HOME ≫ Entry no.109 「レイディ・メイディ 15-3」 ≫ [114] [113] [112] [111] [110] [109] [108] [107] [106] [105] [104]
レイディ・メイディ 15-3
2007.12.02 |Category …レイメイ 14-17話
使用人「デタラメはやめなさい。何の証拠がある」
少女「父からマルガレーテが授かったペンダントです!!」
首に下げて服にしまっていたシャトー家の紋章の入ったペンダントを見せる。
使用人「……………では……もう一度、その旨、伝えよう。それでもし語りなら、その命、保証しませんよ」
少女「もし本当ならば、アナタも覚悟しておくのね!!」
使用人「…………」
使用人は仕方なく、もう一度奥方の部屋を訪れる。
母「一体、何の騒ぎ!!? 先ほどの件なら……」
娘の言い分とペンダントのことを話すとシャトー婦人はたちまち顔色を変えた。
▽つづきはこちら
母『あの女がけしかけたの? ウソばかりついて……。私の娘はメイディよ。今更……替えられる訳がない。でも世間に知れたら事だわ。シャトー家の恥になる。消してしまわないと……』
「よろしい。通しなさい。そんなに言うのであれば、一応は会ってあげましょう」
門の前で何カ月にもわたって騒いでいた少女がとうとう中に招き入れられた。
みすぼらしい服に身を包んで髪は伸ばし放題になっていた娘が部屋に連れて来られると、シャトー婦人ははっと息を呑んだ。
……似ている気がする。
自分と。
母「……貴女……お名前は?」
少女「お初にお目にかかります。今はシラーブーケとされております、貴女の娘です」
母「何を根拠にしかも今更……」
シラーブーケ「私が長年、母と思っていた女が死にました。覚えていらっしゃいますでしょうか。このお屋敷に仕えていたマルガレーテを」
母「……ええ……まぁ……」
マルガレーテ。
忘れるはずもない。
夫が密に囲っていた女だ。
使用人の身分でありながら、夫と不倫していたのだ。
同じ頃に妊娠が発覚。
父親が夫だと知ったのは、赤子が生まれてすぐのことだった。
まだ子を産み落として間もないマルガレーテをこのシャトー婦人が怒りに任せて追い出したのだ。
以来、夫との関係は悪くなり、夫は仕事仕事とかこつけて家に寄り付かなくなった。
自分も家でじっとしているとおかしくなりそうになって、社交の場に出るようになった。
そうやって家庭は崩壊していたのである。
母「長年、母と思っていた……とは?」
シラーブーケ「死に際に母が私に言い遺しました。母は自分の子と貴女の子を取り替えたのだと」
母「そんな戯言を信じてしまったの、可哀想な子。残念だけど、そんな幼稚な作り話に付き合う気はありません。お金をあげるから、暮らしの足しになさい。そしてもう二度とここへはこないで。さもなければ怖いことになりますよ」
シラーブーケ「お母様……」
母「私は貴女の母ではありません。同情はするけれど娘はウチのメイディアだけです」
シラーブーケ「それはあんまりだわ。私は幼い頃から偽りの母に愛情も受けられずに育ち、お前は私の子なんかではないと言い続けられてきたというのに。偽物のメイディアはお優しそうな貴女様の元でぬくぬくと……。マルガレーテは自分の娘をシャトー令嬢に仕立て上げることで奥様に復讐を果たしたのに」
母「!!」
シラーブーケ「でも仕方ありません。直にお会いして認めてもらえないのであれば引き下がるより他にありませんもの。けれど、本当のお母様だと私は思っております。お会いできて嬉しかった」
母「…………………………」
少女は一礼をして立ち去ろうとした。
母「……お待ちなさい」