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レイディ・メイディ 14-5
2007.11.28 |Category …レイメイ 14-17話
終了の舞台あいさつに俳優たちが再び舞台に登場。
観客席に黄色い声援が飛び交う。
白薔薇レンジャー役「皆さん、本日は応援に来てくれてありがとう。私、嬉しい♪ 純真の白い薔薇をあげちゃうね♪」
白い薔薇の花を観客席に投げる。
主に男性客が争ってバラを取ろうとやっきになっていた。
黒薔薇レンジャー役「遅い時間の公演だったに関わらず沢山の人達がきてくれて感動しました。安らぎの黒い薔薇をどーぞ」
同じく黒紫の薔薇が観客席に投げ込まれた。
青薔薇レンジャー役「えー、黒薔薇レンジャーの言った通り、時間帯が遅いのでどうぞ気をつけて帰って下さい。清き心の青い薔薇より」
続けて青い薔薇が投げ込まれる。
▽つづきはこちら
赤薔薇レンジャー役「……………………?」
『ありゃ? あの席に座っているのは確か……』
小声で隣に立つ青薔薇レンジャー「どうした、ジェイク?」
赤薔薇レンジャー役「あ、いや、すまない」
「またのご来場、全員、心よりお待ちしております。情熱の赤い薔薇を、君に……」
一番人気の赤薔薇が投げ込まれると女性客が一層かん高い叫びをあげた。
薔薇はレイオットのひざの上に落ちる。
メイディア「あっ!?」
レイオット「ウソッ!?」
薔薇を手にとって舞台上を見上げると、目の周囲を隠す仮面をした赤薔薇レンジャーがニッコリ微笑みかけて軽く手をふってきた。
レイオット「赤薔薇レンジャー様……」 ぽー……
メイディア「客にサービスしてるだけなんだからねっ!! たまたまなんだからっ」
薔薇をもらえなかったメイディアがふくれている。
しかし気が付かないレイオットは、もはや目がハートマークになってしまっている。
レイオット「どどど……どうしようっ!!?」
メイディア「どうもなりませんわよ」 プイッ。
「さ、帰りますよ。騒ぎにならない内に」
レイオット「握手とかサインとかしてもらえないかなぁ?」
メイディア「ん~……そうねぇ。ワタクシも薔薇もらえなかったし、このままっていうのはシャクですわね」
とりあえず席を立ち上がり、
メイディア「楽屋まで行きましょう」
レイオット「うええっ!!? 無理よ、そんなのっ!! 追い返されちゃうわ」
メイディア「何をおっしゃるかと思えば。ワタクシを誰だと思っておりますの? エマリィ=シャトーのメイディアですのよ」
男たち「……!!」
メイディア「行きましょ」
レイオットの手を引いて楽屋へと歩いて行く。
その楽屋では……。
団長「お疲れさんだったな」
役者たち「どーもー」
それぞれ仮面や衣装を脱いでいる。
赤薔薇レンジャー役の青年が赤い仮面を取ると中から現れたのは、なんと本物の薔薇の騎士団・小隊長ジャックであった。
むろん、この劇団は本物とは知らずに採用してしまっている。
実はジャック、幼い頃から薔薇騎士レンジャーの大ファンで役者募集のチラシを見かけ、うっかり応募してしまったのだ。
しかもちゃっかり合格して仕事の合間にこうして舞台に立っているというワケだ。
赤薔薇レンジャーの身のこなしや剣術が本物さながらと評判になり、人気が人気を呼び、うなぎ登りとなっていた。
本物が薔薇の騎士のマネゴトしてどうすると上官に見つかったらタダではすまされないので、観
客サービスでも絶対に仮面は外さない。
他の3人はいつも素顔を見せているので、赤薔薇レンジャーだけはミステリアスなベールに包まれたままなのである。
劇団員仲間にも「ジャック」ではなく「ジェイク」と偽りの名前で通していた。