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レイディ・メイディ 14-10
2007.12.01 |Category …レイメイ 14-17話
男「だとしても普通はやらねーんだよっ!! 万が一があったら、俺らの首が飛ぶってもんだ」
メイディア「引き受けなければよかったのに。こんな仕事」
男「ヘッ!! ションベンクサイガキ一人捕まえられないような俺たちじゃ…………ん、来やがったな!?」
二人を乗せた馬よりも、一人しか乗せていない馬の方が速い。
ジャック……もとい、レッドが追いついて来た。
男は剣で応戦。
暗闇の中、火花が散った。
▽つづきはこちら
男「おい、野郎ども!! 出助けしやがれ!!」
レッド「野郎どもとはどこの野郎どもかな?」
男「あん?」
ちらりを目を後ろにやったが、誰もついてくる気配がない。
1頭を除いては。
男「まさか……全員やられたっていうのか? こんなふざけたあんちゃんに……!?」
レッド「いいや? もう一人。腕の立つお嬢さんがいてね」
追ってくる1頭は味方ではなかった。
1本に束ねた長い髪をくねらせて馬を駆るのは、そう、レイオットだ。
レイオット「メイディ!!」
メイディア「ふふん。遅くってよ」
背後から迫るレイオットや目前のレッドに気をとられている男のアゴにパンチを一発お見舞いしてやった。
一瞬の出来事で己に何があったかを理解する前に男は馬から落ちて行った。
メイディア「ふんっ。気安くワタクシに触れないで」
馬の手綱をとる。
レッド「……片付いたようだな」
レイオット「バッ……ババババババ薔薇騎士レンジャーッ!!!! この節は助けていただいて……」
メイディア「“ワタクシのため!!”に来て下さったのねっ!!?」
レイオット「……ゔあ……」
『メイディのため!!? ううっ』
レッド(ジャック)『長居は無用だな』
「女性2人だけの夜遊びは関心しないな」
レイオット・メイディア「ゔ~ ごめんなさい~」 ショボーン
レッド「ではくれぐれも気をつけて帰りなさい。……さらば!!」
マントを翻し、ヒーローは風のように消えた。
レイオット・メイディア「素敵……」 うっとり。
いずこかへ消え去ったと見せかけて木の後ろに隠れたジャック。
ジャック『わぁ~……何をまだあんなところでゆっくりしているんだ!? 養成所はもうすぐそこだろう、帰りなさいったら。エリーゼを探しにいけないじゃないかぁ~』
そわそわと木の幹から様子を伺うジャックの背後から、青い影が襲いかかった。
ぱくっ☆
エリーゼ「ぐもぐも……」
ジャック「………………」
頭半分かじられて、
ジャック「……お帰り、エリーゼ……迎えに来てくれたのかい? 優しいなぁ……」
血ィ、ダラダラ。
エリーゼ、歯をしっかり立てている。
ジャック「おイタしなかったら、もっと良い子なんだけど?」
エリーゼ「……………………」
ばさっ。翼を広げる。
“彼女”は、薔薇騎士レンジャー・レッドを口にくわえたまま(しかも頭)飛び去って行った。
翌朝、近所の農家の家が騒然となったのは言うまでもない。
自分のところの痩せた馬だけがいるハズの馬小屋に、何故か立派な馬が何頭も増えていたのだから。
メイディア「馬はちゃーんと返したし、お礼に増やしておいたのだから良いでしょう」
レイオット「……赤薔薇レンジャー様……」 ボ~……
クロエ「どうしたの、二人とも?」
メイディア「別に~♪」
レイオット「……赤薔薇レンジャー様……」 ボ~……
クロエ「??」
ところで猫に飛びつかれた白魔術師教官はといえば、朝に見回りの同僚に発見された。
ドアも開きっぱなしで魔法陣も一部が消えていたところから猫が中で歩き回って消してしまったのだろうということになった。
何もなかったから良いようなものの、今後はこんな失態はしないようにと叱られてしまった。
彼に何の罪もないというのに、哀れである。
腹を殴られた記憶はとんでいるようで、猫に驚いて失心したと本人も思い込んでいたため、騒ぎにはならずに済んだ。