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雨が雪に変わる頃 7
2007.12.29 |Category …箱庭の君 短編1
「アンタ、今までどこほっつき歩いていたのさっ」
涙ながらに私を責め、その場にしゃがみこみました。
「早く行っておやりよ」
私はこの女は変だと思いました。
それで、敷居をまたいで小雪さんに言いました。
「雪はもうちょっと待って下さいね」
「………………」
アレ? 返事が返ってきません。
「…小雪さん?」
「小雪さんっ!?」
横たわった小雪さんの顔には何故か白い布が乗せてありました。
▽つづきはこちら
「小雪さん、小雪さん」
「小雪さんっ」
「………………………」
蝋燭の火が少し、揺らめきました。
お顔の布も、少し揺らめきました。
私は少しホッとして側に座った。
「 …なんだ、やめて下さいよ、小雪さん。何度呼んでも返事がないし、動かないから………」
「………………………」
「…………てっきり…」
風か吹いた。
「…てっきり…」
白い布がめくれて色のない唇がのぞいた。
「…小雪さん…?」
……小雪さんは、息をしていませんでした。
して、いなかったんです。
私は。
私は、狂ってしまうかと思いました。
天に向かって咆哮しました。
左右で色の違う、金と銀の両眼から、透明な液体があふれ出しました。
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