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ゼロのノート

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レイディ・メイディ 第14話

第14話:見参!! 素敵戦隊☆薔薇レンジャー

 正騎士二人が候補生の訓練に付き合っていた一週間を終えて翌週のことだ。

 306号室のメイディアとレイオットはある計画を立てていた。

 その名も「素敵戦隊☆薔薇レンジャーファンクラブ会員による、素敵戦隊☆薔薇レンジャーナイトショーを見に行くために危険を冒して養成所を平日に門限外にこっそり抜け出し、見た後は何食わぬ顔で帰って来よう大作戦」である。

 略して、「素戦」!!

 

レイオット「……で? 具体的にどうする?」

メイディア「そうね。時間外外出は禁じられているし……」

 

 こっそり出ようにも外からの侵入者はもちろん、中から脱出することもできないような結界が張り巡らされている。

 門や囲いから出入りしようものなら、すぐに制御魔法陣に反応が伝わり、逮捕されてしまう。

 

メイディア「やっぱり制御室にどうやって忍び込むかが最大の問題ですわね」

レイオット「う~ん 鍵がかっているし、魔術系の教官が管理してるし」

メイディア「…………猫」

 

 はたと思いついた。


▽つづきはこちら

レイオット「え?」

メイディア「猫を探しに行きましょう」

レイオット「……猫??」

 

 その猫は背が黒く腹が白い、金色の目をしたノラ猫だ。

 どこからまぎれてきたのか、養成所に住み込んでいてクレスがこっそり世話をしているのだった。

 恐らく日曜の昼に結界が解かれたときに入って来て、そのまま住み着いてしまったのだろう。

 メイディアはフェイトに告白を断られた時にこの猫と出会った。

 今も時々見かけてはエサをやったりなでたりしてかまっている。

 もちろんエサを手にしたクレスと出くわすこともよくあった。

 普段はあまり関わることがない二人が猫を挟んでは自然に会話できた。

 時間が差し迫る中、ようやく猫を捜し当てるメイディアとレイオット。

 

メイディア「頼みはお前だけよ、お願いね。ダイヤモンドチェリー」

 

 抱き上げてほおずり。

 

ダイヤモンドチェリー「にゃーん」

レイオット「ダ……ダイヤモン……?」

     『変な名前……』

 

 二人は制御室付近の廊下の角に隠れて、消灯時間に合わせてやってくる魔術師教官が来るのを待った。

 

メイディア「ん、来た来た♪」

レイオット「うまく行くかしら……?」

メイディア「大丈夫。……チェリー、お願いだからしばらくおとなしくしててね」

ダイヤモンドチェリー「?」 メイディアを見上げる。

 

 木の床を歩く靴音と共に現れた白魔術教官。

 制御室の鍵を開けて入って行ったのを見届けると、二人は素早くドアの左右に別れて息をひそめた。

 

白魔術教官「あー、今日も一日終わったかぁ~」

 

 彼はこれから自分に起こることも知らず、魔法陣に文字を書き加えている。

 

白魔術教官「消灯……っと」

 

 一瞬にして宿舎中の魔石による明かりが消えた。

 自分の帰り道を照らすための蝋燭に灯を灯し、燭台を手に部屋を出た。

 そのときだ。

 

「ニャーンッ!!」

 

 キラリと光る金色の瞳。

 

白魔術教官「っ!?」

 

 放り投げられた猫は白魔術教官の顔を目がけて飛びついた。

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