握った手に柔らかく力を込める。

 

メイディア「それで……それでね、でもね……やっぱり……クロエがいなくなったらどうしようって……怖かったの……」

クロエ「……………………」