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レイディ・メイディ 2-2
2007.10.18 |Category …レイディ・メイディ 1-3話
クロエ「私もそうよっ!?」
メイディア「そんなことはありませんわ。ホラ、ご覧なさい? 306号室ですわ」
書類を相手の鼻先に突き付ける。
クロエ「わっ、私だって……。だって、だって……この書類にも書いてあるでしょ? 6人部屋って」
メイディア「何をおかしなことを。6人でこんなに狭いところに暮らせるワケがないですわ。間違っているのはアナタです。ちゃんともう一度確認なさいな。まったく、顔と同じで頭の中身までボンヤリなさっているのね」
クロエ「…エ?」
顔と同じで頭の中もボンヤリ!?
あまりにあんまりな暴言は、腹を立てるよりも驚きが先立ってしまい、反論を忘れてしまうほどだった。
メイディア「さ、どいて下さる? 邪魔ですわ」
クロエ「………………」
相手から突き出された書類をもう一度確認するクロエ。
…が、何度確かめても6人部屋だ。
そんな彼女を無視して、メイディアはドアの向こうに向かって呼びかける。
メイディア「レイオット! 早く荷物を持って来て!」
クロエ「?」
再びドアの方へ首を向けると、巨大な荷物を抱えて小刻みに震えた誰かが部屋に入ってこようとしていた。
しかし荷物が大きすぎてドア枠に詰まってしまっている。
レイオット「う~っ、う~っ」
クロエ「むっ…無理っ! 無理だからっ」
あわてて駆け寄り、まずは荷物を下に降ろさせる。
すると荷物の向こうから現れた顔は、女性にも男性にも見える中性的な美形であった。
思わず息を呑んで見とれるクロエ。
▽つづきはこちら
レイオット「はぁっ、ふぅ…。…あ、こんにちは。私、レイオット…はぁ、レイオット=ジーエルンっていいます…ハァ、ハァ」
クロエ「…あっ、えっと…クロエ=グラディウスです。ヨロシクね」
レイオット「ヨロシク…」 力なくその場に座り込む。
クロエ「大丈夫?」
レイオット「ええ、まぁ…」
メイディア「ホラ、レイオット! 早くなさい!」
一人騒いでいるまだ名乗らない偉そうな少女をチラリと見やって、クロエは小声で尋ねた。
クロエ「……あの人は?」
レイオット「それが…実はまったく初対面の知らないコなのよぉう」
クロエ『……アレ? 女の人? てっきり私……』
話し方と声ですぐにわかったが、はじめは荷物持ちをやらされている男性かと思ってしまった。
失礼ながら。
レイオット「大変そうだから、ちょっと手伝ってあげようと思ったら」
捕まってしまったというワケだ。
クロエ「どっちにしろ、ソレ、分解しないと部屋に入らないと思うんだけど-…」
レイオット「うん…」
仕方なく、荷物を床に置き、バラそうとすると覚悟はしていたが、持ち主の金切り声が響いた。
メイディア「ヒトの荷物に何なさるのっ!? 手癖が悪いにもほどがありますわっ! だから、下賎の出って嫌!!」
クロエ「て…手グセ…?」
レイオット「下賎…!?」
二人、あんぐり。空いた口がふさがらない。
メイディア「もうよろしいですわ! 自分でやります! アナタたちは出て行ってちょうだい」
レイオット「待って待って。私もこの部屋なんだけど」
メイディア「バカなコトを言わないで! アナタは男子…………ん、むぐっ!?」
最後まで言い切ってしまわない内にクロエが口を押さえた。
だが、すでに言いたいことは伝わってしまったらしい。
暗い影を落としてレイオットが口元をひくつかせている。
手を無理にはずして、
メイディア「ぷはっ! なんですの、いきなり!?」 激しくにらみつける。
そんなことをしている間に、残りのルームメイトたちが次々とやって来た。
ルームメイト・ジェーン「あ、あれッてシャトー家の令嬢じゃない?」
・アン「そうなの?」
・ジェーン「さっき、黒の教室で大騒ぎしてたのよ」
・ モーリー「シャトーってナニ?」
・ ジェーン「馬鹿ねぇ。知らないの? 貴族よ、貴族!」
・ モーリー「へー。だったら、機嫌取っておいた方がよくなーい?」
そそくさと彼女たちはメイディアの荷物運びを手伝いだす。
メイディアはそれが当たり前だとでも言うように、アレはソコにだとか指示を出し始めている。
レイオット「そこは私たち、一人に一つずつのクローゼットだと思うんだけど」
全てを占領しようとしているメイディアとゴマをするつもりの三人にレイオットが指摘した。
クロエ「そうよ。困るでしょ。あなたたちだって」
ルームメイトたち「えー、そう言ってますけどー?」
メイディア「だって、こんな狭いのに仕方ないではありませんのっ!」
レイオット「“だって”じゃなくて。ここは共同の場なんだから、初日からモメている場合じゃないでしょう?」
ルームメイト3人『わ…キレイな人~』
クロエ「うん…もしかして、ここでの共同生活も試験の一環かもしれないし…ちゃんとしないと…」
レイオット「私も少しそれは感じたわ。1日目は特に何もないのでしょう? 説明とあとは慣れていないから見て廻るようにってだけで。ね、だから、ちゃんと協力しましょ。私たち、これから仲間なんだから」
クロエ、うなづく。
そこまでは良かったが……
レイオット「素敵戦隊☆薔薇騎士レンジャーの友情パワーみたいに!」
いきなり目を熱く輝かせて、握りこぶしのレイオット。
クロエ「……ハイ……?」
メイディア「……………」
ルームメイト・ジェーン、アン、モーリー「…………………」
シーン…
クロエ「あ…あの…レイオット…さん?」 恐る恐る…
ルームメイト・ジェーン、アン、モーリー「…………………」
メイディア「………わ…」
●Thanks Comments
ヅカキャラ!?
と思ったら、レイオットさん
『素敵戦隊☆薔薇騎士レンジャー』
とか云ってますけど…(まるで安藤君…w)
特撮系なのか、天然なのか。
美少年をもっと出してくだサイ。
特撮系らしい。
設定ではTVヒーローみたいなカンジだったけど、中世ファンタジーでTVないので、こちらで演劇とさせてもらいました。
美少年、まだ出てきます。
少年にあまり興味のないゼロとしては、美青年のがいいんだけど、学校が舞台なので、青年あんまし出てこないのよ;
無念。