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レイディ・メイディ 3-2
2007.10.21 |Category …レイディ・メイディ 1-3話
氷鎖女「…を。ご…………えっと…?」
メイディア『またごーるでんと言いかけやがったですわ、コイツ…』
「メイディア=エマリィ=シャトーですわ」
あからさまな作り笑顔。
氷鎖女「…うん。で? 質問か何か?」
一歩下がる。
メイディア「メイディア=エマリィ=シャトー」
一歩近づく。
氷鎖女「わ、わかったでござるよ」
さらに一歩引く。
氷鎖女『名前が長くてややこしいんだよ、…ごーるでん』
メイディア「アナタ、異国の方なんですってね?」
氷鎖女「さよう」
メイディア「この国に来てどのくらい?」
ツカツカと容赦なく歩み寄る。
氷鎖女「1年と少しでござる」
後ろ歩きで一定の距離を保つ。
メイディア「1年もいて…」
作り笑顔に影が差す。
氷鎖女『何やら……怒ってる?』 ギク…
メイディア「この国の常識も覚えられないのですか、アナタは っ!?」
怒鳴り声に周囲の空気が震える。
驚いた生徒たちが一斉に振り返った。
▽つづきはこちら
耳を押さえて、氷鎖女「おおう 何の話やら…」
メイディア「わかっていらっしゃらないようですから、この際です。ワタクシがきっちりと立場の違いを教えてさしあげますわ! よろしくて!?」
氷鎖女「…うん…よろしくてよ?」
上目使いに生徒を見上げながら、おずおずと口真似。
しかし構わず、
メイディア「ワタクシは公爵家の親戚にあたります由緒ある家柄の人間ですのっ! 公爵家は王家の血も引いているのですっ!」
「す・な・わ・ちっ! ワタクシも王家の遠い親戚にあたりますのよっ!! …おわかりかしら?」
言ってやった。
勝ち誇って口の端を吊り上げる。
氷鎖女「…うん……で?」
ギギギ…。ぎこちなく首をかしげる。
ジェーン「え? そ…それで…って…」
メイディア「驚きましたかしら? ふふっ」
氷鎖女「いや…と、言われても…だから…何が言いたいのかさっぱり…?」
メイディア「な…っ!?」
ガーン!?
メイディア「ここまで親切に言ってさしあげているのに、おわかりにならないと!? 何がわからないのか言ってごらんなさいっ! さぁっ!! さぁっ!」 にじり寄る。
氷鎖女「さぁって…」 頭ポリポリ。
「ごぉるっ…あ~…そちらの家柄を聞かされてどうだと言われても…拙者に何を言わせたいのかがわからんでござる」
メイディア「立場をわきまえなさいと言っているのです」
小馬鹿にして、相手の小さな鼻先をつついてやった。
氷鎖女「……ふぅん。わからん御人でござるな」
つつかれた低い鼻をさすって、自分より背の高い教え子を見上げる。
氷鎖女「ここはあくまで寺小屋…じゃない…薔薇の騎士養成所であって、それ以外の何物でもない場所でござる。例えどこぞの姫君であろうと拙者に何の関係がござろうか」
メイディア「家庭教師は雇われた身です! 教える側だからと言って、このワタクシに無礼はゆるされないのです!」
氷鎖女「拙者、家庭教師にあらず。拙者は教官で、ご…そちらは学徒。それだけでござる。……御免」
メイディアをかわしてそのまま廊下を歩いて行ってしまう。
メイディア「~…ッ! ムッキャーッ! どうでしょう、あの態度!?」
「しかもいちいちいちいちいちいち“ご”“ご”ってっ! 誰がゴールデングルグルウ○コなものですかっ!!」