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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 14-2

 教官が肝をつぶしている間にメイディアが開きっ放しのドアから中に滑り込む。

 悲鳴をあげられる前にレイオットが教官の口を押さえて腹に一撃。

 がくりと教官はその場に崩れ落ちた。

 

レイオット「ごめんなさい、先生。でも今夜だけ見逃してね。薔薇レンジャーにどぉぉ~っしても会いたいの」

 

 まんまと中に入ったメイディアは複雑な魔法陣の一部をかき消して不完全なモノにしてしまった。

 これで結界はおろか明かりを灯すこともできない。書き直さない限り。

 

メイディア「OKよ」

レイオット「ああ~ 我ながらなんて大胆なコトを~」

メイディア「何を今更。さ、バレないウチに善は急げよ」

レイオット「善……かしら……?」


▽つづきはこちら

 建物の外にダイヤモンドチェリーを放すとそのままどこかへ走り去ってしまった。

 門は固く錠がかけられているので、二人はそれを乗り越えなければならない。

 

メイディア「もう結界はないハズだから、これを飛び越えればいいワケね」

レイオット「私はいいけど……メイディアは大丈夫なの?」

メイディア「結界さえなければカンタンですわ」

 

 言うが早いか、彼女は側にある木にスルスルと登っていってしまう。

 

レイオット『…………誰が“お嬢様”?』

 

 呆然と見つめている間に木の枝から塀に飛びつき、よじ登って反対側に着地した音が聞こえた。

 小さな声で早くこちら側にと促す声。

 

レイオット『う~ん、何やってんだか』

 

 自分も同じようにして夜の養成所を抜け出した。

 

レイオット「抜け出したはいいけれど、町まで距離あるわね……。間に合うかしら」

メイディア「無理に決まってるでしょう。馬を用意しましょ」

レイオット「ど、どーやって……」

 

 メイディアは邪悪な笑みを浮かべて、近所の農家を指さした。

 

レイオット「……エ?」 汗が額から滑り落ちる。

 

 まさか……

 

メイディア「“善は急げ”よ♪」

 

 当然のように農家の馬小屋を目指して走りだすメイディアをレイオットが止める。

 

レイオット「ダメよ、それって盗みじゃない」 ちっとも善ではない。むしろ、悪だ。

メイディア「やめて下さる? 失礼ね。ワタクシ、手癖悪くございません」

レイオット「だって、馬っ」

メイディア「借りるだけですもの。返せば問題ありませんわ」 ケロリと恐ろしいことを言う。

レイオット「でも……」

メイディア「馬には乗れる?」

レイオット「ええ……もちろん……でも……」

メイディア「じゃあ出発よっ☆」

 

 かくして   ……

 

 「薔薇騎士レンジャーに会いたくないの? ワタクシだけ行ってしまいますわよ」……との誘惑に負けてしまったレイオットは現在、馬上だ。

 

レイオット「うううっ、ごめんなさい、ごめんなさい!! 弱い私を許して~」

 

 誰にとでもなく謝り続けていた。

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