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レイディ・メイディ 13-6
2007.11.21 |Category …レイメイ 11-13話
しばらくすると明かりのために各部屋に設置されている魔石がその輝きを失っていった。
魔石は魔力の供給で輝く仕組みになっており、管理室にある魔法陣の書き換えで明るさの調整をされていた。
管理しているのは当然、魔術関係の教官たちである。一週間交替で時間になると文字を少しだけ加えたり消したりを繰り返している。
それだけで自動的に明かりが灯され、また就寝時間になると消えるのだった。
翌日、氷鎖女の数学授業をわざわざ選んだジェーンが言った。
ジェーン「今頃、赤・青クラスがやってるころよね。ちょっとサボッて見に行かない?」
モーリー「賛成~♪」
アン「で……でも」
モーリーも初めからそのつもりで氷鎖女の教科をとった。
彼はサボッても何も言わないからだ。
その代わり、全ては自己責任でフォローはしないといった恐ろしい面もあるのだが。
▽つづきはこちら
アン「私はやっぱやめとくわ」
ジェーン「またリク君? でもリク君はいつもいるけど、あっちは今しかいないのよ」
モーリー「それにそれにィ、正騎士だもん。見初められてリンゴーン♪なんてなっちゃったら玉の輿じゃない?」
アン「私はいいよぅ」
ジェーン「つまんない子ね~」
モーリー「メイディア様はー?」
メイディア「……んー……そうね」 少し考えて、
「行きましょう」
ジェーン「そうこなくっちゃ☆」
行く気満々だったジェーンとモーリーは一番後ろの席についていた。
一緒に行動していたアンとメイディアもそうだ。
しかもドアの近くに陣取ったので抜け出すのはたやすかった。
氷鎖女が気づいたようだが、やはり何も注意しない。
クロエ『ちょっとちょっとぉっ。やっぱり行く気なんだ』
彼女らの行動を予測していたクロエも今日は氷鎖女の授業に出席していた。
ニンジャな氷鎖女先生の授業をサボるのは気が引けたが、彼女たちが兄の目に止まって、本当にモーリーの行った通りになったらシャレにならない。
兄には自分が納得するくらい美人で可愛くてスタイルが良くて優しくて気立てが良くてつつましくて家事万能で完璧な女性でないとならないのだ。
クロエ『むぅ~。ごめんね、ニンジャ・ヒサメ先生。本当はヒサメ先生のニンジャ授業サボりたくないんだけど、お兄ちゃんの貞操の危機(!?)なの! 助けに行かなくちゃ。わかって、ニンジャ・ヒサメ先生……』
四つ這いになって、コソコソ教室を抜け出す。
氷鎖女『ジェーン、モーリー、ごぉるでん、クロエ……………………減点……っと』
ヴァルト受け持つクラスの方でも、昨日ジャックが立案した方法をガーネットにもやってもらうことにしていた。
もちろんヴァルトとナーダも同じ正騎士だが、学徒からしてみれば“先生”というイメージがどうしても先行してしまう。
先生が強くても当たり前と思いがちであまり刺激にならない。
その点、年齢もそう離れていない正騎士が直々に相手をしてくれるとなれば、緊張感も違う。
よい結果につながるだろうと判断して本日は赤・青共に試合形式となった。
その様子を見に来た例の3人娘+後をつけて来たクロエ。
モーリー「どっちがクロエ兄かな~?」
ジェーン「どっちも似てないわね……」
メイディア「青担当がお兄様じゃなくて?」
ジェーン「そういえばそうでしたわね」
金髪の背の高い方を三人は注目した。
茂みから顔だけを出して、学徒相手に剣を振るう姿にしばし見とれる。
モーリー「やーん 美形じゃなーい」
メイディア「……………………」
値踏みするように見入る。
ジェーン「うんうん、イケてるっ♪ これじゃクロエがお兄ちゃんベッタリになるのも無理ないわぁ」
メイディア「でもお兄様とは婚姻は結べませんことよ」
隠れていたのを忘れてか、すっくと立ち上がる。
ジェーン「あ、どこへ?」
メイディア「結婚申し込んでくる」
大真面目。