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レイディ・メイディ 13-9
2007.11.23 |Category …レイメイ 11-13話
クロエ「ハッ!! メイディアッ、何言ってんのっ!! 元はといえばメイディアがっ」
レク「うわー 俺のせいだ、俺がボンヤリしてたから~」
フェイト「落ち着けよ。ボンヤリはいつものことだろ」
フェイトの痛烈なイヤミも耳に届いていないようで、おろおろしているレク。
レク「俺もついていきますっ」
ヴァルト「ダメだ。大したことはない。こちらはそのまま続けるぞ。散った、散った」
レク「そんな……」
ヴァルト「訓練にはつきものだ」
レク「……ハイ」
この後、集中力を欠いたレクの訓練は散々で、早く保健室に足を運びたかったのに外周りの走り込みを言い渡されてしまう。頭を冷やしてこい、と。
大惨事を引き起こした原因のメイディアはフェイトにあかんべーをして、自称・婚約者気取りで一緒に保健室へついていってしまう。
クロエには帰れと責め立てられながら。
▽つづきはこちら
とりあえず昼の休み時間に入り、ジャックが保健室を訪れた。
ジャック「クロエ君、兄上の様子はどう?」
クロエ「ジャックさん」
とっくに意識を取り戻していたガーネットが代わりに「大丈夫だ」と答える。
ジャック「そうか。マヌケだったな」
ガーネット「………………。他に言うことはないんか、アンタわ」
ジャック「別に」
ガーネット「…………ムカツク」
ジャック「それより学食 学食に行こう♪」 母校の食堂が懐かしく、はしゃいでいる。
ガーネット「弁当はどーしたんだ、弁当は」
ガーネットの方は卒業してそんなに経っていないため、そこまで懐かしさを感じていないようだ。
ジャック「今日は学食で食べる気満々だったから作ってこなかった」
ガーネット「なんだ」
口の利き方もあまりなっていない、自分の料理を上官に作ってもらうのが当たり前だと思っているガーネットはある意味大物だ。
部下に上官と思わせられないジャックもジャックなのだが。
彼らは上官とその腹心というよりは、学校の先輩後輩くらいの近い間柄になってしまっていた。
縦の関係を重んじる軍隊にあっては良くない風潮であるが、これがジャック率いる小隊の特徴だった。
いいようにナメられてはいるものの、結束力だけは固い。
ガーネット「あ~、ハンカチは洗って返しますよ」
ジャック「いや、構わない。ガーネットの鼻に突っ込んだハンカチなんかバッチィからいらない」
ガーネット「アンタが詰めたんだろ、アンタが。こんなデカイの普通詰めるか!!? 起きてビックリしたわ。鼻の穴が広がったらどうしてくれるんだ」 そして何気に痛かった。
ジャック「指突っ込んで止めるよりマシだろ」
ガーネット「あのなァ」
保健室を出て廊下を歩く4人。
正騎士が通ると学徒たちが振り返る。
クロエ「どーしてメイディアまでついてくるの」
メイディア「だってフィアンセですもの」
クロエ「返事聞いてないでしょ」
メイディア「では聞きましょう。どうせ……」
クロエ「どうせ」
メイディア「良いと言うに決まってます」
クロエ「ダメッて言うに決まってるもん」
二人、目に見えぬ火花を散らす。
メイディア「ガーネットお兄様っ」
腕にくっついて見上げる。
ガーネット「ん?」
ジャック「その子は?」
メイディア「あら、申し遅れまして。ワタクシ、メイディア=エマリィ=シャトーと申します。ガーネットお兄様のフィアンセですわ」
クロエ「ちょっ……!! 離れなさいよ、慣れ慣れしいんだからもうっ」
ガーネット「フィアンセって……」
ジャック「……エマリィ=シャトー……」
メイディア「ご存じでしょう?」
ジャック「へぇ。スゴイじゃないかガーネット。大出世だな」
ガーネット「からかうなよ。ホラ、冗談はそのくらいにして」
初対面の女の子をたしなめるように言う。
メイディア「冗談ではございませんわ。貴方でしたらワタクシの夫にふさわしいですもの。きっとお父様もお母様もお許しになるに違いありません」
ガーネット「違いありませんって……俺、君のコト、知らないんだけど……」
メイディア「だから名乗ったじゃありませんか」
ガーネット「そりゃそうだけど、今初めて会ったワケだし……」
そもそもまだ結婚する予定はない。
メイディア「心配ご無用。これから知り合ってゆけばよろしいのです」
クロエ「よろしくない、よろしくない」
頭を左右に振る。