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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 2-3

メイディア「わかりました。素敵戦隊☆薔薇騎士レンジャーのように……ですのね」

 

 馬鹿にしないでと怒るかと思いきや、神妙な表情でうなづくではないか。

 

ルームメイト・ジェーン、アン、モーリー『……通じてるしィー!!』

レイオット「そう! 素敵戦隊☆薔薇騎士レンジャーのようにっ!!」 キリリッ☆

クロエ「え~、説得できちゃったの? そんなんで?」 ガックリ、脱力~

 

 素敵戦隊☆薔薇騎士レンジャーとは、薔薇の騎士団を模した子供向けのお芝居である。

 大きな町には必ず1つや2つ、演劇団体があり、中でも人気なのは薔薇の騎士たちを題材にした舞台なの

 黙っていれば美形のレイオットは、実はこの薔薇騎士レンジャーから薔薇の騎士に憧れて試験を受けてしまったカンチガイさんだったのだ。

 …が、通じて納得してしまうメイディアもカンチガイ度では負けていない。

 

メイディア「言っておきますけどね。ワタクシ、試験のために我慢するのであって、ゆずったワケではございませんからそのつもりで

それと、ベッドは右側の一番上にさせていただきますわ

ああ、それから申し送れましたけれどワタクシは、メイディア=エマリィ=シャトー! わかってらっしゃるとお思いだけれど、本来ならば貴女方が気軽に口を利いて良い相手ではございませんのよ。ちゃんと分をわきまえて下さいね。……よろしくて?」

ルームメイト・モーリーは? あ、ええ、それはもう」

      ・ジェーン「メイディア様とご一緒できるだけで私たちは果報者ですわ」

      ・アン「……はぁ、ええ

 

しかし三人とも目が笑っていない。

 クロエはこれからの先を思うとうなだれるしかなかった。

 とんでもない人とルームメイトになったものだ。

 ただ救いがあるとすれば、専攻が違うということか。

 メイディアは黒薔薇専攻。クロエは白薔薇。レイオットは赤薔薇なのだ

 四六時中いたら大変なストレスになりそうな予感がムンムンである。

 レイオットはどうかというと、レンジャーで共通点を見いだしたのか、壁が一枚取れたようであった。


▽つづきはこちら

 養成所で初めて迎える夜。

 これから先のことを夢見ているだけの少年少女たちは興奮で眠れない者が多い。

 メイディアも眠れない一人ではあったが、希望を胸に興奮して眠れないワケではなかった。

 何かを夢見てここに入学したワケではなく、ただ逃げて来ただけなのだ。

 ……置き手紙は、読んでくれただろうか。

 いつも面倒をかけているばあやが父や母に連絡をしてくれただろうが、気にしてくれているだろうか。

 いや。自分がいなくなったことで例の政略結婚の件が台なしになることを恐れて、怒り狂っているに違いない。

 代わりにばあやを叱らないようにと記しておいたが、きっとばあやが一番気をもんでいるこちだろう

 

メイディア「…ごめんね…ばあや」

 

 そっと小さく視界に広がるに向かってつぶやいた。

 両親は娘を血眼になって探しすだろう。

やがてこの養成所だと突き止めてももう遅い。

 養成所は薔薇の騎士団と女王以外に、外からの干渉を一切受け付けないのだ。

 例え、どんな身分の者であろうと。

 だから隠れ住むにはもってこいの場所だった。

 近い天井を暗闇に見つめながら、とりとめもなく考えていると下の段から声をかけられた。

 

ジェーン「ねぇ、メイディア様、起きてらっしゃいます?」

 

 今日、初めて会った彼女は身分の差をわきまえている。

 そう。自分は名家・エマリィ=シャトーの人間なのだ。

 敬称をつけてそれなりの態度で接してもらわないと困る。

 曲がり間違ってもあの教官のように初対面からヒトサマの髪の毛を見て「巻ウ○コ」呼ばわりをしてはならない。

 何故なら、エマリィ=シャトーの人間だから。

 それ以前に常識的にどうかと思うが…

 

メイディア「起きています」

ジェーン「ねぇ、あの教官…。ヒサメ先生って異国の方なんですって」

メイディア「だから礼儀知らずでしたのね? どこのド田舎でお育ちになられたのかしら、まったく」

ジェーン「さぁ…ここらでは見かけない服装ですし、見かけもやや異色ですものね。きっとどこか遠い国の方ですわ」

 

 ジェーンは言葉もそれなりにきれいなところを見ると、大商人か下級貴族…または貴族の家の召し使いでもやっていたかもしれない。

…あまり、興味のないことだが。

 

メイディア「…ふぅん」

 

モーリーがさらにその下のベッドから顔を出した。

 

モーリー「ねぇねぇ。私、白薔薇志望なんだけどぉ、そっちいい男いましたぁー?」

 

 こちらはあまり言葉がきれいとは言えない。

意識的にこちらに合わせているとき以外は、もっと低俗に思える。

合わせているときも自然にはふるまえていない。

 

ジェーン「黒薔薇の教室では……そうねー……黒髪で赤目の…」

メイディア「! アレはいけませんわ」

ジェーン「ま、お知り合い?」

メイディア「知り合いと言う程でもありませんが…リク=フリーデルスのことでしょう? 彼、美的センスはなかなかですけれど、女性の扱いに問題ありといったところですわね」 ふんっ。

 

 自分の髪を褒めてくれたことに関しては、ちゃっかり美的センスとして認めておき、荷物を運んでくれなかったことについては、早速逆恨み。

 

ジェーン「では私の隣に座ってた子なんですけど……名前聞いたらそっけなくクレスとか言ってましたね。なかなかイイ線いってたから、ちょっと楽しみ

メイディア「…クレス? そう…」

 

 ゆっくり答えながらまぶたを閉じる。

 さして意味もない会話をしているうちにちょっとしたひらめきが起こった。

 

メイディア『んん? そっか。ここで婚約者を作ってしまえば良いのではないかしら?

      『ワタクシはお嫁になんか行きたくない……それも40歳以上も年離れた人の所にだなんて絶対に嫌。どうにか……どうにかしないと……

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